作品No.281〜290
作品No.281【掃除屋のタブー】
掃除屋から足を洗って3年。今は、妻と子どもに囲まれて幸せな生活を送っている。
だが、買ってきた恨みは消えていない。新年会の帰り道、後ろから銃口を突き付けられた。
「…何故すぐに撃たない」
「三が日だからな。だが、明日になれば容赦しない」
そう言い残し、かつての相弟子は去って行った。
作品No.282【転移したら親父のハーレムを継いだ件】
親父が失踪して10年。
突然異世界に転移した俺は、耳の長い女性に声をかけられた。魔王に殺されたんじゃ、と驚いている。
どうやら親父もこの世界に転移し、魔王討伐に赴いて返り討ちにされたらしい。
その遺志を継いで旅に出ると、耳の長い女性――エルフが次々とパーティに加入していく。
エロ親父め…
作品No.283【連休明けの憂鬱】
連休最終日。帰省中の仲間と飲んでいるが、一向に帰る気配がない。
「帰らなくて大丈夫か?」
「大丈夫。明日からこっちで出張だから」
「なんだ。仕事が嫌でおかしくなったのかと」
「俺はまともだ。もう1軒行こうぜ」
そろそろ日付が変わる。正月明けから出張で、やっぱりおかしくなってやがる。
作品No.284【餅を焼く】
仕事始めの日。疲れて帰って来た夫にキスをして出迎える。
「おかえり。お正月のが余ってるし、お餅でもいい?」
「オッケー」
その様子を見ていた娘が、夫の側に来て呟いた。
「私もお餅焼くの」
「じゃあみんなでお餅にするか」
「違う!パパしゃがんで!」
と叫んで、しゃがむ夫の頬にチューした。
作品No.285【芹】
今日は七草粥を作った。
夫は、正月に酷使した胃腸にちょうどいいと言ってモリモリ食べ、そして今、様々な症状を経て意識を失っている。
このまま放置すればきっと…
自分で摘みに行った甲斐があった。
作品No.286【まっくら】
「昨日、保険屋のねーちゃんが来たんだけどさ」
「うん」
「すぐ断るつもりだったんだけど、粘られちゃって」
「もしかして枕営業でもされた?」
「いや、それはなかったけど、『国の年金だけじゃ、お先真っ暗ですよ』とか言われて、個人年金契約しちゃったよ」
「なるほど、まっくら営業だったか」
作品No.287【MADクリエイター】
最近、子ども達が動画中毒だ。
姉弟で違う動画を観たがるから、タブレットの取り合いが勃発する。交代で観るように言っても、なかなか上手くいかない。
見かねた夫が編集ソフトで動画を合成すると、2人仲良く食い入るように見始めた。
さすが、MADでミリオン再生を連発していた男は違うな。
作品No.288【三次会は異世界で】
成人式の二次会。酒に酔った陽キャ達が暴れるだけの会だ。なんで参加しちまったんだとあの時は後悔したものだ。
突然、会場にいた全員が異世界転移して、それでも醒めない馬鹿どもが牢に入れらたのは痛快だった。
王命で、二次会参加の動機となった想い人とともに出立し魔王を討伐。後に夫婦となった。
作品No.289【つらら】
屋根からつららが生えている。子どもの頃は折って食べたものだが、今にして思えばあまりにも不衛生だ。
子ども達には絶対食べないように言っているが、恐らく学校帰りに食べているだろう。
と思っていたのだが、ろ過装置の作り方を聞いてきたようで、溶かして装置に入れて煮沸して飲んでいる。すごい。
作品No.290【怒りは恐怖を凌駕する】
「昨日、宿直だったんだけどさ」
「お疲れ」
「どうせ何も起きないし、推理小説読んでたんだよ」
「いいのかそれ」
「でも、いいところで電話きてさ」
「あれま」
「いきなり、『犯人は〇〇』とか言い出して」
「え、こわ」
「ネタバレすんな!って怒鳴っちゃったよ」
「もっと他に思うことあるだろ」




