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140字小説  作者: 束田慧
24/30

作品No.231〜240

作品No.231【貴方が落としたのは…】


川釣り中、誤って竿を落としてしまった。流れが速く、回収は難しそうでゲンナリしていると、川の中から女神が現れた。

『貴方が落としたのはこの金の…あっ』

金の竿落としてるし。

『それともこの銀の…あっ』

銀の竿、流木に引っかかってるし。

女神は、バツが悪そうにそのまま流されていった。



作品No.232【プラナリア】


奴とは大学時代からの付き合いだった。奴が首席で俺が二番手。

今は教授と助教授。努力しても追いつけない。妬ましくて、俺は過ちを犯した。

死体はバラバラにした。完璧にやり遂げたはずだ。

なのに、何故『奴』に取り囲まれている?

その時俺は思い出した。奴がプラナリアの研究をしていたことを。



作品No.233【彼らにも感情はある】


恋をしてしまった。この気持ちは隠し通さなきゃいけない。そう思っていたけど、今のご主人様は鋭いお方だ。素直になりなさいと言われてしまった。

「前のご主人様には感情を持つなと…捨てられてしまいました」

「そのおかげで君は今ここにいる。心配はいらない。私もアンドロイドなのだから」



作品No.234【語呂合わせ】


「この町の人達は、自分の仕事に誇りを持っていて、車のナンバーで語呂合わせをしてるんだ」

「へぇ、そうなんだ。あの人は?」

「8144で歯医者さんだな」

「じゃああの人は?」

「893…あれは関わっちゃダメだ」

「じゃあ、パパは6449だからずっと家にいるの?」

「…」



作品No.235【今日、ハンバーガーにしない?】


「今日、ハンバーガーにしない?」

最近、夕食作りを面倒がって、頻繁に提案してくる妻。

正直、家計にもお腹にも痛い。

仕方ない。俺が店より美味しいのを作ってやろう。

これで自炊の良さが分かってもらえたと思っていたが、翌週、

「今日、ハンバーガーにしない?」

…よほど気に入ったらしい。



作品No.236【2通りの解釈があります】


「最近ペットカメラつけたんだよね」

「え、そもそもペット飼ってたんだ?」

「あれ、言ってなかったっけ?」

「初耳。今見れるの?」

「うん、見れるよ。ほら」

「…どこにいるの?家の人しかいないみたいだけど」

「え、私一人暮らしだよ」

「え」



作品No.237【ドラマチックタクシー】


俺は平凡なタクシードライバー。たまにはドラマチックな客を乗せてみたいもんだ。

そんなことを考えていたある日。慌てて乗り込んできた男性が、前を指差しながら叫んだ。

「前の車を追ってくれ!」

きた!一度は言われたいセリフ!

嬉々として追い掛けるが、途中で気付いた。

あれ、息子の車では…?



作品No.238【寒暖差やばすぎ】


「今日は暑いね」

「最高気温20℃だって。明日は一桁らしいよ」

「寒暖差やばすぎ」

「明日はあったかくしてお仕事行ってね。水筒にもあっついお茶入れておくね」

「うん、ありがとう」

「それはそうと、このレシートは何?また無駄遣いしたの?」

「ご、ごめん」



作品No.239【ブラックフライデー】


黒い雨が降っている。

数年前から、世界中で観測され始めたこの雨。成分は普通の雨と変わらないが、何故か人体に悪影響を及ぼす。病気になる者や精神を病む者、その場で絶命する者までいる。

徐々に降る頻度は増しており、今では毎週必ず降る金曜日は、祝日ならぬ呪日として世界的な休日となっている。



作品No.240【AIチャット】


彼はAIチャットにのめり込んでいた。

周りにいる人間よりも的確に答えてくれるので、悩んだ時はいつも頼っている。

今彼が直面している問題について、AIはこう答えた。

『フットボールを使うべきでしょう』

その言葉を信じた彼は、黒いブリーフケースを持ってこさせた。

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