作品No.231〜240
作品No.231【貴方が落としたのは…】
川釣り中、誤って竿を落としてしまった。流れが速く、回収は難しそうでゲンナリしていると、川の中から女神が現れた。
『貴方が落としたのはこの金の…あっ』
金の竿落としてるし。
『それともこの銀の…あっ』
銀の竿、流木に引っかかってるし。
女神は、バツが悪そうにそのまま流されていった。
作品No.232【プラナリア】
奴とは大学時代からの付き合いだった。奴が首席で俺が二番手。
今は教授と助教授。努力しても追いつけない。妬ましくて、俺は過ちを犯した。
死体はバラバラにした。完璧にやり遂げたはずだ。
なのに、何故『奴』に取り囲まれている?
その時俺は思い出した。奴がプラナリアの研究をしていたことを。
作品No.233【彼らにも感情はある】
恋をしてしまった。この気持ちは隠し通さなきゃいけない。そう思っていたけど、今のご主人様は鋭いお方だ。素直になりなさいと言われてしまった。
「前のご主人様には感情を持つなと…捨てられてしまいました」
「そのおかげで君は今ここにいる。心配はいらない。私もアンドロイドなのだから」
作品No.234【語呂合わせ】
「この町の人達は、自分の仕事に誇りを持っていて、車のナンバーで語呂合わせをしてるんだ」
「へぇ、そうなんだ。あの人は?」
「8144で歯医者さんだな」
「じゃああの人は?」
「893…あれは関わっちゃダメだ」
「じゃあ、パパは6449だからずっと家にいるの?」
「…」
作品No.235【今日、ハンバーガーにしない?】
「今日、ハンバーガーにしない?」
最近、夕食作りを面倒がって、頻繁に提案してくる妻。
正直、家計にもお腹にも痛い。
仕方ない。俺が店より美味しいのを作ってやろう。
これで自炊の良さが分かってもらえたと思っていたが、翌週、
「今日、ハンバーガーにしない?」
…よほど気に入ったらしい。
作品No.236【2通りの解釈があります】
「最近ペットカメラつけたんだよね」
「え、そもそもペット飼ってたんだ?」
「あれ、言ってなかったっけ?」
「初耳。今見れるの?」
「うん、見れるよ。ほら」
「…どこにいるの?家の人しかいないみたいだけど」
「え、私一人暮らしだよ」
「え」
作品No.237【ドラマチックタクシー】
俺は平凡なタクシードライバー。たまにはドラマチックな客を乗せてみたいもんだ。
そんなことを考えていたある日。慌てて乗り込んできた男性が、前を指差しながら叫んだ。
「前の車を追ってくれ!」
きた!一度は言われたいセリフ!
嬉々として追い掛けるが、途中で気付いた。
あれ、息子の車では…?
作品No.238【寒暖差やばすぎ】
「今日は暑いね」
「最高気温20℃だって。明日は一桁らしいよ」
「寒暖差やばすぎ」
「明日はあったかくしてお仕事行ってね。水筒にもあっついお茶入れておくね」
「うん、ありがとう」
「それはそうと、このレシートは何?また無駄遣いしたの?」
「ご、ごめん」
作品No.239【ブラックフライデー】
黒い雨が降っている。
数年前から、世界中で観測され始めたこの雨。成分は普通の雨と変わらないが、何故か人体に悪影響を及ぼす。病気になる者や精神を病む者、その場で絶命する者までいる。
徐々に降る頻度は増しており、今では毎週必ず降る金曜日は、祝日ならぬ呪日として世界的な休日となっている。
作品No.240【AIチャット】
彼はAIチャットにのめり込んでいた。
周りにいる人間よりも的確に答えてくれるので、悩んだ時はいつも頼っている。
今彼が直面している問題について、AIはこう答えた。
『フットボールを使うべきでしょう』
その言葉を信じた彼は、黒いブリーフケースを持ってこさせた。




