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140字小説  作者: 束田慧
2/30

作品No.11〜20

作品No.11【2段ベッド】


昨日、僕の家に2段ベッドが来た。僕達の部屋が狭いからって、お父さんが買ってくれたんだ。

よく覚えてないけど、兄ちゃんが下から蹴ってたみたいであまり寝られなかったから、今日はもう眠いや。

寝ようとする僕に兄ちゃんが言った。

「今日は上で寝ていいよ」

「また僕でいいの?」

「え?」



作品No.12【ジンクス】


うちの学校には、変なジンクスがいっぱいある。俺にとっては、どれも下らない。

そういえば、この階段にも『掃除した後は駆け上がったり駆け下りたりしてはいけない』ってのがあったな。

馬鹿馬鹿しい。ジンクスに行動を縛られるなんてごめんだね。そう思って、俺は階段を駆け下り出した。

あっ



作品No.13【母との再会】


母が失踪してから7年。父は「失踪宣告」を請求し、母を死んだことにするつもりのようだ。

だが、そんなことは認められない。もし俺が有名人になったら、連絡の一つも寄越すんじゃないか。そんな根拠のない希望に賭け、俺は行動を起こし、母と再会した。

穴あきガラスで仕切られた、面会室で。



作品No.14【特別研究員】


私は、とある研究所に特別研究員として派遣された。何故か前任者が失踪したらしい。

謎の身体検査を終え、何も分からないまま研究所に入った私は、最深部まで来てようやく気付いた。

培養器で眠る、異形の物達。

門外漢の私から見ても、ほとんどが失敗作だと分かるそれは、合成獣――キメラだった。



作品No.15【天使と悪魔】


財布を拾ったら、脳内天使と悪魔が現れた。

『いただいちまえよ』

『交番に届けるべきです』

さて、どうするか。中身を見てから考えようか。

「10万円入って」

『待て!俺がいただく!』

『いいえ!それは私のものです!』

…どうやら、天界と地獄の懐事情もなかなか厳しいらしい。



作品No.16【彼女にマティーニを】


恋人が失踪して一年。

行きつけのバーで酩酊していた俺は、カウンターの端にいたフードの女を一瞥し「彼女にマティーニを」とマスターに告げた。

彼女が好きなカクテルを他の女に…そう思うと、『泣き虫』とからかわれた涙が溢れてきた。

そんな俺にフードの女が呟く。

「相変わらず泣き虫なのね」



作品No.17【恋のキューピッド】


ある新米のキューピッドが、いじわるな先輩に仕事を押し付けられた。

先輩が言うには、

『山田さんは太郎君が好き』で

『太郎君は花子さんが好き』で

『花子さんは田中君が好き』で

『田中君は山田さんが好き』

という複雑な話だ。

この件を相談した別の先輩はこう言った。

「なんだ、両思いじゃん」



作品No.18【誕生日プレゼント】


私の彼氏は、少ない稼ぎでも誕生日プレゼントを忘れない。

去年の誕生日は、指輪を手に入れるために頑張ったら指を切ってしまったらしい。危ない仕事でもしてるのかな。

今年の誕生日にネックレスをくれた彼は、深刻な面持ちでこう言った。

「首が飛んじゃったから、来年はあまり期待しないでくれ」



作品No.19【100キロババア】


とある高速道路のトンネル内で道路の真ん中を走る人影を発見した。

まさか、噂の100キロババアか?

前の車も気付いたのか逃げるように速度を上げ、ババアも追いかけたが、すぐに失速し、膝に手をついて立ち止まった。

追い抜きざまに横目で見ると、そこには巨漢のババアが。

なるほど、100kgババアか…



作品No.20【強盗殺人】


強盗殺人事件が発生した。

買い物帰り、被害者は自宅に、その妻は隣の家に行ったそうだ。妻が隣人宅から戻る際に怪しい男を目撃。寝室で、大量の衣類に覆われた被害者を発見した。

物色中に帰宅した被害者をナイフで刺し、すぐに逃亡したものと思われる。

他の目撃者はおらず、捜査は難航しそうだ。

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