作品No.181〜190
作品No.181【イヤーワーム】
私は医者だ。最近、頭の中で同じ曲が鳴り続けているという相談が相次いでいる。
この現象は『イヤーワーム』といい、病気ではないが、患者達の精神に異常が見られた。
調べた結果、中耳に小さな虫を発見。
後日、摘出されたそれは新種の寄生虫であることが判明し、『イヤーワーム』と名付けられた。
作品No.182-1【高度な奇術は魔術と見分けがつかない】
私はマジシャン。公演中の事故で死に、異世界に転移した。
何も知らないこの地でどうやって生きていけばいいのか。この世界で奇術は通用するのか。
不安はあったがやるしかなかった。
だが、街の大広場で披露した奇術は、魔術にしか見えなかったらしい。
私は魔族と見做され、街を追放された。
作品No.182-2【追放奇術師】
私はマジシャン。異世界で魔族と見做され追放された。
体力は底をつき…気付いた時には見知らぬベッドの上。
どうやら魔族に拾われたらしい。よほど邪悪な存在なのかと思っていたが彼らはとても親切で、人間と魔族が敵対する必要などないように思える。
ならば私は、奇術で世界平和を目指すとしよう。
作品No.182-3【最期の奇術】
奇術師である父は、50年程前に異世界から来たらしい。
当時は奇術を魔術と間違われて魔族扱いされたそうだ。路頭に迷った父を保護したのが魔族である母で、私は混血だ。
半端者と蔑まれていたが、和平を結んでからは平穏に暮らしている。
人々は口々に言った。あの和平は父の最期の奇術であったと。
作品No.183【腐っても魔王】
私は勇者パーティーの賢者。魔王の下へたどり着くも、あえなく敗走した。
命はある。でも、大事な物を奪われた。
失意に沈む私に、魔王から念話が届く。
『これは貴様が描いたのか?』
「…はい」
『私の為に描くなら和平を結んでもいい』
こうして私は漫画家に転職。魔王の推しは『勇者✕戦士』だ。
作品No.184【消費税分はおまけ】
散歩中、気まぐれに宝くじ売り場に寄った。財布の中身は380円。ジャンボ1枚だけ買い帰途に就く。
途中にある金運神社で、残りの小銭を賽銭箱に投げ、当たりますようにと祈った。
気温が上がってきて家につく頃には汗だくに。昨日買ったアイスを食べると、棒に『1本当り』と書かれていた。
作品No.185【お化けミラー】
「お化けミラーって知ってる?」
「何それ?」
「ある山道に道幅が狭い急カーブがあって、そこで事故が多発してるらしい」
「カーブにお化けが映って、パニクって事故るとか?」
「いや、景色以外は何も映らないらしいよ」
「じゃあ、なんでお化け?」
「だから、何も映らないんだって」
作品No.186【土に還り、裏側で蘇る】
妻を殺した。死体は那覇市の山中に埋めた。
警察に捜索願は出していて、周りからは可哀想な旦那だと思われている。
だがある日、警察から『妻が保護された』と連絡があった。あり得ない。確かにこの手で殺したはずなのに。
更にあり得ないことに、保護されたのはブラジルだという。
それじゃまるで…
作品No.187【異世界社畜生活】
ある日、異世界に転移した。
右も左も分からない世界。だが、どんな世界でも、月休3日で終電まで働く生活よりはマシなはずだ。
転移当日に見つけた仕事は、1日8時間で週休2日。最高だ――そう思っていたが、そんなうまい話はなかった。
1日が12時間で、1週間が30日なんて知らなかったんだ。
作品No.188【木を隠すなら】
先日、ある凶悪犯がようやく逮捕された。口論になった友人を、かっとなって殺してしまったのだ。
しかし、彼の罪はそれだけではない。全ての罪を認めた彼は、刑事に動機を聞かれてこう答えたそうだ。
『木を隠すなら森の中、と言うだろ。森がなかったから作ったまでだ』
作品No.189【返ってきたのは…】
息子の早人が行方不明になった。
捜索が始まって1週間が過ぎた頃、郵便受けを開けると、そこには1通のハガキが。
何故か、宛名も差出人も書かれておらず、裏にただ一言こう書かれていた。
『十人を返してやる』
作品No.190【クレーマー】
とあるクレーマーの家に謝罪に来た。高級和菓子屋で買った大福も持ってきたし、あとは誠意を見せるだけだ。
「これ、つまらないものですが」
「ふんっ…仕方ないね」
その場は何とか丸く収まったが、翌日、
「あんたのせいで母が死んでしまった!この嘘吐き!」
と、クレーマーが怒鳴り込んてきた。




