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140字小説  作者: 束田慧
17/30

作品No.161〜170

作品No.161【┌(┌^o^)┐】


SNSに写真を載せていたら中性的と言われたので盛りまくったら、飢えた男達からメッセージが来るようになった。

正直鬱陶しい。仕方がないので今度は男っぽく加工して、イケメンにしてみた。

…やっぱり飢えた男達からメッセージが来る。



作品No.162【コピーロボット】


俺は今、特定の人物の性格や趣味、嗜好をトレースするAIを開発している。本人そっくりのアンドロイドを作るのが最終目標。

今は、自分をトレースした試作品を掃除ロボに載せたところだ。

起動すると普段通り掃除を始めたが…なるほど、ズボラな俺にそっくりだ。部屋の隅に埃が残っている。



作品No.163【現場猫案件】


「ヘルメット、ヨシ!」

「安全チョッキ、ヨシ!」

「安全靴、ヨシ!」

「今日も1日よろしくお願いします!」

「ご安全に!」

「監督…」

「どうした?」

「昨日打ったコンクリに猫の足跡が…」

「…かわいいからヨシ!」



作品No.164【『空振る』な話】


「お前が書いた140字小説、野球の話だよな?」

「そうだよ。予選通過できるかな」

「この白セルって」

「ホワイトセル」

「黒マ茶は?」

「クロマティ」

「塁青塁はさっぱり分からん」

「ベーブ・ルース」

「…なぞなぞかよ。他に削るところあるだろ。登場人物とか。予選通過とか、絶対空振りだわ」



作品No.165【ARお化け屋敷】


ARお化け屋敷にやって来た。リアルな体験ができるそうだ。

ゴーグルを装着していざ出発。

次から次へと襲い来る仕掛けに、隣の彼女は悲鳴を上げっぱなしだ。俺も平静を装っていたが、内心はドキドキだ。

何とか声を上げることなく出口へ。

「また来ようね」と手を振って、AR彼女は消えていった。



作品No.166【ARお化け屋敷別バージョン】


ARお化け屋敷にやって来た。リアルな体験ができるそうだ。

ゴーグルを装着していざ出発。

次から次へと襲い来る仕掛けに平静を装うが、隣の彼女は「何も起きないね」と言って平然としている。

強がりかと思ったが、「ゴーグルが壊れておりました!」とスタッフが駆け寄ってきて、背筋が寒くなった。



作品No.167【非情口】


最恐と名高いお化け屋敷に、女性2人組がやって来た。

あまりの怖さに「もう帰る…」と半泣きになる1人に、もう1人が前方を指差して言った。

「非常口ある!あそこから出よ!」

「うん…」

彼女達は知らない。

その扉が、非常口に擬態した最恐エリアへの入口であることを。



作品No.168【思い出のフィルム】


商店街の古びた映画館がクラウドファンディングとやらを始めた。地域の子ども達を無料で招待し、寄付した人の好きな映画を上映するのだそうだ。

この降って湧いたお金を使うのもいいかもしれない。

亡きあの人と初めて見たB級映画。フィルムはまだあるだろうか。



作品No.169【このネタが分かる人はたぶんアラフォー】


馴染みの武器屋で『最強の剣』を見つけた。

見たこともない文字が刻まれた鞘。ここぞという時にしか抜けないのだという。

俺を呼んでいるような気がして即購入。数日後、その時は来た。

強敵を前に光る鞘。柄に手をかけを引き抜くと…

「最強の剣じゃないのかー!」

剣身が小指程の長さしかなかった。



作品No.170【弘法】


「そろそろ手書きじゃなくてパソコンとか使ったら?」

「いいだろ別に。言うだろ。『弘法筆を選ばず』って」

「それは弘法になってから言えよ」

「うっせ。そういうお前は、一作目が話題になったきりだな?」

「仕方ないだろ。『弘法にも筆の誤り』だ」

「それこそ弘法になってから言えよ」

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