作品No.121〜130
作品No.121【カラカラ】
父の書斎で怪しい小箱を見つけた。振ってみるとカラカラと音がする。
好奇心に負けて開けてみると、得体のしれない生物のようなモノが入っていた。カラカラに乾いて、ミイラのようだ。
そっと蓋を閉じるといつの間にか背後に父が。私の顔を見るなり突然カラカラと笑い出したが、目は笑っていなかった。
作品No.122【丑三つ時の告白】
窓を叩く音で目が覚めた。時刻は深夜二時。
窓の外には誰もいない。そう。もう彼はいないんだ。家から出られない私と話してくれた彼。
最期まで想いを告げることはできなかったけど、今ならはっきりと言える。
「好き」
天国の彼に届くといいな。
そう願った瞬間、窓に文字が浮かび上がった。
作品No.123【鉱物が好物の怪物】
鉱物が好物の怪物がいた。食べたものが体内で混ざり、未知の鉱物が生成される。
これに目をつけた科学者は怪物を飼い慣らした。地球上に存在するあらゆる鉱物を与えて実験を繰り返す。
ある日、眩い光を放つ鉱物が生成された。それは、極めて強い放射線を出し、史上最悪の被曝事故を引き起こした。
作品No.124-1【孤独な少女】
少女はひとりぼっちだった。楽しみは人形と遊ぶことだけ。可哀想に思った魔女は、友達を作ってあげた。
男の子と女の子1人ずつ。3人で楽しく過ごした。
しかし、ある日2人に打ち明けられる。恋仲になったと。
悲哀に打ちひしがれる少女に、魔女は藁人形を渡した。
少女はまたひとりぼっちになった。
作品No.124-2【恩返し】
少女はひとりぼっちだった。楽しみは人形と遊ぶことだけ。
可哀想に思った魔女は、少女の人形に魂を与えた。
動き出した人形が言う。
「いつも遊んでくれてありがとう。『恩返し』に一緒に遊んであげる」
少女に友達ができた。
作品No.124-3【怨返し】
少女と人形は友達になった。
だが不安もある。呪った友達を思い出しながら少女は問う。
「あなたは裏切らない?」
「ずっと一緒。でも、『他の人形』には気を付けて」
「今度は僕達が『怨返し』する番だね」
「えっ?」
突然背後から聞こえた声に振り返ると、釘で貫かれた2体の藁人形がそこにいた。
作品No.125【物理で殴る】
『霊は物理で倒せます』
ある霊能者がSNSで呟いた。実際には酔った勢いで投稿したものですぐ消されたが、拡散された情報は消せない。
結果、凶器を手に心霊スポットへ行く輩が増えた。
そんな中、件の霊能者が撲殺される事件が起き、犯人はこう供述した。
『肝試し中、急に出くわしたから霊かと』
作品No.126【頭にかぶるものは全て特注】
「そのヘッドフォン、なんで天辺がドーナツ型なんですか?」
「これで玉ねぎ頭の人もヘッドフォンつけられるだろ?」
「それって一人にしか需要ないんじゃ…」
「その彼の『特注』だよ」
作品No.127【蝉】
猛暑の中、蝉が小鳥に追いかけられている。ジジジジジッとけたたましい声を出しながら右往左往していたが、突然木に止まって静かになった。
小鳥が迫ると恐ろしい奇声を発し、背中から巨大な口のようなモノが現れ、小鳥を食べてしまった。
暑さでおかしくなったのは俺の頭か、あるいは蝉の方か…
作品No.128【後夜祭】
夜空を焦がすような炎が立ち上っている。
俺は独り、椅子に腰掛けて揺らめく炎を眺めていた。焚き火は良い。祭りの喧騒で昂った心を落ち着かせてくれる。
見渡せば周りはカップルばかり。彼らの熱に当てられ、落ち着いたはずの心を焦がす。
勢いに任せて誘った彼女は来てくれるだろうか。
作品No.129【大喜利】
本日のお題は…ズバリ!私にあだ名をつけてください!
『大喜利クソ野郎』
ただの悪口だろそれ。
『不倫男』
人聞き悪いわ。
『脱税王』
いやいやいや。
『人殺し』
…何故知ってる。
作品No.130【補色のアイドル】
私達はデュオアイドル。普段は波長が合わないけど、ステージに立つとばっちりハマる。
マネージャーが言ってた。
情熱的な私のイメージカラーは赤。優しいあの子は緑。補色の関係にある私達は、お互いに引き立て合って鮮やかに見えるのだとか。
よく分からないけど、あの子となら天辺取れるかも。




