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140字小説  作者: 束田慧
13/30

作品No.121〜130

作品No.121【カラカラ】


父の書斎で怪しい小箱を見つけた。振ってみるとカラカラと音がする。

好奇心に負けて開けてみると、得体のしれない生物のようなモノが入っていた。カラカラに乾いて、ミイラのようだ。

そっと蓋を閉じるといつの間にか背後に父が。私の顔を見るなり突然カラカラと笑い出したが、目は笑っていなかった。



作品No.122【丑三つ時の告白】


窓を叩く音で目が覚めた。時刻は深夜二時。

窓の外には誰もいない。そう。もう彼はいないんだ。家から出られない私と話してくれた彼。

最期まで想いを告げることはできなかったけど、今ならはっきりと言える。

「好き」

天国の彼に届くといいな。

そう願った瞬間、窓に文字が浮かび上がった。



作品No.123【鉱物が好物の怪物】


鉱物が好物の怪物がいた。食べたものが体内で混ざり、未知の鉱物が生成される。

これに目をつけた科学者は怪物を飼い慣らした。地球上に存在するあらゆる鉱物を与えて実験を繰り返す。

ある日、眩い光を放つ鉱物が生成された。それは、極めて強い放射線を出し、史上最悪の被曝事故を引き起こした。



作品No.124-1【孤独な少女】


少女はひとりぼっちだった。楽しみは人形と遊ぶことだけ。可哀想に思った魔女は、友達を作ってあげた。

男の子と女の子1人ずつ。3人で楽しく過ごした。

しかし、ある日2人に打ち明けられる。恋仲になったと。

悲哀に打ちひしがれる少女に、魔女は藁人形を渡した。

少女はまたひとりぼっちになった。



作品No.124-2【恩返し】


少女はひとりぼっちだった。楽しみは人形と遊ぶことだけ。

可哀想に思った魔女は、少女の人形に魂を与えた。

動き出した人形が言う。

「いつも遊んでくれてありがとう。『恩返し』に一緒に遊んであげる」

少女に友達ができた。



作品No.124-3【怨返し】


少女と人形は友達になった。

だが不安もある。呪った友達を思い出しながら少女は問う。

「あなたは裏切らない?」

「ずっと一緒。でも、『他の人形』には気を付けて」

「今度は僕達が『怨返し』する番だね」

「えっ?」

突然背後から聞こえた声に振り返ると、釘で貫かれた2体の藁人形がそこにいた。



作品No.125【物理で殴る】


『霊は物理で倒せます』

ある霊能者がSNSで呟いた。実際には酔った勢いで投稿したものですぐ消されたが、拡散された情報は消せない。

結果、凶器を手に心霊スポットへ行く輩が増えた。

そんな中、件の霊能者が撲殺される事件が起き、犯人はこう供述した。

『肝試し中、急に出くわしたから霊かと』



作品No.126【頭にかぶるものは全て特注】


「そのヘッドフォン、なんで天辺がドーナツ型なんですか?」

「これで玉ねぎ頭の人もヘッドフォンつけられるだろ?」

「それって一人にしか需要ないんじゃ…」

「その彼の『特注』だよ」



作品No.127【蝉】


猛暑の中、蝉が小鳥に追いかけられている。ジジジジジッとけたたましい声を出しながら右往左往していたが、突然木に止まって静かになった。

小鳥が迫ると恐ろしい奇声を発し、背中から巨大な口のようなモノが現れ、小鳥を食べてしまった。

暑さでおかしくなったのは俺の頭か、あるいは蝉の方か…



作品No.128【後夜祭】


夜空を焦がすような炎が立ち上っている。

俺は独り、椅子に腰掛けて揺らめく炎を眺めていた。焚き火は良い。祭りの喧騒で昂った心を落ち着かせてくれる。

見渡せば周りはカップルばかり。彼らの熱に当てられ、落ち着いたはずの心を焦がす。

勢いに任せて誘った彼女は来てくれるだろうか。



作品No.129【大喜利】


本日のお題は…ズバリ!私にあだ名をつけてください!

『大喜利クソ野郎』

ただの悪口だろそれ。

『不倫男』

人聞き悪いわ。

『脱税王』

いやいやいや。

『人殺し』

…何故知ってる。



作品No.130【補色のアイドル】


私達はデュオアイドル。普段は波長が合わないけど、ステージに立つとばっちりハマる。

マネージャーが言ってた。

情熱的な私のイメージカラーは赤。優しいあの子は緑。補色の関係にある私達は、お互いに引き立て合って鮮やかに見えるのだとか。

よく分からないけど、あの子となら天辺取れるかも。

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