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第61話 ヤクザ同士だと

しかし、すぐ来るからということだったのだが


中へ入ったまま、なかなか出て来る気配がない。


聞くだけなのに何をやっているのだろう。


受付まで距離があるのだろうか。


待たされる側からすると、


しびれが切れるほど時間がかかったような気がしたころ、


やっと出て来た。


「待たせて悪かったな。


大丈夫だ。入れてくれる。


いくらだ。」


山道は店から出て来ると


開けたドアに上半身を入れて


財布から札と小銭をシートの上に並べた。


車の中ではどのような格好なのかよくわからなかったが、


店から出て来た山道はパンチパーマで


青いがらのアロハシャツと


黒っぽいズボンにサンダルをはいているが、


なんとなく精彩を欠いて見えた。


以前のように若い衆を引き連れ、


ベンツを転がして肩で風切って、


のして歩いていたときとはまるで別人だ。


お金の数え方もなんだか、チマチマしている。


狭瀬組の幹部なんだけどな。


と思いながら見ていた。


「まてよ。」


突然、山道の手が止まった。


「どうしたんですか。」


思わずたずねた。


「俺はヤクザに聞いちゃったかな。


あそこにいたやつに刺青いれずみしてても大丈夫かって聞いたら


大丈夫だって言ってたんだけど、


あれはヤクザだな。」


えっ、何言ってんだよ。


ヤクザって、そっちもヤクザだろう。


私は腹の中で叫んだ。


「あれは絶対ヤクザだ。


俺はヤバいやつに聞いちゃったよ。


ここはだめだ。よそう。


他へ行こう。」


山道は怯えたように言った。


えーっ、まだ降りないのかよ。


私はここまでで、この仕事は済むと肩の荷が降りていたのだが、


まだ降りないということになって、


また肩の荷がいちだんと重くなった。


なんだよ。


ヤクザなのにヤクザが恐いんかい。


私はまた腹の中で叫んだ。

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