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第44話 布石

嫌だなー。



こういうのは



乗っけたくないんだよな。



対処の仕様がないよ。



どうすればいいんだ。



私は自問自答していた。



こういう客は



下手な対応をすると



執念深くからんで来るから



気をつけなければ



ならないのだ。



「俺は金を払わないって



言ってるんじゃないんだ。



向こうに着いたら



二千円払ってやるって



言ってるんだ。



だから、



さっさと



メーター切れ。



早くしろ。



俺がクビにするって言ったら



本当にクビになるんだぞ。



それでもいいのか。」



小明はいつまでも



大声で



恫喝どうかつしつづけている。



どっちみち



金払うのなら



メーター切らせなければ



いいじゃないか。



意味ないだろう。



おかしいよ。



何考えてんだ



この人は。



頭が狂ってる。



こういう人間と



一緒にいると



こっちまで



頭が変になりそうだ。



このままでは



落ち着いて



運転することが出来ない。



それに、



これ以上



突っぱねたところで、



この客が



実際



いろいろな人脈を使って



タクシードライバーの



悪質な接客態度を



でっち上げて



問題にしたりすれば



下手をすると



私のほうが



悪くなってしまう



恐れがある。



面倒なことになりかねない。



仕方ない。



ここでメーター切って、



降ろしてから



二千円分



走って入れればいいか。



私は取りあえず



客に花を持たせ



メーターを切ることにした。



ただ



空車のままでは走れない。



違法行為になってしまう。



私は先輩から



教えられていた通り



賃送を空車にしてから



回送のスイッチを押した。



「そういう場合は



空車で走らずに



回送にすればいいんだよ。」



古株の先輩が



以前私に



助言してくれて



いたことを



思い出していた。



しかし



回送にしたところで



違法行為であることには



変わりはない。



ハラハラして



落ち着かなかった。



もし仲間に見られでもしたら



エントツしていることが



バレてしまう。



早く



この仕事を



済ませてしまいたかった。



「頭を下げろ。



下げるんだよ。



頭を下げねえか。



早く



頭を下げろって



言ってるんだ。」



突然



また



後ろから



怒鳴り声がした。



咄嗟とっさのことに



何のことかわからず



頭を



下げなければならないのかと



思って私は



運転しながら



一生懸命頭を下げた。



頭を下げたら



運転出来ないよな。



何で



俺が



ここで



頭を下げなくちゃ



いけないんだよ。



情けない想いで



しばらく



下げていたが、



「頭を下げたら



運転が



出来ないんですけど。」



我慢出来ずに



思わず



言いかけた



その時



「運転手さんが



メーター切ってくれたんだ。



人に見られたら困るだろ。



だから



早く



頭をさげろって



言ってんだよ。



バカ野郎。



そのくらい



言われなくたって



わかるだろう。」



小明が怒鳴り散らした。



子分に言っていたのだ。



「えっ、



俺じゃなかったのか。」



意味もなく



頭を下げていた



自分に



我ながら呆れた。



ばつが悪くて



冷や汗が出る。



「運転手さん、



私は



日本環境党というのを



やっているんだがね。」



小明が



突然話題を変えた。



「おたくの会社の



社長は



すぐ近所なのに



何で



俺んとこへ



挨拶に来ないんだ。



挨拶に来いって



言っとけよ。



わかったか。



必ず来させろよ。」



小明が



ヤクザ者が



脅しをかけるように



言った。



私は



こんな訳もわからないことに



いちいち



会社のお偉いさんが



挨拶に出向くこと



でもないと



思ったので



適当に



話しを合わせて



その場を濁しておいた。



勿論会社には



その亊は言わなかった。



ところが



すべてが



この男の



布石だったのが



あとから



浮き彫りになった。

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