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第37話 柔道二段

みんな警戒していたが



緊張はいつまでも続かない。



強盗もこっちまでは来ないのかな



と思って安心していた矢先、



馬山駅につけている



ダイオータクシーの赤田が



深夜、桶川まで客を乗せて行った。



支払いのときに



振り向いたところ、



突然



顔に催涙スプレーを噴きかけられた。



赤田は元警察官で、



体重百キロ越えの巨漢、



柔道二段の腕前だが、



体重があり過ぎて



機敏に身動き出来ず、



痛む目を押さえて



「あだだだっ」



と言ってる間に



強盗は売上金を奪って



悠々と逃走した。



強盗は始めから



太って動作の鈍い赤田を



ねらって乗り込んで来たのだろう。



柔道二段が何にもならなかった。



箱山駅の乗務員達は



次は俺達の誰かがやられるんじゃないか



と思っていたのだが、



ひと駅通り越して



馬山駅へ行ってしまったので



内心ホッとしていた。



結局



犯人はわからず仕舞じまいで



検挙けんきょされなかった。



それからしばらくの間



平穏な日々が続いた。



強盗があったことの記憶が薄れ始めたころ、



また森井駅の



森井タクシーが強盗にやられた。



今度は拳銃だ。



「金を出せ。



出さないと打ち殺すぞ。」



拳銃が本物か偽物にせものかわからない。



改造銃かも知れない。



しかし、



うっかり抵抗出来ない。



そして、



そのまま売上金を持って行かれた。



そしてどういうわけか、



また順番通りに



浅山駅の



浅山タクシーが拳銃強盗でやられた。



次は順番からすれば箱山駅だ。



また箱山駅の乗務員達が騒いでいた。



「拳銃じゃどうやってもかなわないな。」



「偽物ってこともあるだろう。」



「いや、



それが始めからわかっていればいいよ。



わからないんだから。



へたに抵抗して本物だったらやばいぞ。」



「やっぱり



拳銃じゃあきらめるしかないか。」



私も武道は少しかじったが、



拳銃じゃどうやっても



かなわないなと思っていた。



大山倍達あたりの達人なら



何とか活路かつろは見い出せるのだろうが



生兵法なまびょうほう



大怪我おおけがのもとだ。



抵抗しないほうがいいだろう。



とりあえず



乗って来る客の様子や



気配を感じ取るしか



方法がないのだ。



あやしいと思っても



「お客さん、



強盗するつもりじゃないでしょうね。」



とは聞けないのだ。



へたをすれば



名誉毀損めいよきそんにもなりかねない。



誰がやられるのだろうと



思っていたが、



また箱山駅を通り越して



馬山駅、



ダイオータクシー、



元警察官、



柔道二段の赤田が



馬山市内で



拳銃を突き付けられて



売上金を持って行かれた。



同じ人が二度も



強盗にやられるというのも珍しい。



これは



前回の連続強盗事件の犯人と



同一人物ではないかと思われるが、



いまだに



犯人は捕まっていない。



そして



その後タクシー強盗は起こらなくなった。



しかし



そのかわりに



今度はコンビニ強盗が連続しだした。



箱山駅周辺のコンビニエンスストアーが



軒並みやられた。



私がいつも行っている



サイコーストアーもやられた。



それは



地方都市にチェーン展開している



小規模のコンビニだ。



いつも七十代のおばあさんが



店番している。



その日も



深夜まで



おばあさんが店番していた。



強盗はおばあさんが一人になるのを



待っていたのだろう。



客が途切れたところを



見計みはからって



店に押し込んだ。



ナイフを突き付けられたおばあさんは



抵抗出来ないまま



売上金を取られてしまった。



これも犯人は悠々と逃走し、



見つかっていない。



それ以来



その店は深夜営業をやめた。



強盗に入られたあとも



私はその店で買い物をして



おばあさんとよく話しをしていたが、



そのおばあさんには一つだけ困ったことがあった。


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