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第22話 明智小五郎

「いつ後をつけるんですか。」



私は尾行に興味を引かれて聞いた。



「いまうちの人いる。



これから出かける。



出かけたら



私来て言う。



どこいく調べる。



わかたですか。」



貴族が毅然きぜん



命令を下すように言って、



コネロさんは家に戻って行った。



コネロさんが行った後、



私はこれから始まるであろう



追跡劇に



自分が少年探偵団の



明智小五郎になった気分で



ワクワクしながら



尾行の方法を考え始めた。



どうしたら相手に気付かれずに



ツケて行くことが出来るのだろう。



私は腕組みして



あごをさすりながら



さくをめぐらせた。



まず



おじさんは歩いて駅まで行くはずだ。



始めからうしろについて行くと



すぐにわかってしまう。



そこで



途中から右へ曲がって



線路の側道を行けば、



その先で



おじさんが歩いて来る道と



合流する。



そうすれば



他の道から来た者が



尾行者だとは思わないはずだ。



そうだよな。



手前の道からだよな。



私は自分で思い付いたアイディアに



ひどく感心した。



んーこれだー。



これはいい。



さすが天才だ。



独り言をプツブツ言いながら、



おじさんが電車に乗ったり、



バスに乗ったりして、



最後にうしろを警戒しながら



女のアパートの部屋に入って行くところを



突き止めている妄想が



次々といて来て、



早くおじさんが出かけないかと



ウズウズしていた。



「しんちゃん、しんちゃん、



早く早く、



うち出た。



早く。」



おばさんがバタバタ慌てて



走って来て叫んだ。



私はすっかり明智小五郎だから



落ち着き払って



悠然ゆうぜんと靴を



玄関から路地に出た。



コネロさんは金切り声で



「早く、早く」



を連呼している。



私の家は通りから路地を入って



三軒目だった。



出て見ると、



すでに



おじさんは通りに出たあとで



姿はない。



私は小走りに



通りの角まで行って、



家の壁越しに顔を半分出して



のぞくと



おじさんがだいぶ先のほうを



歩いているのが見えた。


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