表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/63

第16話 勘違い

女はそのまま歩いて来ると、



「話しがあるそうだから



電話に出て下さい。」



無表情で言った


厄介やっかいだな



と思いながら車を降りると



受話器を取った。



そして



「電話替わりました。」



恐る恐る声をかけた。



「バカヤロー、



ふざけてんのか、



おまえ。」



電話に出るなり



ドスをかせた怒鳴どなり声がした。



「いえ、



申し訳ありません。



勘違いしたものですから。」



私はあわてて言い訳をした。



「なめてんだな。



どうなるかわかってんだろうな。



申し訳ないでむと思ってんのか。」



相手はすごんで言った。



「すいません。



申し訳ありません。」



私は言い訳の言葉も見つからないまま、



繰り返しあやまるしかなかった。



これはただじゃ済まないな。



相手がどんな要求をしてくるだろうか。



どうしたらいいんだろう。



私は内心穏おだやかではなかった。



「おまえ、



すぐ浅山のタヤマホテルまで来い。



わかったな。



すぐ来い。」



来たらぶんなぐってやるという響きが



男の言葉にあった。



「はい、



わかりました。」



私は浅山で殴られるかも知れない



と思いながら覚悟を決めて答えた。



女に受話器を手渡すと車に戻った。



しばらくして



女が電話を切って車に乗り込んだ。



車を発進させたが神経痛がひどく、



首を回せない。



腕が痛んで



止めておいたメーター機のスイッチを



押す指先がプルプル震えている。



たぶん彼女は私がおびえていると



勘違かんちがいしていているのではないか



と気になった。



先程無線で聞いておいた記憶をたどって、



はらはらしながら線路ぎわの道を走った。



向こうに着いて



一発で場所がわからなかったら



また大変なことになる。



私の緊張はますます高まった。



浅山駅が見えてきて、



その先が突き当たりになる。



その手前を右に曲がるのだ。



私の緊張はきょくに達していた。



「あっ、いた」



女が突然声を上げた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ