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第12話 無線

それからしばらくたって、



そこの虎が逃げ出して



大騒ぎになった。



餌を与えた組員が



鍵をかけるのを忘れたらしい。



虎は近所の住宅街に逃げ込んで、



姿をくらませたが、



警察官と猟友会が動員されて、



気の毒な虎は



撃ち殺されてしまった。



しかし組関係で



行方不明になっている者がいるらしいが、



誰かが殺して



虎に食わせてしまったのではないかと



陰ではうわさになっていた。



そして



この本上というヤクザの名前を聞いたとき、



私はタクシーの仕事を始めた頃の出来事が



鮮明によみがえって来た。



タクシーの乗務というのは



慣れていないとひどく神経を使うものなのだ。



連日、道がわからず、



客から怒鳴られ、



おまけに酔っ払いの客にはからまれて、



ストレスで首から左肩にかけて



神経痛になっていた。



寝ていても寝返りも出来ないほどの



痛みが出てしまって、



首はうなづいたりすると



左の首、肩、指先まで



ズドーンと



激痛が走る。



うっかり



客の話しに相槌あいずちを打ったりすると、



その衝撃で、



思わず悲鳴をあげそうになるのだ。



ハンドルを回すのも



つらい状態だった。



「箱山駅先頭どうぞ。」



無線が鳴った。



私の番だ。



「35」



35号車に乗っているため



その番号を言った。



「35、ホテルニュー浅山、



従業員さんからの電話です。」



無線番が言った。



「了解」



お客さんからの電話じゃないんだな



と思いながら無線を返した。



ニュー浅山は



駅からさほど離れていないところにある。



ホテルに着くと



部屋が五、六戸ほど



一戸建の小屋になっていて、



どの小屋かわからない。



どこだろうと戸惑とまどっていると、



従業員が出て来て、



人目をはばかるように



ヒソヒソと



「そこの出入口のところに



車をピッタリ横付けして、



ドアを開けて待っていて下さい。」



緊迫した表情で言った。



ただならぬ様子に



ドキドキしながら横付けして、



ドアを開けて待っていた。



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