アイン メーデル ウント アイン ヴォルフ/オオカミの部屋にやってきたもの
Ein Mädel und ein Wolf
乙女とオオカミ
夜勤明けの朝。
赤々と昇る太陽に目をしばたき、何度もあくびをする。
地下鉄の揺れが心地よい。
駅からうちまでの道のりには、獣の子どもたちが通う私立幼稚園がある。
幼稚園では、既に登園した幼獣たちが絵本を読んでいる。
『むかし このせかいには ニンゲンといういきものがたくさんいました』
『ニンゲンはたくさんいたので わるいことも たくさんしました』
『わたしたちの ずっとむかしのかぞく けものたちをいじめたりもしました』
『やさしいかみさまは ニンゲンたちをおこりました』
『ニンゲンたちは ばつをうけたのです』
『それでいまののニンゲンは むかしのけもののように なったのです』
『こうしてせかいは しあわせでいっぱいになったのです』
幼い猫の子は、赤い表紙の本をぱたんと閉じた。
ちょっと大人ぶったような顔をして、ふうっと息をつく。
「あらマリーちゃん、もう全部読んだの?面白かった?」
先生が聞く。
「うん、面白かったよ」
「世界がしあわせでいっぱいになって、よかったね!」
ふわふわの毛をした猫の子は、無邪気な笑顔を見せた。
*****
部屋の鍵に、昔に友達がくれた土産物のキーホルダーが揺れている。
いつもポケットに突っ込んでいるので、マスコットの色はずいぶんはげてしまっていた。
それを横目でちらりと見て、オオカミのアレンは誰もいない部屋に入った。
バスルームの洗面台で顔を洗い、来ていた上着とカバンを定位置に戻す。
テーブルに置いてあるノートパソコンのスイッチを入れ、その足で冷蔵庫を開けてパンとジャムを取り出す。
ジャムは、母お手製の黒いキイチゴのものだ。
ジャムを塗ったパンを2つ折りにして、パンくずを落とさないように気を付けてかぶりつく。
「うまい…」
思わず、声が出る。
思えば、昨日は仕事が忙しくてろくに夜食も取れなかった。
大きな体を動かすには、とてもじゃないけどエネルギーが足りない。
ようやく立ち上がったPCで、数週間前にルームメイト募集のメッセージを載せたサイトを開く。
今日も新着メッセージはないらしい。
口をもぐもぐさせながら、電源を落とす。
ジャムの付いた手をちょっと舐めて、手を洗う。
そのまま、窓際のソファにどっと倒れこむ。
着替えてベッドまで行かなくてはと思うのだが、それよりも眠気が勝っていた。
ややあって、かすかないびきが部屋に響いた。
*****
往来のざわめきの中、ロッテはふと目を覚ました。
ベンチで一休みのつもりが、つい眠ってしまったらしい。
道を行きかう獣たちの視線が痛い。
ロッテは少し気まずくなって、ベンチに座り直した。
肩から下げた布バッグの中からメモを取り出す。
メモにはいくつもの箇条書きがあり、その多くに斜線が引いてある。
それは、アパートのリストだった。
ツイてない。
アパートの建て替えだなんて。
あそこを見つけるのも、本当に大変だった。
ベアンハルトさんが何とか話を付けてくれて、やっと決まったんだから。
それなのに、体よく追い出されてしまった…。
店で寝泊まりするようになってから、もう2週間近く経っている。
あの場所は好きだけど、いつまでもあそこにいるわけにもいかない。
ロッテは、ふうっとため息をつく。
そして、両頬を自分でギューッとつねってみる。
再び往来の視線が突き刺さるが、彼女はそんなことは気にしない。
「負けるな、わたし!」
ロッテは自分を励まして、再び歩き出した。
*****
さっき、キイチゴのジャムを食べたせいだろうか。
アレンは、珍しく昔の夢を見ていた。
痛いよーと、子どもの泣く声。
ちがう、ちがうよ。
怪我をさせるつもりなんてなかったんだ。
でもその子は、おれを睨んでこう言ったんだ。
『やっぱりおまえは、きたないけものだ!』
『いきものの肉をくう、らんぼうなやつだ!』
ちがう、おれは…。
呼び鈴のついた、1枚のドア。
さっき彼を罵った男の子は、何度も何度もそのベルを押す。
ビーッ、ビーッ、ビーッ。
やめて!
そんなことしないで!
ビーッ、ビーッ、ビーーーーッ!
違う。
違う、あれはうちの…。
うちのチャイムだ。
さっき倒れたままの格好で、アレンは目を覚ました。
夢の続きで、さっきから呼び鈴が鳴っている。
はっとして、玄関に向かう。
「あ、大家さん…」
ドアの先には、このアパートの管理をしているヤマアラシの大家がいた。
さっきから呼び鈴を押しまくっていたのは彼女で、アレンはこの初老のメスが苦手だった。
「あ、じゃありませんよ」
寝起きでぼーっとしている彼に冷たい視線を送り、ヤマアラシは言う。
背中の針が逆立っている。
ご機嫌斜めの様子だ。
「あのね」
「前からお願いしていたルームメイトの件、あれ、どうなったんです?」
「あー、あれですね」
大きな手で、顔をひと撫でする。
彼の視界のだいぶ下の方で、ヤマアラシの大家はいらいらしている。
「あの、やってはいるんですけど…」
「相手がオオカミだって分かると、どうもキャンセルが多くて」
アレンは、申し訳なさそうに頭をかく。
実際、申し訳ないとは思っている。
「もう少し、待っていただけるとありがたいんですけど…」
「あなたね、やり方が悪いんじゃなくて?」
ヤマアラシは、なおも攻撃的だ。
相変わらず下の方で、何やらこちゃこちゃ言い続けている。
ヤマアラシの針って太くて、刺さるとすごく痛いらしい。
昔、ヤマアラシの子をからかってひどい目に遭った友達がいたっけ…。
アレンは、ぼんやりとそんなことを考えていた。
「で、聞いてるの!?」
キイキイ声でまくし立てられる。
この大家の強い香水の匂いも、嗅覚の敏感なアレンには辛かった。
まして、今日は夜勤明けだ。
いつもの倍、辛い。
「おたくはどうものんびりしすぎているようだから、私がこれを作ってあげましたよ!」
そう言って差し出したのは、1枚の紙。
この201号室の、ルームメイト募集の旨が書かれている。
「とりあえず、これでも貼っておきなさいな!」
「…はい」
心持ち頭を下げて、怒れるヤマアラシおばさんを見下ろした。
眠くて、目つきがちょっと悪くなる。
「ヒイッ!」
睨みつけられたと思ったのだろうか。
彼女はきつい香水の臭いだけを残して、さよならも言わずに行ってしまった。
あたふたと廊下を急ぐ様を見て、アレンは悪いことをしたなとは思う。
こんなのは、よくあることだけど。
すぐに貼らないと、本当に背中の針でグサッとやられそうだ。
そう思ったアレンは、エントランスの扉に紙を貼った。
紙からも、香水の臭いが漂ってくる。
思わずオエッとなって、顔をしかめて口を押えた。
そこへ、急に風が吹く。
紙に残った香水の臭いが、吹き飛ぶようだった。
べしゃっ!
その風にあおられて、1枚の紙が彼の顔に張り付いた。
*****
部屋探しのため、ロッテは歩き続けていた。
歩いて、どんな小さな家でもいいから間借りできないかと聞いて回るつもりであった。
入居者やルームメイトを探しているというチラシを見つけるのは、そんなに難しいことではない。
しかしロッテが申し出ると、たいていは理由を付けて断られてしまうのだった。
そういうことには、彼女はもう慣れっこになっていた。
平等な社会になったと言われるが、わたしのような存在への風当たりは未だに強いらしい…。
ベンチでのうたた寝の後、さらに2つのアパートに出くわした。
そのうちのひとつには『空き部屋あり』の広告があったにも関わらず、問い合わせると満室だと言われてしまった。
彼女は疲れ、やけになりつつあった。
目をつぶって歩いてみて、最初に出くわしたところで部屋を借りられるか聞いてみようか。
そんな馬鹿げたことすら考え始めていた。
そこに、一陣の風が吹く。
風はバッグの中でも吹き荒れ、その中から紙を数枚奪い去っていく。
「あっ!」
ロッテは、あっという間に巻き上げられた紙を急いで追いかける羽目になった。
本当に、ツイてない…。
*****
風が収まっても、紙はアレンの顔に張り付いたままだった。
今日は夜勤明けで叩き起こされ、きつい香水の臭いを嗅がされ、ルームメイト募集のチラシを貼っているところに、自分に紙が張り付いたわけで。
怒る気力もなく、アレンは顔から紙を引きはがす。
何だろうと思って見れば、それは破いたスケッチブックの1枚のようだった。
白い紙面に、色鉛筆で色が塗られている。
まるで幼獣のお絵描きのように、いろいろな色が踊っている。
この近くにある幼稚園から飛んできたのだろうか。
「あっ…」
その声の方向に、誰か立っている。
走ってきたのだろうか、はあはあと息を弾ませていた。
彼は驚かずにはいられなかった。
息を切らせて現れたのは、人間だったのだから。
「あの…それ、わたしの…」
その人間は、何とか呼吸を整えながらアレンのほうに近付いてきた。
「?」
それって、何だ?
「それ、それ」
相手は、アレンの手にしているスケッチブックの紙を指している。
「え?ああ、これ…」
ようやく分かって、それを手渡す。
本来なら、こんなもの飛ばして…と文句のひとつでも言えばよさそうだったが、今はそういう気も起らなかった。
とりあえずチラシは貼ったし、大家も少しは大目に見てくれるだろう。
まあ、一時的なものではあるかもしれないが。
何はさておき、アレンは今すぐベッドに戻りたかった。
「あ!あの!」
急き込むように声をかけられ、彼は自分の目の前に人間がいるのを再び思い出した。
人間。
かつてこの世界を支配していた、生き物たち。
その座を獣に奪われ、かつては迫害され、その社会的地位は今なお低いという。
希少動物と同じようにその存在は珍しく、それでいて同時に鼻をつままれるような存在でもあった。
「えっと…」
眠気で、頭がうまく回らない。
この人間は、一体何を言いたいのだろう。
「あの、これ…これって、このアパートの?」
指さしているのは、先ほどアレンが貼ったばかりのルームメイト募集の貼り紙であった。
「うん、そうだけど」
「あなたがここの大家さんなの?」
「いや、俺はここに住んでて…それはうちのルームメイトを探すビラなんだよ」
小さいのによく動くなあ。
アレンは、人間を見てそんな風に思っていた。
「あなたの部屋!?ルームメイトを募集してるの?」
「そうだけど…」
だから、そう言ってるじゃないか。
「うそうそ!」
アレンにはお構いなしで、その人間は興奮している様子だった。
彼は改めて、目の前で跳ねるように動いているそれを注視してみた。
声の感じや小柄な体つきからして、おそらくはメスなのだろうか。
はちみつ色がくすんだような独特の毛色で、長い髪を後ろで結っている。
目は、グリーンがかった茶色というところ。
そしてよく動くし、よく喋る。
「ねえ、もうルームメイトは決まっちゃったの!?」
「え?まだだけど…」
「あの、いきなりでびっくりするかもしれないけど、わたしじゃダメかな?」
「え?きみ?」
「そう、わたし」
「きみが、何だって?」
「だから、あなたのルームメイト」
しばらくの沈黙の後、眠気が急激に覚めていくのを感じる。
「えーーーー!?」
「…やっぱり、ダメかな?」
その人間は、心持ちしゅんとしたように見える。
「いや…ダメとかそういうんじゃなくて…」
アレンは、ただただ驚いていた。
この人間は、オオカミのことを知らないのだろうか。
知らなくても、目の前にいる自分よりずいぶんデカいこんな獣と、ルームシェアしたいと思うのだろうか?
羊なんかには、道ですれ違うだけでマッハで逃げていくやつもいるというのに。
「ダメじゃないの?」
「わたしでもいいってこと?」
「ねえ、そういうこと?」
人間のメスは、矢継ぎ早に質問してくる。
「ちょっ、ちょっと待って!」
アレンは、さすがに制止せずにはいられなかった。
「ええと…きみが同居するのは俺…オオカミだって分かってる?」
「分かってるわよ、書いてあるじゃない」
人間は、ビラを示す。
よくよく見ればビラの一番下のほうに、かなり小さい字で『同居するのはオオカミです』と書いてある。
「いいの?それで」
「いいのって…何か問題がある?」
「それとも…人間はお断りって感じなの?」
彼女は、見上げるようにアレンを見た。
「そんなことはないんだけど…」
彼は、戸惑っていた。
同じ肉食獣ならまだしも、こんな小さい生き物が自らオオカミのテリトリーに入りたがっているという経験がなかった。
「わたし、すごく困ってるの!」
「住んでたアパートが建て替えで…それを理由に追い出されちゃって」
「一刻も早く新しい住処を見つけたいのよ」
「もし人間が嫌じゃなかったら、お願いします!」
そう言って、彼女は手をぐっと差し出した。
アレンはすっかり面食らってしまっていたが、彼女は気の毒なほどに一生懸命だった。
人間が嫌じゃないか?
その点について、彼には思うところがあった。
嫌かと問われればそうでもないと思うが、彼の中には、未だに消化しきれていない過去があった。
さっき夢で見た、アレンを『きたないけもの』と罵った男の子とのことだった。
その小さな人間は、さっきからアレンの眼下で頭を下げている。
差し出された手は、彼のそれよりもずっと小さい。
ややあって、アレンはその手をやんわりとつかんだ。
「俺は、きみがよければ構わないんだけど…」
そう言うと、彼女の顔がぱっと明るくなった。
しかし、ヤマアラシの大家は何と言うだろうか。
アレンはそのことばかりが気がかりだったが、小さい人間はただただ喜んでいる様子だ。
名前を、ロッテというらしい。
最終的に入居者を決めるのは、大家であるヤマアラシの役割であった。
アレンとロッテは、そのために彼女の部屋を訪ねた。
ビラを貼ってすぐに借り手が見つかったというアレンの言葉に、彼女は満足そうだった。
「まさに私のおかげね!」
相変わらずきつい香水の臭いをぷんぷんさせながら、ヤマアラシは自室の入り口でそっくり返る。
しかしアレンがその人間、ロッテを紹介すると、彼女の顔色はさっと変わった。
予想通りの展開であった。
そもそも、ヤマアラシの大家が躍起になってアレンのルームメイトを探していたのには理由があった。
自分のアパートにオオカミが一匹だけで暮らすなんて、悪い評判が立つのではと危惧していたからでもあった。
それゆえにできれば気弱な草食獣などをあてがい、彼が危険な肉食獣でないことを周囲に知らしめたかったようである。
この世界で草を食う者と肉を食う者は対等だとされているが、本質的には微妙に違う。
草食獣は本能的に肉食獣を怖がる傾向にあり、肉食獣はそんな彼らをどこか下に見ている節もある。
その両者のガス抜きとなっているのが、人間という生き物の存在であった。
かつての共通の敵を攻撃することで、草食獣と肉食獣はその関係を良好に保っている部分がある。
今の世界で、人間はそういう位置に立たされている。
そんなわけで、大家もこの人間がお気に召さない様子だった。
あれだけさっさと探せとせっついてきたくせに、今はとても歯切れが悪い。
ああだこうだと難癖を並べて、彼女を追い出したいという魂胆が見え見えだった。
アレンは、それが面白くなかった。
「俺は彼女でいいのですが…何か問題がありますか?」
ちょっと、攻撃的な態度に出てみる。
「問題なんてそんな…そういうことではないのだけど」
ヤマアラシは、もごもごと言葉を濁している。
彼女がはっきりと拒否できないのには、もちろん訳がある。
人間だからという理由で、彼らの持つ権利をはく奪することはできないという法律があるのだ。
人間には、法律上では獣と同等の権利が認められている。
なので、人間だからというだけで入居を拒否するということはできないのだった。
さあ、どうする?
アレンは、成り行きを見守った。
「まあ…そうね、あの…」
大家は、なおも歯切れの悪い言葉を繰り返している。
その中で、何か断る理由を見つけようとでもしているのだろうか。
一方、ロッテは、さっきから何やら忙しそうであった。
見れば、バッグからスケッチブックと鉛筆を取り出し、何か描いているらしい。
こっちはこっちで、悠長なもんだな…。
アレンは、少し呆れてしまった。
「はい、できました!」
ロッテは、部屋をうろうろしていたヤマアラシにスケッチブックを広げて見せた。
そこには、彼女と思しきヤマアラシが描かれている。
実際は、かなり美しく描かれたものであったのだが。
全体的にほっそりとした印象で、彼女が気にしている突き出た歯も目立たないようになっていた。
「これ…私なの?」
「ええ、お美しいので1枚描かせていただきました」
朗らかに笑って、ロッテは答えている。
アレンは思った。
この人間、もしかしたらかなりしたたかなのかもしれない…。
大家の了承を得て、ロッテの入居はあっという間に決まった。
彼女はアレンとロッテが帰った後も、うっとりとさっきの絵に見入っていた。
この美しい肖像画を入れるのにふさわしい額がいるわね。
彼女は、明日それを買いに行こうと考えていた。
*****
まったく、びっくりさせられた。
アレンは、もはや眠いことなどすっかり忘れてしまっている。
入居の決まったロッテに2階の自室、正確には彼女もこれから住むことになる部屋を案内していた。
「ここが、これからのきみの部屋だよ」
「わあー!」
決して広くはない室内ではあるが、タンスに書き物机、ベッドなど、すぐにでも暮らし始めることはできるようになっている。
うちのように、家具の備え付けられているアパートは珍しくない。
「えーと…ああ、これが鍵ね」
アレンは、先ほど大家から受け取っていた合鍵を手渡した。
まだキーホルダーも何も付いていない、シンプルな鍵1本。
「ありがとう」
ロッテは、それを嬉しそうに受け取る。
「引っ越しはいつにするの?」
「荷物は少ないけど、知り合いが車を出してくれるって」
「明後日には、完全に終わると思うけど」
同居するといっても同棲とは違うわけで、ルームメイト同士が干渉し合うことはあまりない。
アレンは入居の予定を軽く聞いただけで、話を終えてしまった。
「しかし、驚いたよ」
「あの大家さん、気難しいので有名なんだ」
「ああ、あれ?」
ロッテは笑っている。
「たまに使う手なんだけど、全然通用しない相手もいるの」
「そもそも、今日みたいに直に会うのすら難しいときが多いのよ」
「うまくいってよかった!」
そう言って、いたずらっぽく笑ってみせた。
それを聞いたアレンは、人間が普通に暮らす難しさを改めて痛感した。
そして同時に、それに負けずに進んでいく彼女のたくましさに感心もしたのだった。
こうして、1匹と1人の生活は幕を開けることになった。
「これから、よろしく!」
ロッテは、さっきのように手を差し出す。
大きな獣に対しても、気負うところはまるでないらしい。
そのさっぱりさが、アレンには好ましく思えた。
「こちらこそ、よろしく」
今回もやはり、やんわりとその手を握った。
第1回は、少し長めになりました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
(特に、スマホユーザーの方はお疲れさまでした)




