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死神の飼い猫ぷらす  作者: 稲狭などか
10/14

猫と狼が遊ぶ場所 2

存在を忘れてたぜ!


 光を放ったベルトは正明を包み込むと彼の姿をフリフリ衣装の魔法少女形態へと変貌させていた。


「なんだこれ!?」

「可愛い趣味だな! ますます俺好みだ!」


 正明は飛んでくる魔法に手に召還されたステッキを投げつける。半ばやけくそなところもあった。この距離では歌も呪文も唱えられないし、罠を張るのだって難しい。

 やけくそに投擲されたステッキは空中で加速すると氷の柱を打ち砕いて優等生を吹き飛ばした。


「加賀美! これだけはナイス!」


 正明はホルスターから魔法を発動するとステッキを手元に引き寄せてそれを軽快な動きで、円を描くように振る。その軌道は空中に蒼い光を放つ魔法陣を生み出した。

 このステッキは詠唱破棄に特化した魔装で、魔法に必要な詠唱や歌を短縮することができる。

 ただし、威力は減る。

 正明は左目のスキャンでステッキの特性を理解すると描いた魔法陣から二体の鎧を着た騎士を召還する。


「僕のため敵を薙ぎ払え! 行け!」

「「御意に!」」


 美しいつば鳴りを響かせて剣を引き抜いた騎士が優等生に斬りかかる。もちろん刃は落としてあるから鈍器である。切り殺すことにはならないから平気だ。死ぬほど痛いのは変わらないが。

 だが、さすが優等生。防御魔法をしっかり張って逃げ回っている。

 こうなればもう正明の勝ちだ。

 彼はため息を吐きながら小瓶を三本引き抜いてステッキに中身の魔力をかけると、魔力で生成した弓を優等生へと向けて、ステッキを矢の代わりにする。


「宗次郎ほど得意じゃないんだよ。取り押さえろ」

「御意!」


 使い魔の一人が優等生を羽交い絞めにすると正明は躊躇い無く気絶属性が付与された魔力の矢が彼を貫いた。

 何かを言い終える前に優等生は床へと沈み込む。


「あぶねぇええええええ! くそぉ! ネタでも召還使えてよかった!」


 正明は息を切らしてその場に倒れ込んだ。

 スカートにツインテールの女の子がしていい格好ではないが、彼にはもう関係のないことだ。


「ざまぁみろ……女を顔で選ぶとこうなんだよ!」


 そう叫ぶと正明は辺りを見渡す。

 そこには大勢の蒼の劣等生たちが彼の姿を見ていた。


「なぁー!?」


 変な声を挙げた正明は顔を真っ赤にするとその場から走って逃げた。フリフリ衣装で、ツインテールで、その上に子供の玩具みたいなステッキを握りしめた姿なんて生き恥以外の何物でもない。


「うわぁーん! もうヤダー!」


 女の子みたいな声を出して正明は黒い霧を出してその中へと飛び込んで姿をくらました。



「ふざけんな! このクソ狼!」


 WELT・SO・HEILENの第一船の自室で変装をようやく解けた正明が加賀美に怒鳴り声をあげていた。


「いいじゃん、可愛くて」

「魔法少女はねーだろ! 僕にあんなん似合うか!」

「すっごく似合っていたよー? リーダーを支えるツンデレブルーって感じで」

「そんなリーダーいないよ!」


 正明は怒ってみゃーみゃーと小言を言い続けるが、彼は後にこの姿が学園内でプチ流行して数ヶ月ネタにされることになった。

この後、またツインテにされた

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