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馬車は順調に進んで峡谷を少し入ったところで馬車は止まった。

「何てことだ!くっ!これでは商談に間に合わない……進めない」

ドルチェに言われて馬車から出ると落石だろうか?……大きな岩が道を塞いでいた。


「ジャイロ様……申し訳ないが、今の人数と道具ではこの岩を処理することができません……後続で他の馬車が来るのを待ちます」

確かにこんなに大きな岩……俺たちにはどうにも出来ない。


「わかった……ああ、あと俺の事はジャイロって呼んでくれ」

ドルチェはそれを聞いてニコッと笑って返事をした。


ゴーレムは岩に近づき触ったり、少し叩いたりして何かを確認しているようだった。

……そうだ…彼にも名前をつけてあげようか……融合ゴーレムのユーゴ……単純だが気に入ってくれるだろうか……


『Master……少し良いでしょうか?』

「なんだい?」

岩を見ていたドルチェは振り向き不思議そうな顔をしている。

『Master……私に考えがあります……先ほどの剣を私に貸していただけませんか?』

「良いとも!」

「ジャイロ……一体何を?」

ドルチェの不思議そうな顔を余所に俺は馬車の中から剣を3本持って岩の近く……ユーゴの元に走った。


ユーゴは3本の剣を受け取るとそれを貪り……腕に一本の鉄トゲを生やす。

「これは驚きましたなぁ……」

ドルチェはそんなユーゴを近くでマジマジと観察していた。


『質の悪い鉄ですが……これならいけそうです……離れていて下さいMaster』


「ドルチェ、危ないから離れていよう」

ドルチェの背中を押して俺たちは馬車の近くまで避難する。


「コーン…コーン…コーン」

ユーゴは岩の上に乗って頂点を縦一直線に殴り、少しずつ崩して岩を貪るとまた崩していくのを繰り返していく……次第に粘土質だったユーゴの体は岩を主体とした物になり殴る力も強くなっていく。


「コーンッドガンッ」

最後の大きく振りかぶった強烈な一撃で大岩に亀裂が走り、半分にパックリ割れ残骸が左右に転がった……中央には馬車が通るには十分な幅が確保される。


「これは……素晴らしい……これなら進めますよ!ジャイロさん!……いや、ジャイロ!」


ユーゴが戻ってくる。

『いかがでしょう……Master』

「凄いよ!ユーゴ!」

『ユーゴとは?』

「君の名前さ!……嫌だったかな?」

『いえ……ありがとう…Master』


「ユーゴとはそのゴーレムの名前でしょうか?」

「そ……そうです……」


「なるほど……これなら昼までにはウバに着けるでしょう……グズグズしている暇はありません、出発しましょう」


俺たちは馬車に乗り、急いで出発した。

馬車に揺られて暫くすると開けた場所の遠くに街が見えてきた。


「うぉぉ!凄いデカイ!」

俺は初めて見る街に興奮しているとドルチェがこちらを見た。



「ジャイロ……キミのおかげで今回の旅も成功に終われそうだよ、街は初めてかな?」

「初めてです!村からは出た事がなかったので!」

俺が興奮気味に答えるとドルチェは馬車を止めてこちらを振り向く。


「恩人……そして友としてもキミに忠告しておきたい……」

『Master……いつでも守ります……』

ユーゴは静かに立ち上がり、ドルチェを警戒しているのが背中越しにも伝わって来た。


「な……なんですか?」

「君はそのゴーレム……ユーゴと何か意思の疎通をしているようだが、私には君の独り言にしか聞こえていない……それは街ではやめるべきだ……」

「何故です?」

「街は異質なものを嫌う……そんな事を続けていれば良からぬ噂がたち……面倒に巻き込まれる事すらある」

「そ……そうですか……」

「それと門番に怪しまれるので出来ればユーゴを隠しなさい……魔導師である事も能力も不必要に他人にみせるべきでは無い……良かったらそこの毛布を使いなさい」

そう言い終わるとドルチェは馬車は再び走らせた。


「何て事だ力仕事で雇ってもらって、ユーゴと共に生活して行こうと思ったのに……」

「それならば、自分の敷地を買う事です……高い壁を作り、その中だけはユーゴと語らい合うと良いでしょう」

「一体幾らかかるんだろう?」

「そうですねぇ……ユーゴと住むとなると8000Gold……いや10000……そう、1Ptプラチナは最低でも必要でしょう……」

「何て事だ……そんなお金……一生かけても稼げるわけがない!」

「冒険者になっては如何でしょう?危険な仕事ですが、信用を勝ち取れば実入りは良い……能力は次第に露見しますが、冒険者なら多少ユーゴを目撃しても納得はされます……」


冒険者……斬ったり斬られたりする生活が俺に出来るだろうか……いや、やらなくてはいけない!ユーゴと暮らす為なら!


「ユーゴ……」

『Master……彼の話は理解しました……心配はない……一度箱になります……これを首からかけてください』


ユーゴの肉は鉄の鎖状になって俺はそれを首にかけた。


門番の検問を受けた後、俺たちは商店街で話をした。

「ジャイロ、本当にありがとうございました……これは約束の報酬です」

「えっ?1G!こんなに貰えません!」

「貴方の働きに50倍出す価値は充分ありました……選別も含めています、それに冒険者として生きるなら支度金としてはそれでも足りないくらいですよ……」

「ですが……これは多過ぎる!」

突き返そうとする俺の手をドルチェは力強く押し返した。


「こんな事して私は商人として二流かも知れませんね……ですが人を見る目には自信がある……貴方には将来性があると確信しています、ふふ…それに冒険者になったら安値で護衛してもらおう……そういう打算もあるんですよ……」

「わかった……じゃあ冒険者になったら必ず護衛するよ!」

「はい、是非!……おっといけない……私は商談があるので……これで失礼します……」

ドルチェは人混みの中に消えていった。


「グゥ〜」

そう言えば腹が減った……あの定食屋に入ろう……

「らっしゃい!」

店に入ると香ばしい肉の匂いがした……もうたまらん!

「ネズミ定食ください!」

「はいよ!850bになるよ!」

俺は料金を支払い2日ぶりの食事をとった。

ユーゴのストック

木………微量

岩………10立方程

粘土……15立方

くず鉄…微量


所持金9999s150b

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