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剣や弓で武装しているが、服は何処となく汚れている感じだ。
彼等は3人でこちらの様子を伺っていた。
「おーい!俺を馬車にのせてくれぇ!」
「おい!来るぞ!」
「よせ…ひぃ!…く、くるな!……止まれぇ!くそ!」
ゴーレムから降りて手を振りながら走って彼らに近づいたが、彼等は剣を構え、一人は俺の腹目掛けて剣を振るう、俺は慌てて転んで尻餅をついた。
「な!何するんだ!やめてくれぇ!」
「ふざけるな!魔導師め!」
「どうやって嗅ぎつけたか知らんが!やっちめぇ!」
興奮した様子の一人が命乞いする俺に目掛けて剣を突き立てようとしている。
「やめてくれぇぇ!」
『敵と認識……指令承認の工程を省略……即座に防衛に移ります……Masterを傷つける事は何があろうと許さない……』
「ん?なんだ?この影……え?」
彼は上を見上げてゴーレムの下敷きになり、彼は悲鳴をあげることも無く血飛沫を上げた。
「マルク!……ひっ!化物!」
「うわぁ!やっやめてくれ!」
残った二人は血飛沫を浴びて悲鳴を上げていたが
二人はゴーレムの両手に頭を捕まれ、ゴーレムは大きく両手を広げる。
「な…なぁあんた……やめてくれ……やめさせてくれよ……」
「やめてくれぇぇぇ……」
雷のような音と共にゴーレムは強烈な勢いで両腕を叩き、その衝撃でゴーレムの両腕は粉砕し、砂埃が晴れると二人の頭は潰れて一人分にも満たない大きさになっていた。
「あ……あ……」
『彼等は如何致しましょう……』
ゴーレムの再生した少し小ぶりな腕が馬車を指差す。
騒ぎを聞きつけて武器を持った人達数人がバラバラと馬車から道の反対側に走っていく。
「も……もう……もうやめてくれ!」
『Yes. My Master』
殺されない為とはいえ人を殺してしまった……もっと他に方法が……俺の中に後悔が渦巻いた。
しばらく放心したのち、悪い事とは思ったが、主を失った馬車をもらおうと馬車に近く。
馬車の積荷を確認すると驚く事に身なりの整った男が縛られていたので、ロープを解き解放する。
「あっ貴方様は!」
男に手を強制的に握り締められ慌てて名乗った。
「えっ?いや……俺はジャイロって……言います……」
「おお!ジャイロ様!本当に助かりました!いやー先ほどの音と振動には驚きました……紹介がまだでしたね……失礼しました……私は商人のドルチェと申しま……いっ!」
馬車を覗くゴーレムを発見し、ドルチェは目を見開いて驚いていた。
ドルチェの視線を確認し、慌てて弁明した。
「あっ!いや!これは……俺の連れなんです!」
「……なるほどなるほど、魔導師と言うものを初めて見ました……恐れ知らずの盗賊達も逃げ出すわけですなぁ……」
ドルチェはゴーレムをジロジロと見ていた。
「盗賊?……」
「そうなんですよ……格安の冒険者を雇ったんですがね、いやー金はケチるもんじゃない……彼等は盗賊と通じていて恐ろしい目にあいましたよ〜」
「なるほど……それは良かった」
「いや〜どうお礼をしたらよろしいでしょうか」
「あっそれなら近くの街まで乗せてって欲しいのですが!」
「お安い御用です!いや、むしろこちらからお願いしたかったんです!ウバの街では如何でしょう?」
ウバといえばかなり大きな街だ……俺に取っても都合がいい
「はい!お願いします!」
「それでは成功報酬は20sで如何でよろしいでしょうか?」
「そ!そんなに!」
「えぇ……むしろ少なくて申し訳ないくらいですよ……盗賊達が戻ってくるといけない……そうと決まれば早速、出発致しましょう」
「お願いします……」
商人は外に出て馬に餌をやっていたのでゴーレムと俺は馬車の中で出発を待った。
「戦利品をお忘れでしたよ?」
暫くして商人は布で拭いた剣を馬車の中で俺に渡すと手綱を掴んで座った。
「いや……これは俺のじゃ……」
「ハハハ!ジャロさん……あそこに置いといてもゴブリンか盗賊が拾うのが落ちです……見たところ貴方の武器は無いようですし、貰っておきましょうよ」
「そんなもんなのかな……」
「ハハハ!そんなもんですよ……それでは!」
馬に鞭打ち馬車は平坦な道を進み出す。
『Master……ドルチェという男……如何致しましょう……彼も危険かも……』
「そんな事言わないでくれ!」
『Yes. Master』
ドルチェは耳をこちらに傾けた。
「ん?なにか言いました?」
「いや……なんでもないんだ……」
馬車はのんびりとウバへ走っていく。