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もう20mは降りただろうか……

俺は慎重に岩肌を確認しながら降り続けていた。

思っていたより、かなり深い穴だ……

ワッツ達はこの穴を落ちて生きているのだろうか?……


それから暫く降りていると微かに明かりが確認出来る。

「おーい!生きてるかー?」

「うぅ……」

唸るような返事が聞こえる……息はあるようだ……

俺は穴の底に降り立ち、明かりへと進んだ。


ワッツは地面にうつ伏せで倒れ、ダングは壁に寄りかかっている。

近付くとダングは俺に気が付いていたようだ。

「……引き返せ言うたやろ……シェルビはどうしたんや?……うっ……」

「ああ……上で待ってる、帰ろう」

「来ない深く落ち込んでしもて、どうやって登るつもりやねん」


「シェルビが糸を垂らしてくれる!一緒に登ろう」


ダングは手を左右に振り否定した。

「あかん!あかん!落下の衝撃で足が折れてんねん……ワッツも気絶したままや……」

「俺が担いで登ってやる!」


俺は託されたポーションをダングに渡す。

「全く、お前の頭はどうなっとるんや?理解出来ひん……」


「シェルビと店をやるって約束したんだろ?それなら生きなきゃだろ……」

「なんや……聞いたんかい……仕方ないのぅ……すまんが、肩貸してくれや」


俺はダングに肩を貸してワッツの元へ近づいた。

「……あかんな……無理に動かしたら死ぬで……」

ダングは上着をポーションで浸し、ワッツの体を巻いてきつく縛った。


「ここではこのぐらいしかできひん……あとはシェルビ頼みや……」

「うぅ……」

「ワッツ!大丈夫か!」

「……?……ジャイロか?……痛え……」

「すぐにシェルビの所に連れてくからな!死ぬなよ!」

「……くそっ……」


上を見上げると上空から一本の糸が垂れてくる!シェルビか!


糸に雫が垂れ、先端に到達すると糸が延長される……という工程が止めどなく行われている。


強度はどのくらいなのだろう……

手を伸ばす俺にダングは声を上げた。


「まてや……ある程度乾くのを待つんや……あとこれはジャイロはんが飲むんや」

「これは……ダングの分だろ?」

「ジャイロはんが力尽きた瞬間終わりや……なるだけ体力を付けておかな……それを飲んでしばらく座っとれ」

「わかった…じゃあありがたく」

俺はダングの分のポーションを飲み干し、壁際へとよる……その時、足で蹴っ飛ばした石コロが壁に当たる瞬間微かに光ったように見えた。


ダングは気が付いてないようだった。

俺はその石を拾い上げ、座りながら眺めていた。


拳台の石コロ……ただの石コロだ……

俺はその石で壁を叩いてみたが、やっぱり微かに光る。

不思議だが微かに光るだけ、ランプ替わりにもなりゃしない……俺は石を投げ捨てようとした。


「何しとんねん?」

「なんか不思議な石を見つけてね……ほら!光るんだ……」


俺が石を乱暴に壁に投げつけるとダングは血相変えている。


「まてや……ちょい持って来てみ」

「どれだったかな……」

俺は適当に石を蹴飛ばして光るものを探す。


「あった……」

俺はダングに石を軽く放り投げた。

ダングは石を念入りに見ている。

「これは……そんなバカな……まてよ……」

ダングは上空をみて何かを納得している。

「何なんだ?その石」

「ワイも見るのは初めてやから確実やない……けどこれは……恐らく魔石の破片や……」

「ああ、この前言ってたやつか」

「そうや……恐らく魔石の塊が降ってこの穴を開けた時に落として行ったんやな……信じられへん……魔石がワイの手の上に……あるんや……」


「……うっ!……魔石だと?……うがっ!……ダング!俺に!見せてくれ!」

ワッツは上体を起こそうとしていたが、痛みでそれは叶わない。

「ほらコレや……」

「本当か……本当に魔石なのか!」

「さっきも言った通り、確実やない……けど本物ならこれだけで100プラチナはくだらないやろ……」


「100プラチナ!そんな石ころが?」

「そうや!こんな事、普通無いで!」

「……うぅ!やっと運が向いて来たんだ!やった!俺は金持ちだ!もう金に困る事も無い!……あはははは!ゲホッゲホッ!」

「そうやで!一発逆転や!」

俺はダングの手の上から石を拾い、もう一度見てみた。

……こんな石ひとつで人生が変わってしまうなんて……不思議だな


「そうと決まれば行こうや!シェルビの元へ!」

「ジャイロ!俺にも石を見せてくれ!」

俺はワッツに石を渡して二人を引き上げる準備をした。


垂れた糸を切り取り、俺の肩と腰で固定し、二人の体と繋いだ。


「じゃあ行くよ!」

「よろしく頼むわ!」

「……これが魔石!」

俺は二人を連れて糸を手繰り寄せるようによじ登って休む時には体を糸に絡めて休んだ。


しばらくするとワッツが体の痛みを訴えた。

「痛え!くそっ!死ねねぇ!」

「痛み止めの効果が抜けたんやな……ジャイロはん!あとどの位や!」

「あと少し……」

「ぐああああああぁぁぁ!」

「ワッツ!暴れるなや!布が破けてまう!その布から出たら回復効果まで抜けてまう!」

「ビビビビビ……グォォォォォ!」

ダングはワッツを必死に抱えたが、ワッツに巻いてある布の破れる音が聞こえてくる。

「………」

暫くしてワッツは急に静かになった。


「まさか!ワッツ!何でや!」

俺はその様子を見てる事しかできなかった。


「俺は大丈夫だ!」

ワッツは突然布を破り捨て、自らの手で糸を掴む。

「急にど……どうしたんやワッツ!」

ワッツは突然スルスルと素早く糸を登り、俺の肩に乗ってきた。


左手には魔石、右手には俺の槍を持っている。

「悪いな……お前とシェルビの事……実は知ってたんだ……俺はそれが許せなかった……」

「なんやねんそれ!ワッツ!」

「悪いなジャイロ……お前には飛んだとばっちりだな!」


「バチッ」


糸は切られ、俺とダングは暗闇の底に再び落ちてしまった。



ーーーーー


岩に付着し、生成した糸が穴の中に垂れている。

シェルビは穴の中で揺れる糸を祈る様に眺めている。

お願い!生きて帰って!

しかしその祈りもむなしく、穴の中から糸の切れる音が聞こえる。

「そんな!……嘘でしょ!」

「大丈夫!」

「ワッツ!無事だったのね!他の二人は?」

「悪いな……助けられなかった……」

「嘘よ!嫌よ!ダング!」

シェルビは穴に向かって叫んだ。


「忘れろ!それよりこれを見ろ!」

ワッツはシェルビの腕を掴んで引き寄せる。

「やめて!」

「この魔石で俺と暮らそう!ずっと好きだった!」

「今言う事がそれ?話して!」

シェルビはワッツにビンタした。


「ひっ!」

シェルビの掌にワッツの皮が張り付き……ワッツの皮が剥がれた。


「オイ、シェルビ!何処に行くんだ!」

「いや!来ないで!」

「なじぇだ!なぜサケルゥゥゥ!」


突然、ワッツの背後から刃が飛んできて、ワッツはそれを避けて天井に張り付いた。


「見つけたぞ!ジャイロ!」

「何だ?お前は……」

「助けて!」

マルカはワッツを睨み付けた。

「お前……ジャイロじゃないな……しかしその槍はどういう事だ……」

「これはジャイロに託されたんだ」

「もう死んだのか……追ってきて正解だった……な!」

マルカの鞭が高速でワッツに殺到する。

ワッツは槍でそれを叩き落としてマルカに飛びかかる。


マルカは距離を取り、両手の鞭を操り、ワッツに攻撃を試みる。


ワッツはその動きを読み切り、華麗に避ける。


「厄介な相手……一体何ランクなの?」

カンではない、私の一手一手を単純に見て対応している……Bランクでもここまで回避できる相手はいなかった……脇腹の痛みが原因か……それとも……



……右……次は左……真下からか……壁に反射させて背後?……見える……全て見える。


ワッツ自身、こんな高速な攻撃を受けるのも見るのも初めてだったが、対応できた。


……すげぇ!暗くても良く見える!嘘だろ?俺はどうなっちまったんだぁ?

ワッツの顔は破れ、蜘蛛の複眼が覗いていた。

ユーゴのストック

粘土……0.2立方

木材……0.7立方

鉄……0.3立方

肉……18立方

岩……5立方


所持金32G2032s8000b


ジャイロのスキル

鴉突き

ダブルピアース

チャージ

シュトロームランス

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