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いつの間にか箱を抱え、俺は意識を失って倒れていた。
起き上がろうとした瞬間、頭がひどく痛む。
「つっ……」
俺は服の袖を破り頭に巻き、あぐらをかいて一息ついた。
箱は小指の無い人の手台程の大きさで地面に落ちたまま動かない……あれは夢だったのかとも思ったが、ゴブリン達の死体がそうでない事を物語っている。
俺は恐る恐る箱に話しかけてみることにした。
「……生きてる?」
『生きている定義とは何でしょう?』
「あ……いや……まぁ喋れるならそれで良い……君は一体?」
『私は融合炉ゴーレム……箱の中身を肉とし、貴方を守るものです』
「融合炉ゴーレム?」
融合炉ゴーレムってなんだ?そんなもの聞いたことがないがモンスターの一種だろうか?
『はい、融合炉ゴーレムです……私は私の核であるこの箱に入れたものを肉として取り入れます……ストック量の限界値は30立方メートル……一度に維持する肉の限界値は20立方メートル……故意であろうと他意であろうと…一度切り離した肉は再び箱にて再生成しない限り使用することは出来ません……』
俺は学が無い……学校に行く事ができてれば、このゴーレムともマトモに話が出来たのだろうか……
「ごめんな……俺にはよくわからない……」
『実際にやってみましょう……Master……お手数ですが、もう少しだけ土を箱に入れていただけませんか?』
「わかった」
俺が箱に一杯…二杯と手ですくった土を入れるたび、箱に土が肉付けされていきとうとう腕が一本出来上がった。
『ありがとうございますMaster……あとは私が……』
腕は力強く土を掻き集めて自らの箱に入れていく……箱は両腕が出来……足が出来……最終的には人型になった。
身長は160cm位だろうか……
『Master……これが最低限ゴーレムとしての形を維持するのに必要な量です……ここの土は粘土質ですね……』
「触っても良いかい?」
『YES』
触って見ると程よく弾力がある……しっかりと肉が詰待っているのだろう、とても力強い印象を受ける。
俺が触り終えるとゴーレムは再び説明を始めた。
『箱で取り込んだ物を材料として肉を作ります……例えば……』
ゴーレムは近くの木を引き倒し、箱に押し込んでいった……ゴーレムの右腕は木製になった。
「なるほど」
ゴーレムは土を大量に貪り食い始めた。
『そしてこれが……限界値の大きさです』
目の前には木の背の丈ほど成長した4m程の巨人が立っている。
「ほぉ〜」
『現在のストックは約10立方メートルです……だいたい身体の両腕を切り離しても再生する事のできる量です』
「なるほど……だいたいわかったよ……」
『失礼しますですがMaster……辺りが暗くなってきましたが、今後のご予定は?』
「やりたい事も見つからないし……でも金は必要だ……街に行って労働しよう……キミとならきっと重労働にも耐えれるよ、今日は火でもを起こして野宿して、近くの道に出て出発だ」
『YES…master』
ゴーレムに火を起こしてもらい、俺は焚き火で暖を取りながら夜を過ごした。