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日が落ちて辺りが暗くなっていく……ユーゴは気にしていないようだが、段々気温は低くなり、砂が暖かく…埋もれると気持ち良いと思えるようになってきた。


「しまったな……毛布なんて持ってきてない」

防寒具を作らなくては……


『Master…どこへ?』

「ちょっとそこまで……」

俺はユーゴの口から這い出て、大鷲の元へと近付いた。


ショートソードで羽毛の生えている皮を大きく剥ぎ取りマントのように羽織った。


「これは暖かい!」

俺はユーゴの分も大鷲から剥ぎ取ろうとしゃがんでいた。


『Master!背後に!』

ユーゴの声にハッとした俺は背後に居たスコーピオンのハサミを避けて転がった。


「な……何だこいつ!急に……」

俺が大鷲の身体を蹴った振動を受けて、大鷲の下から2m程のスコーピオンが2匹這い出てくる。


スコーピオンは日中、既に大鷲の下に居て気温が下がるのを待っていたようだった。


スコーピオン達は大鷲に群がって、「ブツ、ブツ」とハサミで千切り食事をしている。


俺が動くたびに瞬時にこちらを確認する。

ユーゴは人型になり、隣に控える。


どんな動きをするんだ?……でも、このままジッと待っていても稼げない……

「1匹ずつ行こう……一番右から……」

『Yes Master』


俺が走って行くとスコーピオンはハサミで威嚇した……よし、他のスコーピオンは食事に夢中でいてくれている。


俺が槍でスコーピオンを突いたが、

スコーピオンはハサミで槍を捕まえ、尻尾で刺そうとする。


槍を捨てて回避したが、スコーピオンは槍をハサミ折ってポイッと落とした。

『Master…私の方が相性が良さそうなのでお任せを……』


仕方がない……槍を破壊された今の俺に出来ることなんて、たかが知れている。

そう考えた途端……俺は何故だか体に気怠さを感じた。

「……わかったよ」


ユーゴは巨大化し、スコーピオンと取っ組み合う……スコーピオンの針がユーゴの首を何度も何度も刺したが、ユーゴに毒が効くわけも無く、ハサミをへし折られて潰された。


他の二体も同様に倒し、俺は魔力を抽出して周り、ショートソードでサソリの針を取り出した。


ユーゴは人型に戻ると俺の鞄から大瓶を取り出し、指の先から毒を垂らして瓶一杯に溜めた。


「よし、帰ろうか……」

『Yes Master』


……何ともあっけない幕切れだとも思いながら、俺達は来た道を冒険ギルドまで戻った。


2日かけて戻ると受付は笑顔で迎えてくれた。

「お帰りなさい、ジャイロさん……」

「コレをお願いします……」


「針3、毒大瓶……魔力三体分……以上ですね?」

「ああ……あとこれも」

俺は大鷲の魔力管をカウンターに置く。


「これは?」

「大鷲に襲われたので回収したんですけど……」

「大鷲?……大鷲!?」


受付が大声を出すと周りで酒を飲んでいた冒険者達も騒つき、ギルド長が寄って来た。


「ハッハッハッ!大鷲とは驚いたのだよ!やはり君は持っている!……君を早速Eランクに推薦しておくよ」

ギルド長はユーゴの肩に手を乗せて叩いた。


大鷲の魔力は50Gで売れた……そもそも大鷲はEランクのモンスターで少数パーティで狩るような対象ではないらしい。


普通のFランクパーティならば、即逃亡が妥当な行動らしかった。

お金は手に入る……ユーゴが認められるのは嬉しい事だ……でも……


ユーゴが居ないと何も出来ない……そう思われて悔しいのは図星だからだろうか……


いや、お金を得るのが目的だ……俺のくだらないプライドなんて……


ーーーーー翌日

『Master…買い出しなら私も…』

「いや、一人で行けるよ……半分のお金は金庫に残して置くからね……」


何の疑いも持たないユーゴを残して俺は部屋の扉を閉めて宿屋を後にした。


俺は自分のくだらないプライドを捨てる事が出来なかった……


「いらっしゃい……ああ、何日ぶりかしら?」

「何だよ、生きてたのかお前……少しはマシな目になったじゃねぇか」

「これが俺の全部だ!槍をくれ!」

俺は蝶々屋の店主に26G程の全財産が入った皮袋を手渡すと店主はニヤッと笑った。


「良い覚悟の目だ……少し気に入ったぜ!奥に入んな!良い槍が……」

「父さん!」

「お前は黙っとれ!」

店主は娘に怒鳴り返して俺を店の奥へと案内した。


店主は壁に掛けられていた一本の槍を手に取って俺に手渡した。

ズッシリと重量感があり、扇型の刃はギラギラと銀色に輝いている。


「俺が若い時に使ってた槍だ……パルチザンっていう形状でな……切って良し、突いて良しだ」

「流石に魔槍には劣るが……」

「父さん!それはダメ!許さない!」

「マルカ……お前は男を分かってないな……金なら……」


「今回は金だけの話じゃない!茶化すのは止めて!兄さんが受け取るはずでしょ!」

「マルカ……現実を見ろ……あいつはもう……」

「止めて!貴方も甘えてないで否定しなさいよ!」


マルカは俺を睨み付けて怒鳴りつけた。

「オッサン、これは貰っていく!」

「そうか……」

「ふざけるな!許さない!絶対!それを持って出てみろ?殺してやる!」

……マルカという女性……凄い威圧感だ……

「マルカ!……少しすれば落ち着くだろう……小僧!持ってけ!」


店主はマルカを抑えている……その隙に俺は扉を開いた。

「小僧!これも持っていけ!」


店主の投げた袋を受け取り確認する……それは俺の皮袋だった。

「こんな金じゃ全然足りねぇ……いつか1250Gを持って来い!いいな?」

俺は店主にお辞儀をして店を後にする……店の外に出てもマルカの怒号が聞こえる……


俺はブルッと震えて出発し、出来るだけ多くのスキルを覚えた。


ーーーーー冒険ギルド


ダンジョンにはモンスターが大量に居て闘うには困らないらしい。


俺は受付に聞き……ダンジョン攻略の依頼を受けたというパーティに話しかけた。


彼等は3人でテーブルを囲んで酒を飲んでいた。

取り敢えずリーダーっぽい奴に話しかけてみる。

「俺をパーティに入れてくれないか?」

「んあ?……あんたは確か……えーと…何度か見た顔だな……」

「そいつ、昨日大鷲を討伐したっちゅう奴じゃね?」

「大鷲を?凄いわ!」

「まぁギルド長の話では相方が優秀っちゅう話だわな」

「そうなのか?今日その相方は?」

「今日は別行動だ」

「ふーん、そうか……主武器は槍か?」

「うん」


「まぁちょうど良かったんちゃう?」

「そうだな……まぁ相方と2人で大鷲を倒したんなら実力もあるんだろう……中衛で飯などはこちらで負担するが、報酬は1割だ……その条件でよければ雇っても良いぞ?」


今回の目的は金じゃない……1割でも別に良いだろう……


俺は頷き、メンバーと順番に握手を交わした。

「私はポーショナー見習いのシェルビです、後衛です」

「ワイはダング……よろしゅう」

「俺はリーダーやってるワッツだ!よろしくな!」


「ジャイロです、みんなよろしく……ところで出発は何時?……割と急いでるんだけど……」

実際……いつユーゴにバレるかヒヤヒヤしていた。

バレたら付いて来ると言われてしまうだろう……


「そうなのか?……まぁ準備は既に終わってるしな……行くか?そろそろ」

「そうやな」

「行きましょう」


俺はワッツ達の用意した荷馬車に揺られて東のダンジョンに向かった。

ユーゴのストック

岩………8立方

粘土……4立方

鉄…0.5立方

木材……1立方

肉……0.8立方


所持金32G2032s8000b


ジャイロのスキル

鴉突き

ダブルピアース

チャージ

シュトロームスライス

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