16
カラカラ砂漠へ向かう途中……前後合わせて5体のゴブリン達が草むらから道へ出てニヤニヤと笑っている。
「ギャギャギャ!」
ゴブリン達は既に勝利を確信している事は何となく想像がついた。
鎧も来ていない人間が槍だけ持ってノコノコ歩いてきた。
俺は露店で買った槍を確認した……木の棒の先に鉄がついてるだけの槍……確かに脅威ではないかもしれない……
「ユーゴは背後の2体をお願い」
『Yes Master』
槍を構えて走り寄った……ゴブリン達は一瞬身動ぎしてからやっと棍棒を構える。
ゴブリンのモーションはこんなに遅かったか?
それが久々に見たゴブリンの印象だった。
攻撃範囲に入った!……試しに槍で軽く薙ぎ払うとゴブリン二体の首は簡単に飛んだ。
試してみるか……
残ったゴブリンはやっと棍棒を振り降ろす。
「《鴉突き》!」
一足先にジャンプしたと言うのにワンテンポ遅れてゴブリンは棍棒を振って地面を叩いた……俺は空中からその様子を見ていた。
納得した、爺さんが言っていた大きな隙とはこの滞空時間の事か……
その一撃は脳天からゴブリンを引裂き、地面に槍が深く突き刺さる。
《鴉突き》を発動しながらゴブリンの肩に着地したが、ゴブリンの体は着地の衝撃で泥のように崩たので、俺は血肉に滑って転んだ。
『Master 大丈夫でしゃうか?』
ユーゴは両手の血染めの岩を捨ててこちらを見ていた。
「ビィィィィィ」
血肉の溜まりの中央で槍が小刻みに振動している。
「ああ、大丈夫……行こう…あっ!」
滑らないように立ち、槍を抜いて回収したが刃の部分が地面に取り残され、ただの棒になってしまった。
「ああ!深く刺しすぎた!」
『Master お任せ下さい』
ユーゴは俺から棒を受け取って自分の腹に刺した。
俺は自分の腹の傷にシンクロさせてしまい息を止めた。
『精錬前の鉄ですので応急処置ですが……これで良いでしょうか?』
ユーゴが抜いた棒には槍の刃先が付いていた。
2、3回振ってみたが、特にガタつきはない
「うん、十分だよ!ありがとうユーゴ!」
ユーゴとしばらく歩くと後方から馬車がやってきて俺達を追い抜き、近くでとまった……
行き先聞かれたのでカラカラ砂漠へ行くと伝えると、近くまで連れて行ってくれると言うので護衛を引き受けた。
馬車は襲い辛いと判断するのか、特にモンスターが出る事はなく、順調に目的地へ到着した。
「すみませんが、これ以上は車輪が取られて危険なので……」
「うん、助かったよ……これが砂漠か……綺麗だな」
商人は砂漠の手前で俺達を降ろして去っていく。
丁度夕時だ……
見える限り砂が広がり、地平線の向こうに夕日が落ちていく……砂が真っ赤に染まる…その幻想的な光景に俺の心が躍った。
「よし、今日はここで寝て……明日は朝早くからサソリ狩りだ!」
『Yes Master』
ユーゴのストック
岩………14.5立方
粘土……8立方
鉄…0.9立方
木材……1立方
肉……1立方
所持金32s8000b
ジャイロのスキル
鴉突き