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疲れていたのだろう……起きた頃には夕方になっていた。

そのお陰で身体の痛みは取れてきたが……こんなに寝たのはいつ以来だろうか……


やる事も無いので商店街をブラブラ歩いた。

露天商達は俺の皮袋の膨らみを見て声を掛けてくる。

「……らっしゃ〜い」

「おっ!兄さん!どうだね?」


商店街には各々の店に装飾品や回復薬等を売る露店が並び、活気に溢れていた。


歩くうちに俺は無意識にシーラの露店を確認しようとしていた事に気がついた……その姿が見えた瞬間、路地に入って彼女を見守る……やってしまった。


まだ彼女に対してどうするか決めてもいないのに……なんで来てしまったのかな……


しばらく見ていると数人の男が破れた袋を手にシーラに絡んでいる。


やっぱり……来るんじゃなかった……


「ちょっと!お客さん!」

俺は側にあった露店の仮面を奪い、皮袋のsを適当に掴みテーブルに投げ、仮面を被って走った。

「おっ!13枚も!!ありあしたぁぁぁぁ!」


「本当にすみません!」

「はぁ?ネェちゃんよぉ〜誠意を見せろって言ってんだ、お前の所で買った袋が破れて中身が全部出ちまったんだ!」

「すみません!」

「アヒャヒャ……謝っても解決しねーよ」

「そうそう……金で解決しようじゃない?」

「そんな……お金なんて」

「はぁ?じゃあ一緒に解決策を考えようか……来い!」

「痛い!」

シーラの腕を男は乱暴に掴み上げ立たせようとする。


「ぐふぅ!」

槍の柄で思い切り腹を突かれ、男は苦痛の声を上げる。

「なんだぁ?テメェ!」

「失礼……」

「ちょっと待てコラァ!」

「おい!止まれ猿!コラ!」


走る俺に三人の男は必死の形相で追いかけて来る。

人気の無い路地裏で俺は止まり、男二人は出口を塞ぐように立っている。


「テメェ!この猿野郎!」

「猿の仮面を外せやコラァ!」


黙っていると先程小突いた男もやって来た。

「ハァハァ…テメェ逃げんじゃねえよ!よくもやってくれたなぁ!Gランク!」


俺が思わず自分のギルド証を確認した瞬間、男達はナイフを構える。


「この人数差だぜ?有り金、全部出せや!」

三人の男が走ってくる、俺はゴブリンを相手にする時と同様に槍を振ったが、男達は避けて俺の顔面を殴りつけ、壁に叩き付けられた。


「はっ!弱え!」

「何だこいつ?ハハハ!マジで笑うわ!」

「おう!Gランク!これを見ろよぉ〜」


男達はFランクのギルド証をチラつかせていた。

……やっぱりFランクの冒険者は強いな

「くそ……」


「どうしたぁ?」

「これ以上やるってんならよぉ?殺すぜ?」


「何でだ……」

「はぁ?」

「何でそんなに強いのにあんな弱い子を食い物にしようとするんだ!」


「ハハハ!何言ってんだこいつ……そんなの簡単で楽しいからに決まってんだろ?」

「もういいよ、やっちまおうぜ?」


「ふざけんな!」

何でみんなで幸せになろうとしないんだ!


「ほぅ?睨むか……ハハハ!望み通り殺してやるよ!お前も動物を殺して生計を立ててんだろ?この偽善者が!」

「偽善者が悪いか!」


襲ってきた男に槍を振り、男はナイフでそれを打ち上げよろけ、距離を取った。

「テメェ……本格的にやるってんだな?……おい!お前らは手を出すな!こいつは俺がやる……」


男はロングソードを構えて睨みつけてくる。

『Master 私が……Master!』

俺はウーゴの鎖を千切り、投げ捨てた。


「俺に力なんて無い……でも護りたい時くらい!意地張るんだ!」

「はっ!意地張って死んでちゃぁ!意味ねーな!『ヘビースライス』!」


ロングソードに対して、槍で受けるが……その剣圧に押し返され、頭の直撃を避けた俺の肩に槍が刺さる。

「ヒヒヒ!諦めな小僧!……うっ!」


勝ちを確信し、気を緩めた男の腹に俺の剣が刺さる。


「いてぇな!この野郎!」

薄皮を傷付けられた男は俺を蹴りまくった。


他の二人もいつの間にか近付いて俺の事を蹴った。

俺は只々うずくまり防御した。


「はぁはぁ……わかりゃいいんだよ!おっ!」

うずくまる俺に唾を吐き捨て、男達は皮袋の中身を確認して歓喜した。


「おお!」

「すげぇ!」

「よう!小僧!今日はこの金に免じて許してやるよ!」

「んぎゃ!」

突然の爆音と共に男が一人、壁に叩き付けられて潰れた。

『貴様ら……』


「え?……お、おい」

「は?ん?」

男達が振り向くと、腕に血をしたらせた岩のゴーレムが立っていた。


「な、なんだこいつ!」

「あ…あわ!」

また一人壁に叩き付けられる。


「うぉぉぉ!『ヘビースライス』!」

男の重撃がユーゴの頭に炸裂し、岩が砕け散る。


「ははぁ!見たか……うぐぁ!」

岩から粘土の顔を覗かせたウーゴは男の頭を掴み上げる。


「ヒィィィ!『ヘビースライス』!『ヘビースライス』!」


二度の重撃がユーゴの肩と腕の岩を割るが、ユーゴは微動だにしない。

『決して……許さない……』


ユーゴは鉄のトゲを腕から出す。

「『ヘビースライス』!ヒヒヒ!どうだぁ!」


ウーゴのトゲは剣に斬り裂かれた。


ウーゴは両手で男の頭を掴む。

「グェェ!」


男の頭は岩に挟まれ、徐々に潰れていく。

そこに残ったのは熟れたブドウの様に落ちた男の身体だけ……


落ちていた袋を拾い……肩を抑えて半ば放心しながら箱になったウーゴを首に掛ける。


……ウーゴは止まらなかったんじゃ無い……俺はウーゴを黙認した……


「偽善者か……」


路地を出た所でシーラと鉢合わせた。

「やぁ……」

「やっぱり……え?」

シーラは血塗れの路地裏を確認して言葉を詰まらせる。


「シーラ、いつか貧困から掬い上げてみせる……」

「ひぃ!」

俺の手をシーラの肩が避けた。


無言でギルドに歩き出す。

「いつか必ず……」


拳をギュッと握り締め、その足でFランク任務 【オークリーダー及びオーク討伐】を受けた。


ーーーー翌日


「おい!にいちゃん!本当に間違ってないかい?」

「はい」


店主はカウンターで5000sを確認する。

「まぁよ……こっちも商売だ!何に使うんでもあんたの勝手だがな……確認しな!」

店主が奥を親指で刺し、俺はそこに置いてあった鉄塊をユーゴに食わせて店を後にする。


「おい!兄ちゃん待てよ!この鉄は何処の鍛冶屋に届けるんだ?おい!待てって兄ちゃん!……」

主人は頭を掻いて鉄を確認すると既に鉄は全て無くなっていた。

「あれ?……おい、にい……行っちまった」


俺は南の森へ入り、オークリーダーを殺すまで戻らない決心をした。



ーーーーーーーー5日後


俺はまだオークリーダーを探して森を彷徨っていた。

オークは2m程の豚の獣人だ

「ギャァ!」

俺は中距離から豚の腹を槍で裂き、腹を抑える豚の頭を貫く。


「ギョギャア!」

「おい、ウーゴ!そっちに逃げたぞ」

『Yes. Master』

横からの一撃でオークの頭は飛散した。


オークの死体に魔管の針を指して魔力を回収する。


「この管もそろそろ一杯になるな……ウーゴ、今日は暗くなってきた……血を拭いてキャンプにしよう……」

ウーゴの鉄腕と槍を丁寧に拭いて火を焚いた。


魔管とは依頼を受けた時に渡されたアイテムだ。

これで魔物の魔力を吸い出し、それを原料として様々な効果のアイテムや道具を作るそうだ。


俺は無理を言って多めに渡してもらった。

配給された管はリーダー用3本とその他30本……そろそろオークの魔力は30本溜まってしまう。

オークは1本200s、オークリーダーは1本2000sで買い取ってくれるそうだ。

オークリーダー一体あたりの抽出量は多く……三本支給されたのはその為らしい、まぁオークのみで帰ってくる冒険者が多数な様だが、俺は帰らない。


「今日も発見出来なかったな……」

『一際大きな足跡は仲間を囮にして、逃げ回っている様ですね』


「ただ追ってるだけではダメだな……どうにか燻し出そう……」

ユーゴのストック

岩………10立方

粘土……8立方

砂……2立方

鉄…1立方


所持金542s8000b

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