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今日からソシャゲ攻略するよー


【どるんどるんどんどるん】



それは、株式会社タンポポーンが運営するスマートフォンユーザーを対象としたソーシャルゲームである。


『クリアーの無いソシャゲって虚しくないかい?』

をキャッチコピーに、戦略性の高いバトルとクリアーできるストーリー。

これらを売りにしてサービスが開始され、ほどなく爆死中である。


我がブログ『アスファルトで干からびたミミズと美少女パンツ』と相互リンクして下さっているカタミチさん。

彼が一昨日のブログでこのゲームに触れてたのが気になって、ちょっと評判を調べてみたんだ。



以下ユーザーレビュー。


会社員

「触って10分でもうやめた。多分俺の判断は正しい」


主婦

「恐ろしいまでにヤル気が感じられない」


高校生

「控え目に言ってクソゲー」


自営業

「ヤル気以前に商売する気すらない。これは決して好意的な意味で言っているわけではないぞ」


教職員

「悪ふざけが過ぎる」


イラストレーター

「金払えや杉本!!」





と、散々たる評価である。

それが僕のクソゲーマーとしてのハートに火をつけた。

丁度、このブログでやってた『カップ焼きそばとカップラーメンを混ぜて一番美味い配合を見つける』企画も飽きてきたところだ。


だから僕は、この『どるんどるんどんどるん』なるゲームに手を出したのである。




登録を済ませて起動すると、女の子があらわれた。


あら可愛い。


可愛い女の子は好きだ。何故なら可愛いから。

背中から羽根が生えているし、この子は妖精かな?


「『どるんどるんどんどるん』の世界へようこそ!私は貴方を導くアロマロカリスの『マー』です!

この世界はアレです。まあアレですからこの三枚の中からお好きなカードをお選び下さい!」



やべぇな…。


色々とツッコミたいけど、とりあえず世界観をアレの一言で片付けるのはヤメろ。


僕は仕方なく伏せられていたカードを捲る。


「おや、これは棒人間ですねっ!このカードにしますか?」


うん…。あのね?

棒人間って……棒人間だよ?

ほんっとそのまんま棒人間100%だねコレ。

すごいや、マジでヤル気ねェぞこのゲーム。


もちろん、棒人間とか無いわ。選び直すわ。


「今度はこのカードですね。ふむふむ。おめでとうございます!

こっちも棒人間です!」


殺すぞ?


もちろん選び直しだ。

つーか、選び直せるなら最初からカード伏せる理由が無いやんけ。


「おおっ!これは凄い!ゴイスーです!

聖帝子サンヨッチュのカードです!!」


表示されたカードの名は聖帝子サンヨッチュ。

イラストには丸く簡略化された頭部に枝のような肢体……。


ああ……棒人間だわ…。



名前違うだけで結局全部棒人間じゃねえか!!



「どうします?」


全部同じ絵柄じゃん!

もうコレでいいよ。誰よこれ書いたイラストレーター。ぶん殴りたいわ。


「あ、カードをタップしたらカードのいろいろなアレが分かりますよ!」


ナイス情報。マーちゃん愛してる。

僕はカードのステータス画面を開いた。

ふーむ。比較するものが無いから強いかどうか分からん。

だってレアリティ『割とアレ』って何なん?

何でもかんでもアレって言えば済むと思ってねえか?なあオイ?

あとイラストレーター、名前が『部長』って、もしかしなくてもイラストレーターじゃなくて上司が描いただけなんじゃねえの?ねえ?ねえ!?



「じゃあ、カードも手に入ったことだし、アレしましょう!

アレって何ですかって?ふふふ、説明しますね」


流石マーちゃん。遂にこのゲームで仕事らしい仕事をしてくれるんだね。おじちゃん感動して泣いちゃうよ。



「この世界は、初めに申し上げた通りアレです。

つまりアレをアレしてアレしましょう!」


画面がダンジョンに切り替わった。



うん?



僕はマーちゃんをタップした。



「アレをアレしてアレしましょう!」


先ほどのセリフをリピート。


もう一回タップ。


「アレをアレしてアレしましょう!」


なるほどなー。


すでに冒険は始まってるってかー。



いやー、もう、ほんと、しばくゾ?




マーちゃんが碌な説明してくんねぇから、手探りでダンジョンを進む。


タップして進んでモンスターを倒しての繰り返し。

よくあるタイプのソシャゲだが、よく見るとスタミナが存在しない。

多分HPがスタミナと兼ねていて、死んだら復活までに時間がかかるとかなのかしら?


ちなみにモンスターのイラストも雑だ。線の感じで部長作と分かってしまうのが我ながら辛い。

名前も『消しゴム』とか『えんぴつ』とか雑だ。

モンスターですらない。何故に文房具なのか?

マーちゃんは答えてくれない。



キュピーン!効果音と共に女子高生があらわれた!


女子高生は何というか女子高生だった。

それは部長絵ではなく、きちんとしたプロの絵で、つまり可愛い!


ジョシコーセー>>

「トラック に ぶつかって きが ついたら ここは どこ?」


普通に喋れ。


「どうします?殺りますか?」


マーちゃんいきなり物騒だなー。やだなーこの子やだなー。


 ■殺す

 ■見捨てる

 ■仲間にする


選択肢が出てきた。何らかのイベントが始まったのかな?

にしても殺すは無いわ。引くわ。


当然、僕は仲間にするを選んだ。

僕は女子高生には優しいんだ。このブログを読んでいる君だってそうするダロ?


でもイラストが棒人間だったら、どうしていたかは分からないがな!



ジョシコーセー>>

「ありがとう うれしい。たより に しています」 


あらー、女子高生かわいいなー。このままギャルゲーに突入したいくらいかわいいわー。とか思ってたんですよ僕は。そしたらね!


「アレですね!ダンジョン高校に行きましょう!」


全くもって毛頭理解が追いつかないけど、画面が高校に切り替わる。


センセイ>>

「今日は転校生を紹介する。入ってきなさい」


ジョシコーセー>>

「ああー! アンタ は けさ の!?」


「こうしてイチャラブ学園生活が始まったですよ!

プレイヤーさんは好みの娘の好感度をガン上げして、卒業式に伝説の百日紅(さるすべり)の木の下で告白成功させてください!」



………じゃねぇよ!?

何で本当にギャルゲー始まってんだよ意味がわっかんねぇ!!



ああもう。


それで30分くらい謎のギャルゲーやってたんだけどね。


これが結構いい出来してて、選択肢も簡単だったし、卒業式にジョシコーセーに告白して、オッケーされて、よっしゃぁあって思ったらアレですよ。


ジョシコーセー>>

「きょう から わたしたち こいびと どうし だね。 うふふ うれしい だから貴様のHP全部頂くぞオラァァア!」ズシャアアア!!


「あああー!プレイヤーさん死んじゃいましたー!!」


画面が真っ赤に染まり、BAD ENDの文字が浮かぶ。








僕ね。生まれて初めてスマフォを床に叩きつけたよ。



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