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その男、マイペースにつき  作者: 菊池 徳野
4/5

その後輩、苦労性につき

五ヶ月ぶりです。

色々と忙しかったのです。

結局サブタイトル変えました。

最近、先輩の様子がおかしい。

いつも通りやる気は無いし、機嫌がいいとか好みが変わったとかそういうこともないが、ただ――、

「…これで、お昼の放送を終わります」

「はい、オッケーです」


なんかやけに声に張りがあるのだ。

普段話していても変化は無いのだが、マイクを前にしたとたんに声に張りが出るのである。いつものボイスチェックも不要とばかりの良い声を出すのでミキサーを弄る作業をこの一週間ほどしていない。

「先輩、ずっと思ってたんですけど」

「ん?」

「何か良いことでもありました?」


そろそろ我慢の限界だった。それは私だけではなかったようで、お昼の準備をしていた部室にいたメンバー全員が手を止めてこちらを見ている。

そんな中で部長だけはのんきにコンビニのパンをかじりながら応募シールを台紙に張って悦に浸っている。空気読んでください。

「良いこと…良いことかなぁ。うん、良いことあったよ」

「そ、そうなんですか?一体どんな?」


聞き方が悪かった。良いことかどうかが重要ではなく、大切なのは何があったかなのである。

てか部長、今さら空気に気付いて1年にちょっかい掛けないでください。裕太くん困ってるじゃないですか。

「んー、相手が居る話だからあんまり詳しく言えないけど」

「はい」

「彼女ができたんだ」


部員全員唖然である。

唯一部長だけ、「やっぱりな」とか言っているのが無性に腹正しかったが、そんなこと些細なはなしである。

「どんな人なんですか?」

「デートとか行ったんですか?」

「なんで先輩ぬけがけしてるんですか!?」


などなど。一週間もの間燻っていたせいで疑問が尽きず、一斉に皆で質問攻めにする。

いつも街路樹のように変わらず居る、そんな先輩が番を作るなんて想像もつかないというか、恋愛という考えあったんですねというか。あ、今先輩が書いてるドラマCDの原稿恋愛ものだったわ、なら仕方ないか。いや、そうじゃない。

半ばパニック状態になった部員達の視線が先輩にぶっ刺さる。先輩、のんきにお弁当食べてる場合じゃないですよ!

「どんなって、『声フェチ』かなぁ。デートは予定だけでまだ行ってないよ」


沈静化。

いや、まてまて。声フェチって言った?どんな彼女作ってきたんだこの人。

普通、可愛いとか美人とか運動が好きとかそういう事をあげるべきじゃないのか?もしやそういうイメージよりも、何よりも一番に出てきたのが声フェチってことなのか?

ぐるぐると思考が袋小路に入り込んでいく。

先輩が告白するとは思えないし、告白されたんだろうから、「私声フェチなんです!付き合ってください!」とか言われたのか?え、なにそれ怖い。

「そういえばデートの場所、なんにも決めてないんだけど何処が定番とか、ユリふぉん知ってる?」

「私ですか!?え、えと、水族館とか映画館とかですかね?ショッピング…は、ハードル高いかもです」


キラーパスが飛んできた。

もしかしてさっきの事はこのまま流されてしまうんですか。そうですか。

正直声フェチについて言及しようにも取っ掛かりが無さすぎて無理だけど、えー…。

「なるほど、他には?」

「え、えーと、制服デートとか良いと思います。好きな人となら何処に行っても楽しい…らしいですし」

「制服デート…あー、うん。やっぱり聞いて良かったよ。ありがとね」


わしわしと私の頭を撫でてから、何処からか原稿を取り出してきて何か書き込んでいる。

これ、もしかしなくてもドラマCDのネタに使われる奴ですね。



江藤 百合子、高校一年生。

放送部に在籍する活発な少女。去年の文化祭で聞いたドラマCDから興味をもち入部した。少女漫画を愛読しており、本人はあまり恋愛経験がないが色々知ってる耳年増。最近添い寝CDなるものの存在を知り部の予算で買えないか模索中。


その後輩、苦労性につき



そのうち手直しします。

何かご意見、ご感想があればどうぞ。


次回、「その女、傍観者につき」

また見てね。

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