その男、マイペースにつき
キャラの名前が明記されないのは仕様です。
「好きです、付き合って下さい!」
はてさて、一体なんでこんな状況になってしまったのか。
放課後の校舎裏、正面にはそれなりに仲の良い女友達。
うん、わかってる。納得いかないけれど理解はしてる。
「あー、うん。高校生の間だとたいしたこともできないと思うけど、俺でいいならよろしくお願いします。」
状況を理解すると同時に、そんなムードもくそもないようなセリフを口にしていた。
「ほんとに!?」
「罰ゲームとかじゃないならほんとに」
たしかに恋愛とかに興味があるタイプではないと自覚しているが、俺だって一端の高校生なのだから彼女は欲しいし、その反応は傷付く。
とはいえ『彼女』か。
ショッピングや家デートならいいけどバイトもしていない身としては、遊園地などは財布が厳しい。
「そ、それじゃあまた明日ね!」
そんな事を考えていたら彼女は帰ってしまったようだ。
なんとも実感が湧かないがこれで「彼女いない歴=年齢」ではなくなったのか。
「うん、帰ろう。部活に行く気分でもないしな。」
これ以上用事もないので校舎裏から立ち去り、ケータイで部長にメールを打ちながら教室に荷物を取りに帰る。
「『今日は部活休む。明日は出られると思う。連絡遅くなって悪い。』と」
そういや、彼女送っていったりした方がよかったのかな。でも彼女バス通学だし俺は自転車通学だしなぁ。
色々と考えても今は考えがまとまらないだろうし取り敢えず帰ろう。
保坂 知樹、高校二年生。
おそらく他人が彼を見てもついさっき彼女ができたばかりとは思いもしないだろう。
その男、マイペースにつき。
短いですが、次の話とセットになります。