8話 東の大国テクノシア
久々の更新
あれからしばらく歩き、先のドラゴンのような魔物に襲われることもなく、無事に四大大国に数えられる東の国に来ていた。
「しっかし、関所小さいな、あんなので大丈夫なのか?見たところ門番みたいなやつも少ないみたいだし、これは防犯上良くないと思うんだが」
「その点に関しては大丈夫なの、犯罪者の魔力に反応する魔道具が門の上に取り付けてあるから、悪事を働いた人は入れないの」
便利なものもあるんだな、じゃあ空から入国した場合はどうなるんだろうか?
「なあ、空から門を通らずに国に入った場合はどうなるんだ?空飛ぶ魔法とかで」
アリスに疑問を投げかけると、すぐに答えが返ってきた。
「人間に空を飛ぶことはまず不可能なの、それに飛翔魔法は応用が利きすぎて数百年前に四大大国全てで使用が禁止されたから、半分消失魔法になってるのが現状なの、使えるとしたら王家の人間か国の中でもトップクラスの魔術師くらいなの」
そんな話をしていると門の前に着いた。
「はいお兄さんちょっとストップ!」
「なんだ?」
これは後から聞いた話なのだが、今この門番がアリスに気付いていないのは認識阻害の魔術を掛けているからだそうだ。
あと一つ言っておくと俺はこういう人間が苦手だ、嫌悪しているといってもいい。
というのも、前の世界にいたときに目の前にいる門番のような初対面なのに馴れ馴れしく話しかけてくるやつに関わってめんどくさいことに巻き込まれたことがあったからだ、こういう人間にはまともな人間はいない、人の領域に土足で入り込んでくる奴らばかりだからな。
「そんなに見つめないでくださいよ、照れるじゃないですか!」
見つめていない、睨んでるんだ。
「おっと、仕事忘れるところでした!お兄さん、身分を証明できるものありますか?」
「いや、幼少のころから旅をしていてな、持っていないとまずいのか?」
「いえ、規則なので聞いただけですよ、ただ身分が証明出来ないと治癒院に行ったときに高いお金を取られるので、身分証は作っておいたほうがいいかと」
「そうか、分かった、後で発行してもらうとするよ」
「では、テクノシアで良い時間をお過ごしください」
そして桜華が門をくぐるとそこには驚きの光景が広がっていた、赤、緑、黄、その他いろいろな色の髪の色をした人が歩いている。日本で、いや、地球のどこに行ってもこんな光景は見られないだろう。建物はレンガ造りのものが多く見受けられる、いかにもヨーロッパの街並みといったような感じである。
「さて、人の街を訪れるという目標は達成したわけだが、これからどうしたものか、俺としては門番が言っていた身分証を発行してもらいたいな」
「それには私も賛成なの、さすがに発行してもらう場所までは知らないけど、ギルドにいけば何か情報が得られると思うの」
ギルドは大方想像がつく、だからあまり行きたくないんだけどな、荒くれ者が多いイメージだし。しかし背に腹は代えられないか、何かあれば帝ノ剣を使えば大体のことは何とかなる。
桜華はギルドの場所を知るために露店を出している気のよさそうな20代前後のお姉さんに話しかけた。
「すいません、ギルドの場所ってどこですか?」
桜華は自分が出来るとびきりの笑顔でそう聞いた。
「あら、それならあそこにあるわよ」
お姉さんが指を指した方を見ると、周りのレンガ造りの建物とは一風変わった頑丈そうな建物が目に入った。
「それより大丈夫なの?あそこはあなたみたいな女の子が入るような場所ではないわよ?」
こっちでも女に間違えられるのか。
「はい、大丈夫ですよ、それに俺は男ですから」
「あら、ごめんなさいね、かわいい顔をしていたから」
「いえ、よくあることなので気にしてませんよ、教えていただきありがとうございます」
「うふふ、頑張ってね」
お姉さんに軽く会釈しながら桜華たちはギルドへ向かった。
次回、ヒロイン登場!