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円卓のヴェリタブル  作者: 宗園やや
第三章
82/333

11

緑の野菜が芽吹いている広大な畑の真ん中で、イヤナは大あくびをした。

いつもと変わらない睡眠時間を取ったはずなのに、どうにも眠くて仕方無い。


「ははは。大きい口だね」


ウェンダが笑いながら現れた。

男の人に口の中を見られるのは恥ずかしいので、慌てて口を閉じるイヤナ。


「あ、おはようございます。って言うか、もうこんにちはですよ」


「俺は良いんだよ。元々休む為に実家に帰って来てるんだし」


スゥエットにサンダルと言う身軽な格好のウェンダが(うね)を跨いで近付いて来る。


「眠そうだね。どうしたの?目の下にうっすらとクマが」


「あらやだ」


顔を触ろうとしたイヤナは、手が土だらけなのを思い出し、すんでのところで手を止めた。


「魔法の修行が結構疲れるんです。畑仕事より疲れるかも」


「へぇ~。どんな事をしてるの?」


「えっとですね……あ、人に話したらダメだった。ごめんなさい。秘密です」


「どうして?」


「難しくて良く分からないんですが、危険なんだそうです」


「そっか。魔法の事は良く分からないから、話を変えようか。そろそろ夏野菜を植える時期だね。みんなでバイトしに来るのかな?」


「はい。みんなでやらないと終わりませんからね」


イヤナは、言いながら草むしりを再開する。

それをただ眺めているだけのウェンダがダラダラと歩きながら口を開く。


「仕事も良いんだけどさぁ。今度、俺の友達がウチに遊びに来るんだ。君の仲間も一緒にどこかに遊びに行かない?」


「遊びに?」


「うん。イヤナちゃんって、ずっと仕事してるからさ。たまにはストレス発散しないとね。どう?」


「どうかなぁ。みんなに聞いてみないと。でも、ペルルドールが一番疲れてるっぽいから、ストレス発散は良いかもですね」


「そう来なくちゃ。でも、田舎だからあんまり期待しないでね」


「あはは。分かりました」


「じゃ、俺の友達が来る日が決まったら教えるから、それまでに女の子達のオッケーを貰っておいて」


「はい」


イヤナが笑顔で頷いたのを確認したウェンダは、手を振って母屋に帰って行った。

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