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円卓のヴェリタブル  作者: 宗園やや
第二章
61/333

23

目を覚ましたセレバーナは、しばらくぼんやりしてから金の瞳を動かした。

木の天井。

紙のドア。

青いカーテンの向こうは明るい。


「朝か。さて、予定通り、帰る準備をするか」


ここがサコの部屋だと言う事を思い出したセレバーナは、窓の外から聞こえて来た小鳥の囀りを合図にして身体を起こした。

妙に量が多い髪をちゃんと乾かさずに布団に入れられたため、とてつもなく派手な寝癖が付いている。


「サコがお父様に呼ばれたそうですから、戻って来るまでお待ちなさい……」


布団の中でまどろんでいるペルルドールが、掛け布団を鼻の位置まで上げながら言う。

放って置いたら二度寝に入るだろう。


「サコが戻って来たらすぐに帰るぞ。支度を整えておこう」


勢い良く立ち上がったセレバーナは、最果ての村の人から借りた農民用のドレスを着た。

敢えて洗濯をして貰わなかったので、少々土臭い。


「どうしてそんなに急ぐんですの?――あら?」


ペルルドールが寝ぼけ顔を布団から顔を出す。


「セレバーナの肩の所に、目が……」


その言葉を聞いた途端、物凄い勢いで自分の肩を見ようとするセレバーナ。

自分の尻尾を追い掛ける犬の様に身体を捻っている。

ペルルドールは、その必死な姿を見てクスクスと笑う。


「セレバーナにも弱点が有るんですのね。大丈夫ですよ。朝にオバケは出ません」


「何を言う。奴等は神出鬼没だ。しかも理解不能。私の手におえん」


「なら、電報を打ったのはオバケでしょうか」


「なるほど、決定だな。解決だ。帰ろう」


畳の上でアグラを掻いたセレバーナは、不愉快そうな顔で靴下を履く。


「冗談ですのに。せめて朝食はご馳走になりましょうよ。準備して頂いているでしょうから」


「むぅ……」


短く唸ったセレバーナは、空腹を訴えているお腹を擦った。

確かに、用意された食事を無下に断る必要は無いな。

失礼だものな。

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