7
「私が先に家を出るね」
そう言ったサコは、気配を消しつつ玄関の引き戸に手を掛けた。
セレバーナとイヤナも足音を立てない様にして動き易い位置に移動する。
「頼むぞ、サコ。不意を突かれたら、私とイヤナは反応出来ない」
「分かってる」
頷き合った三人の少女は、気合を入れて外に踊り出る。
真っ白な世界に誰も居ない事を確認した途端、サコが噴き出した。
「懐かしいな、この感じ。またみんなで修行したいなぁ」
「ふん。ペルルドールと同じ事を言う」
セレバーナは、薄く笑みながら不機嫌そうな声を出す。
同感だが、それはもう叶わない。
「あ、ペルルドールの所にも行ったんだ」
サコは周囲を警戒しながら雑談を始める
真っ白な庭にイヤナとセレバーナが付けた足跡が残っている。
それ以外の生き物が歩いた跡は無い。
気配も無い。
「うむ。王城もパワースポットだからな。彼女も元気だった」
セレバーナも周囲を警戒しながら雑談に応じる。
「お姫様みたいな格好してたよ」
笑みながら当然の事を言うイヤナに肩を竦めるサコ。
表情は笑んでいるが、その目は半目になっていて焦点を定めていない。
そうすると視界が広くなり、咄嗟の襲撃にも対応し易くなる。
「そりゃそうだよ。本物のお姫様だもん」
ふと思い出すセレバーナ。
「そう言えば、ペルルドールも家を継ぐ覚悟をしたな。病気を理由に、姉姫が公式に王位を放棄したと元旦に発表された」
「うん、新聞で読んだ。だから私も家を継ぐ覚悟をしたんだ。負けてられないからね」
「その覚悟、私は尊敬するぞ。だから無意味な怪我をしてはいけない」
「気を付けるよ」
サコの口調は軽いが、その耳と目は後ろの二人に伝わるくらいの緊張を保っていた。




