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高級ホテルに帰って来たイヤナとセレバーナは、布に包んである『女神の慈悲』をベッドの上に置いた。
切れ味鋭いこの剣には鞘が無いので、雑に扱うととても危険だ。
「すんなりと剣を貸して貰えて良かったね。ユゴントの人達の会議より、私の話の方が長かったくらいだし」
「イヤナの熱心な説得の賜物だろう。では、シャーフーチに報告するぞ」
厚着をしたままのセレバーナは、部屋に残しておいていた荷物から小さな木箱を取り出した。
その中身は水晶玉。
より遠くに高品質なテレパシーを飛ばす為の魔法具で、シャーフーチの魔力を登録してある。
その水晶玉に手を翳したセレバーナは師の気配に神経を集中する。
「シャーフーチ。この声が届いていますか?」
『はい、何でしょう』
返事はすぐに来た。
意識を広げ、イヤナにも聞こえる様にする。
「女神の剣と思われるアイテムを入手しました。記憶を探ってみたいので、サポートをお願いします」
『了解しました。ソレイユドールが寝付いてからで良いですか?』
「それだと深夜になります。気絶した後に剣を身体から離して頂きたいだけなので、信用出来るギルドの女性の方が望ましいです」
『相変わらずせっかちですねぇ。じゃ、ギルドの人にお願いしてみますよ』
「お願いします。剣は私が全力を出しても持てないくらい重いので、魔法で重い物を動かせる人が良いですね」
『となると、ハイクラスの女性ですか。優秀な人は忙しいので、今すぐにとは行きませんよ?』
「夕食を取りながら待ちますので構いません」
『分かりました。――必要なら私もそちらに行こうと思います。予想の通りに深夜になるでしょうが、どうですか?』
「そうですね。結果報告が必要なら、おいで頂いても構いません。剣に記憶が無く、報告する事が無い場合はギルドの方にそう伝えます」
『では、その方向で手配をしまっ、うわっ』
「どうされました?」
『ソレイユドールが部屋の中を飛び回っているんですよ。ドラゴンと言う物は子供でも凄い力で』
「大変ですね。怪我をしない様に気を付けてください。では失礼します」
テレパシーを終えたセレバーナは、水晶玉を荷物の中に戻した。
「ドラゴンのお世話、大変そうだけど大丈夫かな」
向こうの状況を良く聞かないままアッサリと通信を切ったので、イヤナは師を心配する。
「大丈夫じゃなかったらギルド長を頼るだろう。あの二人でもどうにもならなかったら、心配してもどうにもならん」
相変わらずクールなセレバーナは、邪魔なマフラーと毛糸の帽子を脱いで身軽になった。




