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円卓のヴェリタブル  作者: 宗園やや
第一章
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面倒なので昼食も食べないで読書をしていると、日の光が弱くなって来た。

今日が終わりを迎えようとしているのだ。

そう言えばあの子達はどうなったのかなと思って顔を上げると、夕焼けの中、四人の弟子が丘を登っている姿が見えた。


「おや?何か有ったんでしょうか」


マンガを下したシャーフーチは、開けた窓から身を乗り出して弟子達を見下ろす。

ペルルドールはサコに背負われ、セレバーナはイヤナに背負われている。

背負われている二人はワンピースと制服を着て出て行った筈なのに、今はモンペを着ている。

土弄りをする服装ではなかったので、手伝いに行った農家の人が貸してくれたのか。


「おかえりなさい。その子達はどうかしたんですか?」


気になったシャーフーチは、一階に下りて弟子達を出迎えた。


「大した事は有りません。この二人の体力が圧倒的に無かっただけです」


サコが苦笑しながら応える。

藤椅子に座らされたペルルドールと、円卓に突っ伏しているセレバーナは一言も喋らない。


「王族と神学生だから体力が無いのは当然だ、と本人達は言い訳してましたけどね。――じゃ、お夕飯の準備をしますね」


イヤナは笑顔でキッチンに向かう。


「サコとイヤナはさすがに平気ですね。ペルルドールとセレバーナは体力作りが必要ですか」


へばっている二人は無反応。

凄く疲れている様だ。


「知力、体力、精神力。魔法を使うには、このみっつがとても重要になります。体力が無いのを当然だと思って貰いたくはないですね」


円卓の上座に座ったシャーフーチは、突っ伏しているツインテール少女のツムジを見ながら言う。

この子は身体が小さいので、力仕事が向いていないのはしょうがない。

でも、一人前に育てるつもりなら、そんな言い訳を許してはいけないらしい。

新人師匠向けの本にそう書いてあった。


「知力は自信無いなぁ」


可愛い声のサコがザンバラ頭を掻く。

こちらは逆に身体が大きいので、体力に不安は無さそうだ。

しかし、魔法使い向けの性格ではない様に見える。

まぁ、本人のやる気次第で向き不向きはどうにでもなるから、くじけずに頑張って貰うしかない。


「課題は多い様ですねぇ。さてさて」


「あ、そうだ、お師匠様ー!」


「はい、何でしょうか、イヤナ?」


「手伝いに行った農家で余った種や苗を貰える事になったんです。ここの庭に畑を作っても良いですか?」


「ええ、勿論良いですよ。四人で力を合わせて頑張ってください」


それを聞いたペルルドールが藤椅子からずり落ちた。


「帰って来てからも、農作業をするんですの……?」

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