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円卓のヴェリタブル  作者: 宗園やや
第六章
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11

『試しの二週間』最後の日曜日。

四人の少女達は、光線魔法とその対極に有る魔法との複合魔法を成功させた。

一回も失敗する事無く、本当に二週間で試験を終える事が出来た。


「はい、お疲れさまでした。これにて『試しの二週間』は終了です」


師の言葉を受けた弟子達は、全員が大きく溜息を吐いた。

緊張から解放された安堵感で肩に入っていた力が自然と抜けて行く。


「いやはや、素晴らしい。弟子が優秀だと師は楽ですね。落ち込む子を慰めたり、能力差が有る子達を取り成したりしなくて良いのですから」


「ダメな子ほど可愛い、と言う言葉も有りますが。もしも次の弟子を取る予定がお有りでしたら、その時は敢えて落第生を取ってみると言うのはどうでしょう」


セレバーナがそう言うと、シャーフーチは曖昧な笑顔で首を横に振った。


「今は貴女達の事で頭が一杯です。――では、次の修行に必要なアイテムを用意しなければならないので、魔法使いギルドに行って来ます。昼食はいりません」


「分かりました」


自主的に厨房担当になっているイヤナが頷いたのを確認したシャーフーチは、瞬間移動の魔法を使って姿を消した。

それを見送った少女達は、庭での畑仕事を始める。


「全員が合格出来て良かったね」


そう言ったサコは、背が伸びて来たトウモロコシが倒れない様に添え木をしている。


「うむ。だが、これからも修行が続くのだから、このまま緊張を持続しておこう。疲れない程度にな」


モンペに着替えた黒髪少女は、同じくモンペに着替えた金髪美少女と共にニンジンの種を畝に捲きながら言う。

ツギハギだらけの質素なドレスのままのイヤナは別の畝にパセリの種を捲いている。


「私は普段通りで良いと思うけどな。魔力は一気に上げられないみたいな事を仰ってたから、多分、もっともっとここで生活しないといけないだろうし」


「確かにイヤナの言う通りかも知れないな。しかし、シャーフーチは次の修行に必要なアイテムとやらを買いに行っている。すぐに次が来ると思うが」


セレバーナの言葉に「うーん」と唸って考えるイヤナ。

数秒手が止まったが、すぐに種蒔きを再開させる。


「どっちにしろ、これからの大事な食料になる野菜達に愛情を注ぐのに集中した方が良いかも。『試しの二週間』の間、畑の世話がおろそかになってたし」


「そうですわね。魔法で野菜を育てると言うズルは出来ませんし。次の修行まで間が開く様なら、緊張していても無駄になるでしょう」


イヤナとペルルドールの言葉に同意して頷く少女達。

元々ここは雑草が生え捲っていた痩せた土地だったから、ちょっとでも手を抜くと野菜はすぐ元気を無くしてしまう。

だから農作業に集中する為に、少女達は申し合わせたかの様に無駄口を止めた。

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