表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君と男爵、ときどきメイド  作者: みつ
第一章 ようこそ異世界へ
1/39

プロローグ

 ★★★

 日本は全てを克服した!

 ★★★



 あの東日本大震災からの復興、原子力発電所の完全停止。

 それに変わる新たな電力供給の技術、領土問題、歴史問題、文明の発展はめまぐるしく人々の暮らしはさらに豊かになった!


 放射能汚染の危険性から、脱原発という国内世論の流れの中で、新しい技術が完成した。

 その技術の名は「世界システム」!


 かつてニコラ・テスラが提唱した、電磁波を利用した無線送電装置だ。

 その機械は、なんと大気中に存在する微弱な電気を取り込み、電力として使用するというこれまでにない画期的なものだった。

 電気を受ける機械ということで、その装置は通称「受電機」と呼ばれるようになった。

 もちろん大騒ぎになった、大気中の電気とは何かとか電波とは違うのかとか。

 そもそもその電気は人々の電力需要を賄えるほどの量があるのか。

 すぐ枯渇するんじゃないかだとか

 そしてそれらの議論はすぐ解決された。なぜなら雲の中で発生する電気を利用するからだ。

 その落雷によって生じるおおよそ数億ボルトもの高電圧エネルギーだ。

 落雷は超高電圧だが発生するのは極めて一瞬、それ故に利用は不可能とされていたのだが。

 この技術が利用するのはその一瞬のあとに大気中に放出される電気だったのだ。

 その一発の落雷によって発生する電気エネルギーは、なんと日本総人口1億人が利用する電力の半年分に相当する量だったのだ!

 もちろんこれは複雑な計算が絡み、大きなロスを考慮した上でのおおよその数値ではあるが。

 それでもこの情報は世間を大いに賑わせた、たった一度の落雷で半年間電気使い放題、との認識が植え付けられた

 では、エネルギーロスの多い落雷ではなく、雷雲から漏れ出る電気はどうなのだという話にもなった。

 雷雲の大きさと水分量によって生じる電気の量はまちまちだが、数年分は有るだろうと見方になった。


 かくして、地震雷火事親父と古来から言われ続けて恐怖の代名詞となっていた雷だが、この時代ではもはや雷は恐怖ではなく、文字通り闇夜を切り裂く閃光となっていった。




 時は過ぎ、技術は常に進歩する。

 受電機は電池のようにその大きさで取り込む事の出来る電力の大きさが変わる。

 つまり、病院などの建物に電力を供給するならば専用の部屋を1つ。

 部屋一つだけなら非常にコンパクトに、配電盤に変わり壁に貼り付けられるようになった。

 それでも建物内での電源ケーブルはまだ無くなっていない、全ての家電に取り付けるにはコストが高く、あまりメリットもないからだ。

 その辺りは、技術は進歩しても目に見える繋がりを求めると言うことは人の常といえるかも知れないが。


 そんな最中、さらなるビッグニュースが飛び込んできた。

 これまでの常識を大きく覆す超小型受電機の登場。

 サイズにして1円玉ほどのとても小さな機械。

 そしてそれを搭載する物とは……?




 新発売!ユニバーサル携帯!


 超小型受電機を搭載することで、常に稼働状態、電波はバリ3!

 水深200メートル防水、耐水、耐熱、耐衝撃、そこまで必要なのかと言われるほどの防御性能。

 さらに、万が一のための予備のバッテリーが申し訳程度に搭載。

 もし電力供給が稼働維持困難な環境に陥ったときに使用する機能は必要だと判断されたのである。


 そして、ユニバーサル携帯は次々に人を驚かせた

 それは、機材代50万円というあり得ない価格設定。

 それは、機材代に電話料金もパケット通信費用も内包されているということ。

 それは、完全売り切りという、月々の使用量という物が一切ない契約形態。

 そして、機能向上、上位機種の登場による機種変更への費用が5万円という価格!

 各都道府県に初期出荷台数は、各1000台。なんと予約受付開始5分で売り切れた。

 購入は公平にするために極めて特殊な方法がとられ、その方法も大きな話題となった。


 そして君もそれを手に入れた。

 だが少し違うのは初期出荷1000台から購入したわけではなかったのである。

 企業が提供された特殊デザインの3台、プレゼントというイベントだった。

 阿鼻叫喚したのは1000台を50万出して買った人たちだったが。

「この様にプレゼントが可能なのはお客様皆様が私どもの商品に魅力を感じ、購入していただけたからです。誠にありがとうございました」

 その時初めてテレビの前に姿を現した見目麗しい女社長の姿に誰もが毒気を抜かれてしまった。

 そのため、彼女が下げる頭の下で、ぺろりと舌を出して笑っていた事を気付く人はほとんどいなかった。


 かくして君はユニバーサル携帯を手に入れた。

 生体電気信号の認証、機器の起動、君は新しいおもちゃを手に入れたときのようにわくわくした。


 そしてメッセージ。

「未だかつて見たことのない世界を体験しますか?」


 はい YES


 君は笑いつつボタンを押した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ