オークキング
「ブルホオオオオオオオオオオオッ!!!」
ドッゴオオオオン!
勢いよく振り下ろされた斧での一撃は、地面に使いクレーターを作った。
斧を担ぎ直し、左右に回避した俺らを顔は徐々に赤みを増し、灰色の皮膚は真っ赤に染まっていった。
目に見えるほどの鼻息を吐き、口からは垂らされた涎は水たまりを作る。
「なあ東樹。顔色とか鼻息とか涎とか、さっきまでこんなに凄かったっけ」
「あれだよ。HPが減って極限状態に突入したとか、仲間を殺されてパワーアップとかそんなの」
「ゴラアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
力強く放たれた雄たけびは空気を震わせ、びりびりと衝撃が肌に触る。
叫び終えると倒れたオークの斧を拾い、左手にそれを構えた。右手には元から持っていた斧が握られているので斧二刀流だ。
ドッ!と地面を蹴り、凄まじい速度で飛び込むオーク。
狙いは東樹、敏瞬を上げたアイツなら回避は行えるはずだ。
爆風で彼らに接近し、オークの背中を狙う。
「ッガアアアアアアアアァァァアアアァア!!!」
ブォンと空気を切り割きながら振るわえた二つの斧。1つは東樹を、1つは背後の俺の元にやってきた。
「っつ!」
「やべっ!」
横薙ぎの剣線から逃れるよう、真下から爆風を起こし上空に回避する。
もう一方の斧は金属音を上げ、刀によって受け止められた。
「爆拳ォ!」
「っし!」
上空から後頭部へと拳を打ち込み、爆発を起こす。
最大火力の爆発を空中で放ったため、踏ん張りが効かずに後方へ吹き飛ぶ。
斧をいなし首元を狙った東樹の剣は、オークの皮膚に阻まれ傷を付けられずにいた。
眼前で立ち尽くす東樹に向かって二つの斧が襲う。
「氷塊!」
援護するように放たれた魔法がオークの顔面に着弾する。
右目が凍ったらしく、斧での攻撃を止め氷を掻き毟る作業に入った隙に、刀での一閃が振るわれた。
キィンッ!
「……なっ!」
オークを切り割こうと、以前よりも素早く振るわれた刀は、頑丈な皮膚に負け根元から折れてしまった。
慌ててバックステップをにより距離をとる東樹に近づく。
「一撃受け止めた時に傷が入ってたみたいだね。そのときに腕の骨も折れちゃったみたいで、ちょっと戦力にならないかも」
「腕?うわっ、変な方に曲がってんじゃん!早く安藤さんに直して貰えよ!」
「そう言うとと思って既に来ていたのです!治療!」
「おおうっ、いつの間に」
駆けつけてくれた安藤さんが腕の治療を行っている間にオークの様子を窺う。
まだ氷付いた瞳を掻き毟っていたので、ポケットから端末を取り出し上級爆発魔法を購入する。
東樹も同じ考えらしく、空いている手で端末を操作し、新たな武器の購入と筋力の増幅を行っていた。
「大丈夫なの?」
鳩を手の甲に乗せた千華が心配そうに尋ねる。安藤さんを前衛に送り出したのも、千華が召喚獣を使い戦況を正確に把握していたからだろう。
大丈夫、と一言告げ腕の完治した共にオークを見据える。
氷を諦めたのか、怒りを露わに睨みつけてくるオークに向かってそれぞれの武器を構える。
時間からして援護射撃は暑士と気山が一発撃てるかどうか、警戒すべきは驚異的な筋力による突進と二刀。攻略すべきは頑丈な皮膚。
「俺が皮膚を剥からそこに一撃頼む」
「イケるの?MPも少ないでしょ」
「爆拳はMP消費しないし、爆風は威力抑えてるから大して消耗してない。暑士!一発撃てるか!?」
「一発ならいけるー」
「頼むわ」
「おーけー」
安全な距離から暑士の「炎槍」、便乗した気山の「気合弾が左右を通過しオークを襲う。それを追いかけるように東樹と接近を開始する。
「ルガギャアアアァァァアアアァア!!!」
乱雑に振るわれた斧により、二つの魔法が弾かれる。
魔法に意識が向いた一瞬の隙に、新しく習得した魔法をぶち込む。
『大規模爆発!!』
――――ドッ!!!
MPを半数も持っていかれ放たれた爆発は、オークの顔面を包んだ。
「ガッ!!フ、ルガア!!」
これでも致命傷は与えていない。
顔面での爆発で奪われた酸素を求めるように大口を開けたところに拳を突き込む。
「『爆拳』+『大規模爆発』!!」
「ッガ!?……ッ!」
口内で爆発を発生させ、顎が外れたのか煙を出したいのか、パックリと開いた口からは血がダラダラと流れる。
「東樹!ラスト!」
「おう!」
左腰の鞘から滑るように抜かれた刀がオークの口内に侵入する。
名刀『正宗』
華麗な突きはオークを容易く貫いた。
爆発により柔くなったのか、正宗の切れ味がそれほど良いのか、貫通した刀を振り上げるとあっさりとオークの脳天が両断された。
吹き出た莫大な血が死闘の終了を告げた。
『レベルアップしました』
『レベルアップしました』
『レベルアップしました』
『エリアボス討伐達成。スキルを授与しました』
『エリアボス最速討伐達成。スキルを授与しました』
『一番エリアボスへのダメージを与えました。スキルを授与しました』




