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レッツサバイバル  作者: ノンノン
10/13

オークの集落

「おは幼女」

「ん、おはよう十五。疲れは取れた?」


 午前10時、いつもより遅めに起きるとすべに朝食は終わっていた。

 徹夜で行動していた疲れもあって寝過ごしてしまったが、昼まで空腹は待ってくれない。


 昨日の狩りで溜まったDRドラを使い、食糧でも買おうかと端末を弄っていいると千華が画面を覗いてきた。


「お腹減ってるの?」

「朝飯喰い逃したからな」

「……作ってあげよっか?」


 惣菜コーナーを探っていると、千華が手料理を提案してきた。

 彼女は料理が苦手だが、女子が自分のために手料理を振るまってくれるとなると心躍るものがある。


「じゃあ、お願いしよっかな」

「材料は余ってるから、ちょっと待っててね」


 最低限の調理器具の元へ、パタパタと小走りでかける千華を見守る。

 制服姿の女子高生が手料理だ。エプロンがないのは残念だが、余裕ができたら買ってあげよう。新しい服もそろそろ買った方がいいんだろうが、そんな無駄なことに費やすDRはないからな。


「あつあつですのー」


 安藤さんがにやけながらこちらを見ている。

 おいでおいでするとちょこちょこと近寄ってきたので、膝の上に乗せてみる。小柄な体は見事にフィットし、孫を可愛がる爺ちゃんのように頭を撫でる。


「お待たせー……?」


 料理を持ってきた千華が怪訝な顔をする。

 安藤さんが小柄と言っても幼女じゃないからセーフだ。いや女子高生はギリギリアウトか

 

 膝から降り、とてとてと走り去る安藤さんに手を振り千華の料理を受け取る。

 一つの茶碗。

 これは、TKGたまごかけごはん!!?


「なるほど、これなら料理下手な千華でもそれなりに作れるな。寝起きで昼ご飯も近いから軽めの食事にしてくれたこともグッドだ。しかし、如何せん手抜きにも見えてしまうため評価はダウンだ。110点」

「それ何点満点?」

「もちろん、10点満点」

「採点甘すぎるよ!?」

「ばか。お前が作ってくれたってことで100点からスタートしてだな」


 

 そうして卵かけご飯を食べ終えた。

 今日は一日自由行動らしい。自由と言っても単独行動や危ない行動は禁止だ。

 なんでも昨日東樹たちの探索隊で問題点が浮上したらしく、暫く行動を制限するとのこと。


 暇になったので万屋を表示し、新しい魔法でも取得することにした。

 昨日の探索により所持金は4376DR。上級魔法は5000DRなので少し足りないな。


「千華、少し索敵してくれない?」

「出かけるの?今日くらいゆっくりしたら?」

「あと少しで上級爆発が取れそうなんだよ」

「索敵してもいいけど、一人で行ったら帰り道わかんないでしょ?私も付いてくわよ」

「お。悪いね」


 

土田と話す東樹に出かけると一言伝え、魔物を目指して森を歩いた。

北と南は昨日散策したので、今日は東に進んでみる。


「あそこね。気を付けて」

「おうよ」


 千華が見つけたゴブリンに向かい、爆風の余波を受け吹き飛ばされながら突っ込む。


「おおおおおおおおっ!爆拳!」


 衝突間際に拳を振るい、反応の追い付かないゴブリンを殴りつける。

 ボゴンと拳から発生された爆発によりゴブリンは絶命する。

 その爆発の衝撃でスピードを緩め体を反転し、突然仲間が爆殺され戸惑うゴブリンの顔面に一発拳を叩きこむ。


 ドゴォ!顔面が崩壊し倒れるゴブリン、残りは二匹。

 小規模爆発を相手の懐で発生させ、残り一匹。

 がむしゃらに振るわれる金棒に拳をぶつけ、爆発で吹き飛ばす。

 がら空きの腹に拳をめり込ませ爆発。殲滅完了だ。


「お疲れ。怪我平気?」


 ステータスを確認すると一割程度HPが減っていた。

 爆風を利用した加速に体がもたないのだが火力調整にもだいぶ慣れ、怪我の度合いは軽くなってはいるが無傷とまではいかない。

 幸い、爆風によるダメージは自然治癒が速いのでそのうち全快するだろう。


 ゴブリンを数回に渡り撃滅し森を進んでいると、昼になっていた。

 今から戻っても昼飯に間に合うかどうか。そろそろ戻ろうと提案しようとしたところで、千華が何か発見した。


「家かな。藁の家がいくつかあっちにあるみたい」

「人がいるかもしれないな。一旦戻って報告するか」

「待って、ハットを向かわせてみる」


 ハットとは千華の使役する鳩の名前だ。そのネーミングセンスはどうかと思う。

 鳩の偵察によると、藁の家の中から気配を感じるらしい。


「数は少ない、様子だけ見に行く?いきなり襲っては来ないでしょ」

「上級生とか血気盛んだぜ。女子を見つけたら何するかわからん」

「じゃあ一人で見てきてよ。家の作り方と知りたいし」

「まあ、行ってくるか」


 他のクラスの連中も森に飛ばされたと言っていたし、協力ができるならかなり助かる。

 上級生だったら下手したてに出て情報を抜きとろう、下級生だったら頼りがいのありそうな雰囲気を醸し出して仲間に加えよう。同級生だったらどのクラスでも知り合いしるしなんとかなるはず……。


 草むらを掻き分け、木々に囲まれた少しの平地に藁でできた家が5つほど存在している。

 なんとなく人の気配は感じる。藁で塞がれた扉のようなものの前に立ち、中にいるであろう人に呼び掛ける。


「すいませーん。二年の七五三木しめきというものですがー、少しお話ししませんかー?」


 肩にハットがとまり、間抜け顔をこちらに向ける。

 鳩はたしか平和の象徴とか聞いたことがある、つまりここは平和なのだ。

 

 のしのしと近づく音が家の中から聞こえる。

 ドキドキしながら現れるのを待つと、藁の扉が乱暴に開かれ家主が現れた。


 その者は身長2M超。全身に贅肉か筋肉か判別の難しいお肉を纏い、体重は余裕で相撲取りよりもガッチリとした体形をしている。鶏のトサカのように頭から毛を生やし、口からは巨大な牙が突き出、細い目でこちらを見降ろす。


「あー、随分立派なお体ですね。相撲やったら横綱狙えますよ旦那」

「バッホルル!グホン、ブヒィ!」


 涎を撒き散らしながら鳴き声を上げ威嚇された。俺の胴体くらいある極太の腕には、その巨体に相応しいビックサイズの斧が握られている。鳴き声で呼ばれたのか、他の藁から同じような格好をした巨漢がぞろぞろと現れる。


「グヒッルル!ブホン!」

「ブヒュ!ボボン!」

「ベヒョ!バンルルヒュ!」


 生臭い巨漢たちに囲まれてしまった。

 そういえばこの姿、見覚えがあるな。


 そうだ。

 こいつらは女騎士大好きの、オークだ!



「ブヒョオオオオオオオオオオン!!!」


 オークの鳴き声を合図に、一斉に攻撃を仕掛けられた。



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