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生徒会副会長の受難  作者: 紫緑
生徒会副会長の救難
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戦闘開始(side刃羽)

二心がなしくずし的に、この国、シルバース城を守る衛兵の三番座席と戦うことになり、私は一日の間だけ彼の剣の臨時講師になった。彼はいつも、回りがハイスペックで大変だ、面倒だと言っているが彼は生徒会には欠かせない人間だと私は思う。そう、思わなければ去年の生徒会選挙で私の、最も苦手とする根回しなど行わなかっただろう。私は、彼が生徒会に必要な人間だと思う。そう、思ったからこそ彼を副会長に推薦し、当選させたのだ。お節介と思われたらどうしよう。自分らしくもなく、そんな弱気なことを考えた。根回し何ていらなかった、当選させなくてよかったと言われたら。余計なお世話だと、自分の我が儘(エゴ)だと分かっていた。だからこそ、それらの言葉を言われたらどうしようと。心が折れてしまうんじゃないかと。不安だった。けれど、彼の口から出てきたのは私の予想をいい意味で裏切るものだった。


「ははっ。生徒会かぁ、また巻き込まれるんだろうなぁ。」


誰に対していうでもなく、なにかを諦めたような、またなにかを感じ取ったかのようにただ、呟くだけだった。私のしたこと(根回しと推薦)については何一つ言及せず、ただ、生徒会に入ることも彼のなかでは決まっていたみたいに、彼の言葉は次へ次へと紡がれていた。


「生徒会長が厄介ごとを持ってこなければ楽なんだけどね。」


彼はそう言って、私に向かって笑いかける。その表情には確かに笑顔が浮かんでいたし、目も笑っていたけれど、中学校の時と違って自然体で見せるようなもにではなく、みる人に違和感を与える、どこもぎこちなくないのに、どこかぎこちない笑顔。そんな作り物で紛い物の笑顔だった。そして、彼のそんな笑顔を見て不安どころか、安心感を覚えてしまう私は、きっと彼に救いようもないくらい好意を抱いてしまっているのだろう。


―――――


ガキィン。

剣と剣、鉛と鉛のぶつかる音、もしくは弾かれる甲高い音が闘技場内響き渡る。これまでの流れは(副会長)が圧倒的に劣勢と見ることができる(・・・・・・・・)


メリア・シルバース嬢は三番座席の青年が勝ちそうなことで微笑みを浮かべている。三番座席の青年は自分の勝利を確信しているのか、笑いを浮かべる。その笑みが直後に潰され、絶望に変わるとも知らずに。


一方で彼は、劣勢を強いられているにも関わらず、その表情には私と一身以外の生徒会役員を安心させるためにと、余裕を見せつけるために笑顔が張り付けてある。つまり、彼にとってこの程度の相手では全力に、真剣にやる価値がないということだ。彼が笑顔を張り付けているのはそういうときだけだから。先程から、ギリギリの際どいタイミングで、あたかも偶然いなしたかのように相手の攻撃をいなす。昔から、ああいう回避系統の技術だけならば、彼の右に出るものはいない。それに、あの程度(・・・)の敵なら、彼が攻撃を回避するのは容易い。何故なら、現実からも、私からも3年間も逃れ続けることを続けることができる男なんだから。


「ふっ、この程度で良く俺と戦う気になったなぁ!!」


自分の攻撃が全てギリギリでいなされているのを相手の体がついてきていないからだと勘違いして、三番座席の青年は語り始める。自分の方が圧倒的に優位だと。自分の勝利は揺るがないと。そう、慢心し、過信し、安心して。二心の実力をはかり損ねた彼は、そして油断する。それらを見計らったかのように彼は笑顔を消す。


「……この程度で、か。それはこっちの台詞なんだけどな。」


それはほんの一瞬の出来事。彼の呟きと共に彼の左手に観客の視線が釘付けになる。それに気づいたとき、つまり彼がその言葉を発したときには、彼の手には、青年の刃を潰しているとはいえ、殴り殺せるぐらいの威力はもつ剣がしっかりと握られていた。今の動きが見えたのは、私とそれから、一身ぐらいだろう。私は、彼の相手を無力化するような戦い方に苦笑する。やっぱり、二心は二心のままだ。笑顔こそ、影に隠れて、ぎこちなくないぎこちない笑顔になってしまったけれど、彼のその戦い方は3年前と何一つ変わっていない。それでこそ、私が見込んだ男。和宮二心だ。


剣を奪われた三番座席の青年は激しく狼狽して、狼狽える。彼のその表情から察するに、いつ手から剣を奪われたのかすら理解していない。実力さがありすぎるのだ。三番座席がどれほど凄くていかなるものかは私には分からないが、この程度で良く国を守れるなぁと思う。私たちの高校ならこの程度いくらでもいる。むしろ、この程度はなければ入ることは無理だと校長が言っている。


「これで、僕の勝ちでいいですよね。武器奪われたらなにもできないでしょうし。」


最後に音符が付きそうなぐらい、テンションを上げて満面の笑みでいい放つ二心。心の底から笑顔を作っている。珍しく嬉しそうだ。その笑顔をみた青年は態度を一変させた。


「ふざけるな!!俺は剣がなくても戦える!!」

「あっ、そう。じゃあ、続けようか。」


彼は、不適に笑い、二本の剣を構えた。

読んでくださってありがとうございます!!

他者視点難しい……。そんなわけでぐだぐだな第七話どうでしたでしょうか。途中でぶったぎる羽目になるなんて作者はちっとも思っていませんでした!!続きは(全く考えていないけど)できるだけ早く更新したいです。

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