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生徒会副会長の受難  作者: 紫緑
生徒会副会長の至難
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冗談

一瞬の沈黙のあと絶叫が木霊する。


「な、ななな何を言ってるんだ火凛は!?冗談も大概にしやがれ!!」


頬を赤く染めながら、叫ぶ私の上司(生徒会長)。普段は、シャキッとしていて誰が見ても格好いいと評価するにも関わらず、こういう言葉ですぐに顔を赤くするのは如何と思いますが、それも含めた上で女子生徒に人気なのでしょう。


「えぇ。冗談です。」

「……。なんだよもー! 一瞬ドキッとしたじゃねぇか。」

「あら、そうでしたか?生徒会長ともあろうお方が、私程度の魅力で陥落していたら、回りの女子生徒は随分楽ですね。」


いつになく饒舌になる私――確かに私はあまり喋らない方ではあるけれど、しかしそれが心の内に何も秘めていないというわけではないのです。当然、ポーカフェイスは崩すには至りませんが、それでも彼の笑顔はグッと来るものがある。それが、何かと聞かれれば、答えることは出来ないほど、霧に包まれているかのように分からないのです。


「去年は女子のアプローチが凄かっただけだよ。今年からはほとんどないから、ちょっと久しぶりな感じがして焦ったんだよ。」

「成る程。つまり今の生徒会長なら、アプローチの激しい女子なら誰にでも陥落できると言うことですね。」


止めていた手を動かし、仕事をしながら口を動かし、生徒会長に問いかける。生徒会長は、息抜きに私が淹れた紅茶を吹き出しかけ、それをなんとか堪えるように口を閉じました。くぐもった声がしたので、そうとう勢い強かったのでしょう。それにしても、そこまでの衝撃を受けるほどの発言には感じなかったのですが。私としては、軽い問いかけのようなものですから。


「あのな。俺だって、外見に釣られただけの女子や、二心狙い、それから俺の親の出どころ意味不明な財産を狙ってるやつぐらいわかるっての。」

「……果たして本当にそうでしょうか?副会長ならまだしも、生徒会長なら……。」


やはり生徒会長には軽口で話しやすい。生徒会長が前述理由で近づいて来た女子が陥落できるとは思えない。副会長の言葉を借りるならば『主人公』『完全無欠』らしいですから。副会長とは、話をしたりしますが、それはほとんど作業の手順や考案であったりして、こういうことを言い合ったりすることはありません。普段は生徒会長とすら、そういう話しかしませんから。


「……今日はよくしゃべるなぁ。一体、お前に何があったんだよ?火凛。」

「別に何もありませんよ。」


どうやら、普段よりすこし饒舌な所はばれているようです。あの、猫被りの副会長の裏側を見てきた生徒会長なら当然かもしれませんが、確かに今日の私は喋りすぎかもしれません。少しばかり口を閉じた方がよいでしょうか。喋りすぎるのは志方ありませんよね。私だって、なれてるとはいえ、美形――それも極上のと形容詞の付く見てくれだけなら、最高クラスの男子と二人っきりと言うのは流石に精神に堪えるものがあるのです。


「ふーん。まぁ、お前がそういうなら俺は構わないけどな。――けど、俺だってやられっぱなしは性に会わないんだよ。」

「いつも、副会長にやられっぱなしの人の台詞とは思えませんね。」

「グ……っ!さすがは俺の選んだ会計。痛いとこついて来やがる……っ!」

「さらっと自分の株を持ち上げないで下さい。」


気がつかない内に、私を利用して、自分の優秀さをアピールしてきた。ですが、それって私が優秀であることを前提に成り立っている理論ですよね。釘を刺しておかないと、庶務、会計辺りで同じ事をしでかしそうなので、年のために言っておく。


「……分かった!!俺がちゃんと仕事してないから今日の火凛はそんなに冷たいんだな!!」

「いえ……会長と一緒だからですが。」

「本当、そういう恥ずかしい言葉をしれっと言わないでほしいんだが……。」


折角収まってきた頬の火照りを再び感じさせるように赤く染めた生徒会長は、落ち込むように、肩を落とす。どうやら能力の高い生徒会長らしくもなく勘違いしているようです。つかかってこようと浮かせた腰はどすんと椅子に下ろし、真面目に仕事を始めた。


「俺は今日はもう!お前の冗談を耳に入れない!!」

「そうですか、会長。つまり、今までの言葉は全て聞いてくれるんですね。」

「俺、お前の言葉にはもう耳を貸さな……え?」

「先程までの言葉は全て本心ですから。」

「じゃあ、つまり、冗談って言っていた、俺と付き合うと言うのも――」

「えぇ。冗談です。」

「やっぱそうだと思ったよ、畜生ぉぉぉ!!」


生徒会長の咆哮が木霊し、私の鼓膜を震わせ、彼は泣き崩れた。……最後は副会長に言われた通りにしたんですが……、これで良かったんでしょうか?

読んでくださり有り難うございます。

初めての火凛さん視点。おおぅ、君はそんなキャラだったんだね。

とか、書いてる途中に思いました。そして、副会長が企んでいました。酷い仕打ちですね。


今回はあまり言うことがないので(え?テスト勉強?なにそれ?)

次回、次は……庶務職のあの子で考えています。よろしくお願いします。

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