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生徒会副会長の受難  作者: 紫緑
生徒会副会長の至難
52/65

生徒会選挙流し

ちょっと短めです。

「生徒会に入りたいかーー!?」

「おぉぉぉーー!!」


凄まじい熱気に包まれる体育館。こういうときの盛り上げの上手さを見ると何でも出来る生徒会長の威厳は保てるのになぁ……。僕は、最近僕の中で残念なイケメンの代名詞となりつつある、生徒会長を見ながらそう思う。神は、彼に幾つもの才能を与えたが、最も大事なものを与えるのを忘れていたのではないだろうか。きっと、神様は最高のものを作り上げたはずなのに、中身がえらく残念に感じる。こういうのを正に、画竜点睛と言うのだろう。入れる魂を間違えたというか、宿す精神を誤ったというか。神様至上最大のミスではないだろうか。きっと、天界では自分のミスを恥じている神様がいるに違いない。もし、これがミスではないというのなら一体何をミスと言うのだろう。僕には理解しかねる。


「鬱だ……。」


何だか最近これに似たような言葉しか言ってない気がするが、しかしそれも仕方がないことなのだ。なぜなら、今僕は、結果が分かりきっている、生徒会選挙に出ているのだから。そもそも、生徒会長はあんな事を言っているが、生徒会長になれるのは当然のことながら立候補した人物だけである。何故、あんな意味不明で理解不能なことを言ったのか僕には分かりかねるが、少なくとも、今年立候補したのは彼だけなので、彼に対する信任、不信任の決議がとられるだけであり、その結果は信任に決まっている。余り決めつけは良くないが、彼以外に立候補者がいない以上、今年の生徒会長も彼で決まりだろう。なお、僕は今年は副会長出来るかわからない。前に積本と商村の時も言ったように、生徒会長以外の生徒会役員は立候補制などではなく、生徒会長、及びその他の委員会の人達の推薦によって決定される。僕は去年、舞さんに推薦されたので今までやっていたというわけだ。しかし、今の僕には、副風紀委員長という立場があるゆえ、副会長はお役ごめんだろう。実際のところ、火凛さんと生徒会長抱けでも生徒会は回せるのだ。


「では、生徒会長は今年も俺――僕が努めさせて頂きます。皆様、よろしくお願いします。」


自分の事を俺といいかけたこと以外、取り立てて大きなミスもなく、生徒会長は挨拶を済ませる。まぁ、あんなに短い文章をミスしたらそれこそ生徒会長にはふさわしくないだろうけど。そして、僕たちのことを余り知らない一年生の女子から黄色い声援が送られる。あぁ、実態を知らないって怖いなぁ。僕は彼女たちの声援を聞いて一途にそう思う。


「それでは、生徒会の新メンバーを発表する。」


そう言って、一身は僕に名前の書かれたプリントを渡してくる。まっ、これも生徒会副会長としての最後の仕事かな。これで、お役ごめんだろう。と、自嘲気味に呟き、そして大声で読んでいく。


「生徒会長、和宮(かずみや) 一身(いっしん)。」


まずは生徒会長。次は……。


「……生徒会会計、差野(さの) 火凛(かりん)。」


生徒会長は、僕に怪訝そうな顔を向ける。僕は構わず、読み上げる。


「生徒会書記、積本(せきもと) 志乃(しの)。生徒会庶務、商村(しょうむら) (あきない)。」


そして、僕は大きくため息をつく。というか、つかざるをえないだろう。何故なら、今の僕には副風紀委員長という立場があるのに。その二つを平行してやるなど基本的に不可能で、タブーなのに。


「……生徒会副会長、和宮(かずみや) 二心(じしん)、」


その紙に書かれているのは紛れもなく、僕の名で。それを述べた瞬間に生徒会長は最近見なくなった、悪巧みをするようなイタズラっぽい笑みを浮かべた顔でニヤリと笑い。そして、こう叫んだ――


「なお、生徒会副会長は、副風紀委員長を兼任する!!異論のあるものは今抗議せよ!!」


大声で、何の恥じらいもなく、躊躇いもなく、彼は大声でそう言い切った。まるで、異論など認めないとでもいう風に。実際にこの空気の中でそれが出来る人間がいるのならば、僕はその人が生徒会長に成った方がいいと思う。こんな、残念なイケメンよりも。しかし、彼の意見に異論を語る人間はいない。何故なら、


生徒会長の役員決定に拒否権はないからだ。


「泣きたい。」


本日二度目の鬱宣言はしかし誰の耳にも聞き届けられることなく、熱気に包まれた体育館を流れていった……。

読んでくださり有り難うございます。

今回、こんなに短いのには特に理由はありません。筆が乗らなかったと、言えばいいでしょうか。すっぱりとこれはスランプだ!と言い切るほどの文才が作者には備わっているとは思えないので、次はがんばる。

生徒会選挙ってこんなんだっけ……?という疑問は受け付けません!!

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