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生徒会副会長の受難  作者: 紫緑
生徒会副会長の至難
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ブラックモード?

生徒会長視点です。

「俺に、勝負挑んだこと、後悔させてやるよ。」


ヤッベェ。急展開過ぎる……。


俺こと、和宮一身は今の状況を見てそう思った。まぁ、二心が絡んで急展開にならなかったことなどほぼないと言っても過言ではないのだが。どんな事件だって、あいつが関わったものは、良くも悪くもスピード解決なのだ。そして、あいつ的には良くなくても結果的には全ての物事がうまくいくというのだから不思議なものだ。言うならば、あいつは世界に愛されているのだろう。去年の舞の事件だってそうだった。偶然(・・)、舞がスタンガンで気絶させられたところを見たあいつが、いつもは持ち合わせていない携帯を、偶然(・・)持っていたあいつが、俺に電話をかけ、舞を助けに行った。そして、舞を助けた時に、舞があいつを庇ってできた傷は偶然(・・)致命傷を避け、偶然(・・)その場に到着した俺が、舞に応急処置を施し、舞は助かった。だから、舞の命というのは偶然のオンパレードで助かったようなものなのだ。しかも、そんなことが起こったにも関わらず、二心は舞にさらに好かれた。これは、二心が世界に愛されているからだと思うと、説明がつくのではないだろうか。ご都合主義(・・・・)。それを目の当たりにしたのが去年のその事件である。こんなことを言えば二心は否定するんだろうが。俺は二心にこう言いたい。


――世界に愛されているのはお前で、俺は世間に愛されているだけだ、と。


――――――


さて、急展開により行われることとなった二人の勝負とやらだが、どうやら本気でやるらしい。その勝負と言うのは、剣と剣のぶつかり合い――つまり、剣道だ。もうじきテストが有るのだからそれで勝負すればいいとは思うのだが、副風紀委員長の翼街が、どうしても剣道がいいと言い張り、譲った結果である。俺からすれば、自分が有利になるように行動したようにしかみえない――と、いうよりそうなるように言い張ったんだろうが、剣道部副部長が情けないと思わないのか?自分の有利なもので戦うなんて、武士道誠心とかに反するんじゃねぇの?知らないけど。


「あー、ったく、めんどくせぇ。」


二心はめんどくさそうに呟くと、渡された防具をつけようとする。が、どうも付け方が分からないのか手こずっているようだ。しばらく見ていると、大きく舌打ちをして、その辺に置いてしまった。頭に来ていながらも、物に当たらず投げなかったのは立派だが、防具をつけずに剣道するつもりか?当たらないとは思うが、もし当たった時を考えると少し不安になる。


「どうした?さっさと防具を着けろ。」

「あー、いやもういいや。面倒だからつけないでいいや。動きにくそうだし……。」


二心が翼街に防具を着けることを促され、そう答えると翼街は肩を震わせ始める。あっ、これ怒ってるときの人の仕草だ。そう思って俺が見ていると、翼街は声を張り上げ、二心の胸ぐらを捕んだ。


「貴様っぁぁぁ!!何処までも馬鹿にしやがって!!もう、許さん。もう許さん!!防具を着けなかったことを後悔させてやる!!」

「あっ、そう言えば俺が勝ったときはどうしてくれるの?俺が負けたら、舞に近づかないけどさ、翼街、あんたが負けた時はどうするの?」


胸ぐらを捕まれ、持ち上げられた二心は見下すようにうすらさむい笑みを顔に浮かべ、翼街を見つめる。どこまでもマイペース。怒りに冷や水をぶっかけるように、冷静に聞く。確かに、決めてなかったけど、翼街はきっと舞をかけた勝負だと思ってるから、表情が怒りから一転、困惑した表情に変わる。


「? なんでそんな顔してんの? 別に俺変なこといってないでしょ? もしかして、舞をかけた勝負とか思ってた? いや、それはないわー。だってあんたが副風紀委員長って役職に就いてる以上、舞と会わないなんてこと約束できないでしょ。」


二心は未だに胸ぐらを捕まれたまま、ため息をついてそう言った。そして、こう続けるのだった。


「じゃあ、そうだな。俺が勝ったら、副風紀委員長止めてよ。」


ぐっ、と。翼街が唸る音がした。いや、唸る声を出した。と言う方がより正確だろうか。完全に勢いのなくなった翼街は、二心を放し睨み付ける。翼街からすれば条件の後だしも良いところだ――とは言え、これは確認を取っていなかった翼街が悪い。勿論、条件が釣り合っていないと言えばそれまでだが、しかし、この勝負とやらを申し込んできたのは翼街で、二心がそれを嫌々(・・・・)ながら受けているのだ。翼街がそれなりのリスクを負うのは当然と言えば当然かもしれない。そもそも、何故彼が、副風紀委員長というポストを捨てたくないかと言えばその理由は、舞と会うためである。端的に言えば舞が好きなのだ、翼街は。剣道部副部長である彼だが、剣道部部長は舞である。あいつは今でこそほとんどクラブに行っていないが、昔の名残でそのままあいつが部長ということになっている。つまり、舞と翼街はこの一年間ほとんど同じ時間を過ごしてきたといってもそれほど過言ではないのだ。しかも、どちらも、長と副長という、立場。舞が魅力的な美少女である以上、彼が好意を抱くのは当然の帰結だろう。


「っぐ、分かった!!俺が負ければ副委員長を、お前が負ければ舞と会わない。これでいいな!」

「あぁ、いいよ。かったるいし、さっさと始めようか。」


勝負を仕掛けている側のため、引くに引けなかったのだろう。翼街は仕方なしに条件をのみ、今や、完全に場の空気を支配した二心を見た。その瞳には、薄黒い光が渦巻いていた。

読んでくださってありがとうございます!!

三連休が少し立て込んでて、遅れてしまいました。すいません。

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