表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生徒会副会長の受難  作者: 紫緑
生徒会副会長の至難
40/65

決意表明再び。

憂鬱だ。


舞さんと一緒に行った遊園地の出来事を記憶の片隅に追いやり、それからの日常を何となくで過ごした僕は、そう思う。あれからは、舞さんが普段の態度を僕に対してだけ崩すようなこともなくなったし、会長から、からかわれるようなこともないのだが、本当にあれで良かったのかとふと思ってしまう。それにだ。今月には中間テストと、生徒会選挙がある。年にテストは五回あるのだが、今月のテストが今年始めてのテストで、頑張らなければならないのだが、テストがあるというだけで、憂鬱な気分になるというものではないだろうか。しかも、生徒会選挙まであると来た。これは僕には憂いを帯びろといっているに違いない。なんか、去年も同じこと言ってた気がするが、まぁ、気のせいだろう。


「テスト、やだなー。」


現在はテスト二週間前で、僕以外の生徒会役員は、まだ全然テスト勉強とかしてないんだけど、僕はこの時期から始めておかないと、学年10位以内に入れない。生徒会副会長として、10位以内に入っておかなければならないらしい。これは、僕が副会長になったときに言われたもので、一応、今までは、10位以内をキープ出来ている。それも、これぐらいの時期から始めているからではあるが。生徒会長なんて、前日に30分勉強するだけで、学年一位だよ?その脳を弟である僕にも少し分けて欲しいよ。


「生徒会選挙で大変だし。テストも大変だし。本当、憂鬱になるよ。」


本当に憂鬱だ。先程から、誰もいない生徒会室でぶつぶつと呟く端からみたら、危ない人になっているのも、きっとこれらの僕を憂鬱とさせる原因からだろう。だるい、しんどい、めんどくさいとやる気起きない三大病にかかっている僕を誰か助けてくれる人はいないだろうか。いない?知ってて言ってる。


「………。なにしてんだ?二心。」

「テスト勉強。」


僕が暫く生徒会室で勉強していると、あの雰囲気的にも物量的にも重々しい扉が開き、生徒会長が顔を出す。生徒会の生徒会長はこの時期から選挙の準備をしているらしい。全く大変、ご多忙なことで。テスト勉強なんかしなくても余裕なんですよね。なんか今日は自分でもひねくれた考え方をしていると思う。きっとこれは五月病のせいに(既に六月だが)違いない。


「さてと、火凛たちもきたし、仕事を始めるか。」


扉が開き、火凛さんたちが入ってくるのを見て、生徒会長は、僕に向かって言う。僕は、勉強道具をしまい、最近全然減らない仕事に取り組み始めた。


―――――


「ふぅー。やっっっと終わったー。」


僕は、最後の書類にペンを走らせ終えると、机にペンを置き、長い溜めと共に体を伸ばす。かなりの量があったので、少ししんどかったが、終わった今は爽快感しかない。今はまだ四時程度なのだが既に窓からは、夕方の赤い日差しが入り込んでおり、この前の観覧車の出来事を思い出させる。僕も、頑張らなきゃね。僕は、机の上の物を鞄の中にしまい、火凛さんたちに挨拶をして部屋を出た。そして、校門を潜ったところで、今となっては恒例の首の痛みと共に、意識を失った。最後に僕の視界に映ったものは、当然のことながら長い艶のある黒髪だった。


―――――


美少女に拉致される。

言葉の上では羨ましそうな出来事もしかし、実際に味わってみればあまり羨ましくもないし嬉しくもない―――当然、個人差があることは否めないだろうし、俺はそれでも構わない!!という猛者もいるのだろうが、それでも、僕はあまりやってほしくない。と、冷静に考えていられるのも、僕の目の前にいるのが見知った人だからだろう。長い黒髪の、少女と言うのは少し大人びていて、雰囲気も似合わない女性、刃羽 舞が僕の目の前に立っている。彼女の家に来るのはこれで二度目で一回目は二、三週間ほど前だったことを覚えている。一回目の時はもう少し丁寧な拉致の仕方だったけど―――僕は、少し痛む首筋をさすりながらそう思う。まぁ、前回の犯行は、僕の兄と火凛さんの協力があった上での拉致だからね。一人となると、こういう手段しかなかったのだろう。けれど、ここ一週間、僕に対して何のアクションも起こさなかった彼女が一体僕に何の要だろう。


「確かに、私は幸せにしてくれるのを待つと言った。けれど、私は思ったのだ。二心。幸せにしてくれるのを待つだけじゃ駄目だと。共に幸せになるからこその幸せだと。」


僕が首を傾げると、彼女は丁寧にそう答えてくれた。その言葉をゆっくりと反芻する。意味は、理解できなくもない。彼女の気持ちも分からないことはない。多いに共感できる。彼女の言ってることの方が遥かに正しい。けれど、一度決めたことを曲げるのは男としてどうなんだろうと、思う。別に止めてもいい。僕が妥協すればいい話だ。彼女の告白を遮ってまで、話した決意を。そうすれば、たったそれだけで僕はきっと幸せになれる。だけど、今の僕にその選択は出来なかった。


「ごめん、舞さん、全然進んでないけど、もう少し、もう少し待って。僕の気持ちの整理がついていないんだ。夏休み。夏休みまで待って。」

「………。分かった。ここまで聞いて、二心が本気だということが分かった。帰り、送ろうか?」

「いや、大丈夫だよ舞さん。ありがとう、そしてごめん。」


舞さんの顔に一瞬浮かんだ苦痛の表情に胸を痛めながら、僕は家へと帰った。


帰ったら、晩飯がないと、メリアさんとアスアレーノさんにこってり怒られたのはまた別のお話。

読んでくださってありがとうございます!!

前話と続いている、と言うよりは、作者の話の運びが下手なだけですが、この話から第三章と、言うことになります。なんか、最近糖度が高い気がする………気のせいですかね?次回の投稿は土曜程度を予定しています。(あくまで予定)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ