双子の行動って似てるようで似てない
途中で何回か視点変わります。
「楽しかったね。舞さん。」
「あぁ、あれほどの速度が出るとは、流石の私も肝を冷やしたよ。」
ジェットコースターから降りた僕たちは、感想を言い合う。生徒会長と一緒に乗っていたはずなのに、別れているのは何故だろうと思うが、しかし、面白いことが好きな彼のことだ、どこかしらで僕と舞さんの様子を確認しているに違いない。別に、生徒会長に見られる分にはいいんだけれど、注意すべきは、舞さんのファンクラブの人かなぁ。あの人たちは、本当、僕への風当たりが無駄に強いからな……。僕だって、あの事件がなければ、彼女とここに居ることもなかったのに。なんて、昔のことを少し振り返りながら、他のアトラクションを回っていく。そろそろ、お昼の時間である。
「舞さん。お昼御飯は何を食べる?」
「そうだな……。二心は何がいいと思うんだ?」
「僕?そうだな僕は……。」
僕はそこまで言って自分の持っているパンフレットに目を落とす。うむ。何がいいだろうか。チョロスとかいいと思うんだけど、無難に、ポップコーンとかにしとくべきだろうか。いや、そもそもお昼御飯なんだから、もっとしっかりしたもの食べないと駄目かな?
「あっ、じゃあ、この店に行こうか?」
僕は自分の持っているパンフレットを彼女に見えるように傾け、指で行きたい店を示す。彼女も、異論はないようで、うなずいた。
―――――(side一身)
「ふぅ、なんとか離れられたな、火凛。」
「えぇそうですわね会長。」
ジェットコースターであいつらにあったときは死ぬかと思った。舞の殺気が凄かった。そんなに俺の弟が大事か、欲しいのか。まぁ、確かにあいつは有能だし、女子には優しいし、影で気配りが出来る凄い奴だからな。二心曰く、俺は主人公らしいが、俺からすれば、二心の方が遥かに主人公っぽいと思うんだがな。感じ方は人それぞれっていうのは分かるんだがな。それでもやはり、あいつは主人公に相応しい男ではある。
「会長、副会長と風紀委員長は喫茶店スノーガーデンに向かったようですよ。」
喫茶店スノーガーデンというのは、広大な敷地面積を誇るこのテーマパーク、玄札テーマパークの右側に大きく位置する店である。その大きさからはとても喫茶店の雰囲気がしない店だ。スノーガーデンというだけあって、店内は水色や青色等の寒色系を基調とした涼しげな雰囲気を放ち、夏は天国、冬は(このテーマパークが開店して、まだその季節が訪れたことはないはずだが)地獄という店だ。
「よし火凛。俺たちも行くか。」
「えぇ。そうしますか。」
俺は、火凛の手をとって、喫茶店スノーガーデンへと歩きだした。
―――――
「うわー。少し混んでるね。」
「確かに混んでいるな。美味しいのだろうか。」
「このパンフレットと行列を見る限り外れでは無さそうだけれど……。」
長い行列を横目で見ながら、僕と舞さんは会話する。長い。まだ昼前なのに、一時間待ちとはどういうことだろう。ん。これだけ長いと喉が乾きそうだな。
「舞さん、僕、ジュース買ってくるよ。何がいい?」
「そうだな……。二心と同じもので頼む。」
「分かった。少し待っててね。急いで買ってくるから!!」
僕は舞さんを残して、ジュースを買いに行った。あれ?これってもしかしてフラグ?僕は、そんなことを思いながらも、ジュースを求めて走り出した。
―――――(side一身)
「火凛、混んでいるな。」
「えぇ混んでいますね。」
俺が、二心と舞を追いかけてついたのは当然、喫茶店スノーガーデン。前に来たことがあるが、やはり涼しげな店内は変わっていない。とある事情により、俺には行列を飛ばす手段があるのだが……。
「会長。」
火凛に、考えていることを読まれたのか、ジト目でにらまれる。とはいえ、普段は舞とはまた違ったベクトルで凛としている彼女がそんなことをやっても可愛いだけである。そう言えば、今日の服装は一段と気合いが入ってる気がするが、気のせいだろう。あ、俺火凛の服ちっともほめてない。ヤバイこれはヤバイぞ。女子と二人で行動(決してデートではない。)しているのにも関わらず、女子の服装を誉めないって男としてどうだ。………………。急に居心地というか心持ちが悪くなった俺は、彼女にジュースを買うとだけ告げて、自販機へと向かった。
――――――
「買ってきたよ舞さ……ん。」
僕が戻ってきたのはちょうど、彼女がイベントに巻き込まれている時だった。全く、僕は本当に頭が回らない。舞さんほどの美少女を一人きりにしておいたら、そりゃナンパに引っ掛かるよ。美少女だもん。因みに、この手のイベントは、美少女で、かつ男子とともに遊園地に来て、美少女が一人きりになったとき、発動するイベントがかなり高くなる。僕は、しつこいナンパに困り果てている舞さんに声をかける。
「舞さーん。ジュース買ってきたよー!」
「二心。助かったよ。困っていたのだ。」
舞さんに僕が声をかけると、ナンパしていた男達(三人)は舌打ちをして何処かへ行ってしまった。彼氏役(笑)の僕が来ただけで止めるとは、覚悟が足りないね。僕は、そう思いながら、舞さんにジュースを渡し、店に入れるまで、待っていた。
―――――(side一身)
「火凛ーー!!」
俺は、そう叫びながら拳をつき出す。目の間に居る男は、無理矢理、火凛を連れていこうとしたのだ。こうすると、すげぇヒーローっぽい。うん。回りも見てるんだったら、止めろよな、と思わないこともないが、まぁ、普通に考えて、無理だろう。知らない人のために体はれるやつはそうはいないしな。
「ちっ、またお前か……。」
またお前?どういうことだ?俺は彼らの言葉をよく咀嚼し考え、過去のことを思い出すが、しかし彼の顔と一致する人間をぶちのめした記憶はこれっぽちもない。だとするのならば、あらかた俺の弟に殴られたとかそんなところだろう。恐らくあいつも俺と一緒で、ジュースを買いに行ってやったんだろうな。舞なら、一人でぼこぼこに出来そうなものだが。世間体とかを気にしてやらなかったんだろう。俺は、ナンパ野郎共を振り払うと火凛の方を振り向き様子を確認した。
「大丈夫か?火凛。」
「え、えぇ大丈夫です生徒会長。」
普段から、余り表情の変わらない火凛だが、少しだけ赤くなっている気がした。恐らく、気のせいだろう。俺は、火凛と手を繋いで仲良く店内に入店した。
読んでくださってありがとうございます!!
鈍感主人公、和宮 一身の本領を発揮させたかった。難しい。火凛さんはちょろいんじゃないのに!!




