生徒会会長の災難
「えーっと。クラスを変えろ?」
「「そう。その通り(ですわ)!」」
仲が悪いはずの、二人は息ぴったりに呼吸を会わせたかのようにシンクロしてしゃべった。その二人とは最近転校してきた、少し高飛車な感じのする美女、櫛呂 挿架とボーイッシュな少年風美少女、相乃 琥珀である。二人は、生徒会副会長席に座る僕に、大声でそうつたえる。
「えっ、いやっ、あの………。」
凄い剣幕で迫ってくるので、何も言えないまま近寄られてしまった。先程から、舞さん及び、生徒会役員一同に目で助けを求めているのだが、誰一人として助けてくれない。困った。しかも、僕がしどろもどろに答えたのが悪かったのか、転校生たちが怖いぐらいの口調で話しかけてくるのだ。このままだと僕が危険なので、弁解をする。
「あの、すいません。副会長には、クラスを変える権限なんてないんですよ。だから、出来ません。」
思わず敬語になってしまった僕は悪くない。いや、もう本当怖いんだって。ライオンと素手で殺りあうよりは怖くなかも知れないけど、泣いている赤ん坊がさらに大号泣するレベルで怖いんだって!!だから、そう。僕は悪いこと何もしてない!!
「て、言いますか、そう言うのは副会長よりも、生徒会長に聞くべきでは?」
「「確かに、それもそうだね(そうですね)。」」
さりげなく、生徒会長に押し付けたのだが、どうやらうまくいったようだ。頑張れ!!生徒会長、僕は生徒会長が、それぐらいできるって信じてる!!だって、ハイスペックだもんね。それぐらいのクレーマーは僕に押し付けるんじゃなくて、自分で対処してほしいよ。僕が生徒会長の分も終わらせておくから。
「おい、一寸待て二し、」
「そう言えば、この前、生徒会長は僕の仕事やってくれたよね。だったら、今度は僕が生徒会長の仕事をしてあげるよ。上司は、部下を使うものだしね。」
黒い笑みで僕がそう言うと、生徒会長は黙って、彼女たちに何故、クラス替えを出来ないのかを説明し始めた。目で、僕に恨みを送ってくるけれど、今まで舞さんのファンの人に送られてきた妬みと恨みの含まれた視線を浴びてきた僕にはちっとも効かない。そんな視線で堪えるほど、僕は甘くない。どれ程の視線に晒されてきたと思っているんだ。
さてと、生徒会長に彼女たちを押し付けた事だし、僕は僕で、仕事をするか。
―――――
転校生の少女たちが嵐のように生徒会室を荒らして、帰ったあと僕たちも今日の分の仕事を終わらせて、生徒会室から出ようとする頃、彼女たちが帰ってから黙っていた生徒会長が口を開いた。
「二心、俺のこの精神的疲労の理由がお前に分かるか?」
制服が、何故かボロボロになっている生徒会長に精神的疲労の理由を聞かれる僕。何故、そんなことを聞いてきたのかは分からないがしかし、その理由ならば、何処までも突き抜けてハイスペックではない僕にも答えることができる範囲の問いだ。彼が精神的疲労している理由。それは。
「主人公故の暗い過去の回想シーンを終えたからでしょ?」
「………本気で言ってんのか?だとしたら、俺、怒るよ?今から俺は怒るぜ!!だよ?」
「……違うの?嘘でしょ!?それ以外の理由は考えられない……本当に違うのか!?」
舞さんを見ると、こちらを見てうんうんと言っている。ほら、僕は間違ってないじゃないか!!
「うん。お前に聞いた俺が馬鹿だったよ。火凛、お前なら分かるだろ?」
「………………。」
「黙秘!?ねぇ、なんで?なんで俺の扱いはこんなに雑なの!?」
「生徒会長だから。」
「二心てめぇ!!ふざけんな副会長がぁ!!」
僕が、この世の真理を彼に端的に述べると、急に怒り出す生徒会長。ど。どうしたんだ?こ、怖い。理由はわからないけど、急に怒り出した!!なんとか、舞さんが羽交い締めをして止めているが、このままだと、僕の身が危ない。と言うわけで。
「喰らえ生徒会長!!僕の身の安全の為に!!」
「ごっふ!!」
取り敢えず、お腹にパンチをいれておいた。ふーっ。これで一先ず安心だ。僕は舞さんに羽交い締めを解くようにお願いして、生徒会長を担いで家へと帰り始めた。舞さんに手伝おうかと聞かれたが、舞さんが羽交い締めしてくれていたお陰で怪我をしなかった訳だし、流石にそこまでお世話になる必要はないと思い、断っておいた。
生徒会長を担いで家に帰る道で思った。彼の精神的疲労ってなんだったんだろう………?
読んでくださってありがとうございます!!
更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。あと、主人公のキャラ………。突っ込まないであげてください(もしくは心のなかに止めておいていただけたら。)




