和宮家の日常
和宮家の日常
「おい、嘘だろ?嘘だろ!?舞!?どうして、どうしてっ、なんで俺を庇ったんだ!?」
「そんな顔しないでくれよ二心。綺麗な顔が台無しだぞ……。」
腹を貫かれた彼女の側に寄り添い、彼女の手を握りながら話しかける少年。息も絶え絶えに話す彼女を眺めるその顔は酷く絶望で彩られており、頬を伝い、流れ落ちる涙を隠そうともしない。彼は、彼女の行動の理由が理解できず、答えることなど出来ないと分かっていつつも聞いてしまう。それは、ひとえに動揺していたからである。
彼女の腹部から流れ出る血液の量を見るに、彼の兄が応急処置をしたのだろう、出血はある程度収まっており、しかし、所詮応急処置では、血液を完全に止めることなどできるはずもなく、彼女が少しでも動こうものならば、再び、その傷ついた腹部より血液があふれでることは明白である。
「救急車は!!救急車はまだなのか!!ここに救うべき人がいるというのにっ!!」
彼は、その動揺のためか、半ば叫ぶようにして、言葉を喉から絞り出す。言葉を発していなければ発狂しそうなほどに彼は精神的に追い詰められており、口から言葉を発することで、かろうじて、正常を保っていることが出来た。彼は、その高すぎる能力のせいで、敗北を経験したことはなく、そのせいで彼の心は救うはずの人に逆に救われたということに、大きな精神的ダメージを受け、またそれまでの生き方からか、耐性のない彼が正気を保っているのはある種の奇跡とも言えた。
「しっかりしろ!!舞!!絶対!!絶対に助かるから!!」
少年は気を失いそうになっている彼女にそう叫び続けた。救急車がくるまで、握った手を彼が放すことはなかった。それは、後悔故か、それともーーー。
―――――
「………。朝か。」
僕は、機械的な電子音により目を覚まし、窓から入ってくる朝日を体いっぱいにベッドの上から、浴びて体を上に伸ばす。
「んんーー。」
体を上に伸ばすと、そんな口から漏れた音と共に脳が徐々に覚醒を初め、ベッドの上から立ち上がる。ハンガーラックまで歩き自分の制服を手に取り、着替えを始める。今は、まだ春の暖かい日差しが差している程度なのだが、校則上は上を着なくてもよいのである。組素高校のブレザーは、緑色と紫色の配色が鮮やかで、僕的には格好いいと思うのだが、お洒落より実利を取ってしまうのが僕で。結局、ブレザーは鞄に入れたまま、僕の格好はカッターシャツと夏ズボンに落ち着いた。
「はい、起きてー。朝ごはんも出来上がってるから。」
一度リビングまで降りて朝ごはんを作った僕は、アスアレーノさんの部屋に入り(紳士として、ちゃんと扉をノックした。)、ベッドですやすや眠っている彼女に呼び掛ける。
「おーい。起きてよ。」
「………。あと、五分。」
僕が呼び掛けると、彼女は布団を深くかぶり、起きることに反抗の意を示す。それにイラッときた僕は、無言で彼女の布団の端を掴みーー。
「きゃあ!!」
思いっきり力を入れて、彼女から引き剥がした。日の光が直接当たったお陰か、彼女の目も覚めたようだ。よかった、よかった。
「よくないですよ!!私がすやすやと心地よく眠っていると言うのに、布団を引き剥がすなんて……。二心の鬼畜!!外道!!」
「そうか。僕に向かってそんなことを言うということはつまり、朝ごはんは要らないんだね?そう受け取っていいんだね?」
「ごめんなさい!!」
折角、人が親切に起こしてあげてるのに、そんな風にわがまま言うから、謝るはめになるんだよ。謝るぐらいだったら、最初からしなければいいのに……。まぁ、それができないから誤るという行動にたいして謝るという行為が生まれたんだろうけど。別にどうでもいいことを考えるのはやめて、さっさと彼女を下に連れていかなければ。
「じゃあ、着替え終わったら、下に降りてきてね。先に行っとくから。」
「はぁい。分かりました。」
まだ、完全に目が覚めてなかったのか、少しだけ甘えるように言われた。だが、毎日見せられていては、魅力も半減というものである。僕は、扉を閉めて、一階へと降りた。
「おはようございます、二心様。」
僕が二階から降りてくると、席にはメリアさんが既に座っていて、背筋をピンと伸ばし礼儀正しく座っている。礼儀正しい…。机に突っ伏してうつろうつろと船をこぎかけている僕の兄とは正反対だ。弟してはずかしいよ………。しかし、所詮心のなかで呟いただけなので、生徒会長に通じるわけもなく、同じ態勢のまま挨拶だけしてくる。その様子だけをみると、どう贔屓目にみてもハイスペックには見えないところが、僕の兄らしい。風格がないというか。ただ、常に風格だしている人は出している人で、コントロール出来ていないだけなんじゃないかと思ったりもしてしまけれど。まぁ、僕の兄がどれだけ残念な美形であろうと、僕に実害がなければそれでいい。
「朝御飯ーー♪」
アスアレーノさんが、鼻唄混じりに二階から降りてくる。その姿をみるとかつて魔王だった風格など以下略。いや、それにしても、あれは気が抜け過ぎだろう。どれだけリラックスしてるんだ。彼女が、席に着いたので、僕たち生徒会組は朝ごはんを食べて、鍵閉めをメリアさんに頼んで、生徒会の朝の活動へと向かった。
読んでくださってありがとうございます!!
久しぶりに昔のやつを読んでみたら、今と少しだけ文体が違うような……?十九話までの伏線いつになったら回収できるんだ……。矛盾が生じる前に回収せねば!!
次回は一週間いないが目標。ただし、書きたくなったときに書くが作者のダメなモットーなので早くなる可能性あり。いままで、ほとんど守った試しないですし……。




