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生徒会副会長の受難  作者: 紫緑
生徒会副会長の救難
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勧めるのは眼科のようです。

「実は、異世界に連れていかれたんだ。」


はぁ?

僕と瓜二つの顔から告げられた台詞はぶっ飛んでいた。生徒会の業務が激しすぎて、とうとう幻覚でも見るようになってしまったのか。それとも、中学二年生にでもなったというのか。相談するのならば、眼科だろうか、それとも精神科だろうか。もしかしたら、現代医学では治せないかもしれない。そうだとするのならば、同じ家に住んでいながら気づけなかった僕が悪いのだろうか…。


「へぇ~、かいちょ~異世界行ったんすか、すげ~。」


え、ちょっと待てお前、何で素で受け入れてんの?お前にも病院紹介しなきゃいけないの?僕、腕のいい医者なんてあんまり知らないんだけどな………。しかも、そのお医者さんは結構多忙で、兄を治すのに手一杯になってしまうだろうから、紹介できそうにないや。


「………?」


こちらはなんの事か分かっていないようだ。むしろ、これが普通の反応だと思うよ。異世界ってなぁに?みたいな目で生徒会長のことを見ている。うん、知らないって怖いね。兄が傷ついてること気付いてるのかな。いや、気付いてないからそんな目で見れるんだろうけど。


「それで、それがどうかしたんですか?」


多分、反応の中で一番これがひどいと思う。ほぼ無反応&さらっと流した。わざとなのかな、わざとじゃないのかな。うん、傍目にもわかるほど生徒会長ダメージ受けてるよ。可哀想。そして、その容姿で傷つかれると、それ、僕も少しながら傷つくんだけれど。止めてくれないかな。ちなみに今の台詞は上から、商村、積本、火凜さんだ。僕も何か反応しといた方がいいかな。


「異世界って………。そんなもの信じられると思うかい?」


少し小馬鹿にした感じになってしまったけど仕方ない。だって、異世界だよ?普通の人に言ったら、異世界……?フッ、笑止、漫画の読みすぎだ!と心配されるあれだよ?むしろ、小馬鹿にしてやった方が傷つかないと思うんだ。二つの意味で心のそこから。


「ほ、本当だって。嘘じゃないって。この目で確かめたんだって!!」


悪いことをしたわけでもないのに必死に弁明する生徒会長。そうやって弁明すれば弁明するほど信憑性がなくなることに彼は気付いているのだろうか。まぁ、取り敢えず、このあとの方針は決まった。


僕は眼科に電話を掛けることにした。


―――――


「へぇ~、証明して見せるねぇ?」


生徒会長の目が病気にかかっているようなので、急いで眼科に電話を掛けるようとしたら目敏く、その行動を知った生徒会長は僕の携帯を取り上げた。ちっ、こんなところでハイスペックの無駄に使用しやがって。僕の気持ちはそうやさぐれていたが(眼科を紹介してあげるという僕の気遣いを無視りやがった。)それを見た生徒会長が、異世界に行ったことを証明して見せると言い出したのだ。嘘なら、謝ったら許してあげるのにな~。早く謝った方がいいと思うけどな~。


「よし、じゃあついてこい」


今が授業中であるということを完全に忘れて、生徒会室から出て行く彼。僕は皆と顔を見合せ思案する。うーん。どうしたものか。このまま、生徒会室を出ていっても(本当は駄目だけど)いいっちゃいい。どうせ、先生はほとんどいないだろうし、たとえ、あったとしても生徒会活動に一環ですって言えば、まぁ、一回ぐらいは見逃してくれる。そもそも、他の子達も授業を受けていると言っても、僕たちみたいに活動している委員会だってあるし、別に外に出るくらい何だってかんじだ。


それよりも、もし、兄のいっていることが全て真実だった場合、それはそれで困る。兄の言っていたことが全て真実だと仮定すると、それはつまり証明するということは、その世界へ連れていかれることに他ならないと(僕の脳では)考えられ、僕を除くハイスペックな方々ならそれでも行けるのかもしれないけれど、僕は生憎そこまで、ハイスペックな自信もないので、出来れば辞退させていただきたいのだが。しかし、後輩に(本当だったと仮定して)異世界に行かせて、先輩である自分がいかないというのもどうかと思われるしどうすればいいんだろうか。あっそうだ、生徒会長、僕の携帯持ってるじゃん。それで写真とってもらえばいいんじゃないだろうか。うんうん。ハイスペックじゃないにしてはなかなかいい答えだろう。


僕がそう提案しようとしたのも束の間。僕は、後ろから手刀を入れられ、気を失った。最後に見えたものは、三人の人影と、倒れ行く僕の体の太ももまでかかる、見覚えのある長い髪の毛だった。


―――――


あれ?ここは何処だ?と考える前に、何とか脳を覚醒させ、ガバッと起き上がるのではなく、気付かれないぐらいうっすらと目を開き、周囲を伺う。背中、柔らかい。多分ベッド。視覚、問題なし。腕とか足は動かさないとわからないが、痛みはない。聴覚、僕以外の寝息が聞こえる。嗅覚、女性特有の甘い香りがって…する……!!


その匂いを理解した瞬間に、背中に悪寒が走る。そうだ、確か僕は僕の携帯で写真を撮ってもらおうよと提案したところで首に手刀を入れられ気を失ったんだった。少し首が痛い。ん?何で気絶したときの記憶があるんだ?まぁいいか。


先程までの話の流れから、ここは異世界かもしれないと推測することもできる。とはいえ、僕はハイスペックではないので、この結論が正しいとは限らない。というか、間違っている可能性の方が高い。というか間違ってるよね?間違っててくれぇぇぇ!!

心の叫びを終えた僕は、取り敢えず一息つき、そして、(行動に移すわけにはいかないので)やはり心で天を仰ぐ。


心で覚悟を決めて、目を開けるとそこには此処に(此処(ここ)何処(どこ)かわかったのかよという質問はなしの方向で。)いるはずのない人物がいた。生徒会役員ではなく、生徒会室に出入りできる人物………。


委員会の一つ、風紀委員の長、刃羽(はばね) (まい)がそこにいた。

読んでくださってありがとうございます!!

見切り発車で遂に2話まできました。急展開を通り越しての超展開はいかがでしたでしょうか?シリアスを期待した皆様にはもうしわけございませんでした。


よろしくお願いします。

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