僕の兄はどうやらバカのようです。
「わ、私の名前は、アスアレーノ・シェア、魔族を統べる王だ!」
アスアレーノさん=魔王
と僕は心にメモをする。アスアレーノさんが自己紹介したので、僕たちも自己紹介をする。
舞さん=凄腕の剣士
火凜さん=大賢者
生徒会長=勇者
あれ?
僕=???
僕だけ自己紹介できないのだが……。皆が役職つきで自己紹介するなか、僕は自分の役職みたいなのをずっと考えているがちっとも思い浮かばない。例えるなら、高校に入学したときの、最初の自己紹介みたいな感じだ。どうする、僕。頭の中でいろいろと考える。
1、僕=お荷物。
これは少し酷い。あながち間違っていないところがなおさら酷い。ただし、事実。他に僕を示すような言葉はないか………?
2、僕=…………。
駄目だ!全然出てこない。こうなったら、生徒会長たる我が兄に期待するしかない。
「こいつは和宮 二心。影雄だ。」
「駄目だこいつ!!」
しまった。ついダサすぎて、口に出して(叫んで)しまった。なんだよ影雄だ。だよ。ダサすぎにもほどがあるよ。なんでそんな造語つくって、しかも文字当ててんの?馬鹿なのか?馬鹿なんだろう。こっち見てどや顔して、したり顔だもんな。自分のセンスのなさにちっとも気付いてないねあの顔は。舞さんたちでさえ引いてるもん。魔王も顔をひきつらせてるし迷惑だよ。だから、どや顔でこっち見んな!!
「すいません、あの勇者の言うことは気にしないでください。僕のことはただの従者だと思ってもらって構いませんから。取り敢えずよろしくお願いします。」
僕は彼女に向かっててを差し出し握手をする。それと同時にさりげなく生徒会長を制すると共にに自己紹介をする。我ながらなかなかいい役職に就いたんじゃないか?従者って、戦闘しないしついてくるだけみたいなイメージがあるし。うん、少なくともお荷物よりはましじゃないか。
「なっ、二心!!俺は偏差値70オーバーだぞ。俺のどこがバカなんだよ!!」
「そういうところだよ!!」
いかん。つい怒鳴ってしまった。さっきから、僕を苛立たせるような発言ばかりしやがって。全く、軽く自慢を入れてくるところが更に腹立たしい。そうやって、自分の凄さをさりげなく自慢することによって、自分の評価を自分で貶めていることになぜ気づかない。偏差値70オーバーの頭脳はどこへいった。あれか、それがわからないから、そうやってさりげなく自慢が入るのか。だから、残念なままなのか。
「あっ、よ、よろしくお願いします。ってぇ!なんで、私とあなたたちが仲良くお喋りしてるんですか!?」
僕の手を取った彼女は挨拶をしている途中で、ノリつっこみををする。魔王と勇者の従者が手をとる光景……。シュールだ。魔王と手をとるのが勇者ではないところが特に。僕もこんな物語読んだことねぇよ。なんで勇者じゃないんだよ。どうして、僕が手をとってるんだよ。彼女は、ノリつっこみをすると、僕から手を振り払いーーー
「あ、あれ?振り払えない!?」
勢いよくブンブンと手を振るが残念ながら僕の手が彼女の手から離れることはない。必死になって、腕をブンブン振るう彼女を見ると、なんとなく微笑ましい気分になる。可愛らしいというか、頬が緩むほどではなけど、十人中十人が可愛いと言う仕草だろう。身長が少し低いのもその理由かもしれない。今のメンバーの女子達はどっちも背が高いからなぁ。癒し系って感じ。因みに、彼女の手が離れないのは僕から彼女への嫌がらせではなく、生徒会長から僕への嫌がらせである。全く、バカと言われただけで仕返しするなんて、短気だなぁ。そんなんだから、バカ勇者なんて僕に言われるんだ。
「ちょ、ちょっと離してよ、あなた!!」
「それは僕の仕業ではないので勇者に言ってください。」
生徒会長がえ?という顔をする。その顔はなんで俺まで巻き込まれるの?と表している。そもそも、巻き込んだのは彼なので、そんな顔をされる覚えが僕にはないのだが、彼としては火種が飛び火してくるのが嫌なんだろう。彼女はその顔を勇者の方へ向け、生徒会長を睨み付ける。だが、その整った顔で睨み付けられても可愛いだけである。普通の男子が見たら、惚れるだろう。僕と兄は美形耐性がついているので、一目惚れすることはないと思うが。
「分かったよ。」
そう言って、魔法を解除する生徒会長。彼女は僕から離れようとしていたので、必然的に彼女の体は後ろ倒れる。僕は、心の中でイベントをこなしてしまうことにため息をつき、地面から伝わる衝撃に備えるために目を瞑った彼女の横に回り彼女が倒れる前に体を支えるーーーそれも、僕の今の体勢からならば彼女を抱えるとお姫様だっこでーーー彼女の体が地面と接触するのを防ぐ。彼女はいつまでたっても衝撃がこないのを不思議に思ったのかそっと目を開ける。
「……ん、ん!?」
「大丈夫?アスアレーノさん?」
「ふぇ!?だ、大丈夫ですけどこの格好……。」
あっ、やべ。彼女を抱えたままで目を開けちゃったから、イベントこなしちゃった。彼女が目を開ける前に立てるつもりだったのに。今回ばかりは生徒会長に押し付け損ねたな。それにしても、女子にとってお姫様だっこの状態というのは恥ずかしいものかもしれない。
「おろした方がいいよね。」
「え、え?あ、は、はははい。」
最初にあったとき並みに噛んでいる。まぁ、こんな格好だったら動揺もするよね。僕が女子でもたぶんするもん。僕がイエメンだったらなおさら効果倍増なんだけどね!!
「で、魔王、話があるんだけど。」
「何ですか?勇者。」
生徒会長はニヤリと唇をつり上げる。あっ、悪いこと考えてるときの顔だ。
「俺たちの世界にこないか?」
あまりにも唐突な誘いだった。
「やっぱお前バカだろ!?」
反射的に、そう叫んでしまった。
読んでくださってありがとうございます!!
急展開、第16話どうでしたでしょうか。ジャンルが学園なのにほとんどファンタジーしかしてない……。そろそろ、学園に戻りたいです。頑張ります。よろしくお願いします。




