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鬼火、灯る夜  作者: 柧貊
1/9

第一話

初めまして。柧貊と申します。

初投稿なので 読みづらいなど問題点など多々あると思いますが

楽しんで頂ければ幸いです。

それではどうぞ。

これは、江戸時代のお話。


ある小さな村に、鬼が住んでおりました。

その鬼は 人間には割と好かれている鬼でしたが、一つ悪癖があり、村人達を困らせていました。

その、悪癖とは……




享保四年(1719年) 4月18日、午の刻。

太陽が村を照りつけ、昨日の雨のせいで出来た水溜りを輝かせていた。

そんな中、大人達はせっせと畑仕事をし、子供達は元気に遊び回り。

その中で ひときわ騒がしい者たちがいた。

「こらぁあ! 待たんか、鬼!!」

「はっ 待つわけねーだろうつけ野郎!」

「返せ、俺の鎌!!」

「やーだねー」

ーー今俺は 絶賛逃走中。

何で逃げてるかって? それは……

「返せと…言っとるだろう!!」

「うおっと!」

ーー人間の持ち物を盗ったからさ。

あ、申し遅れたな。

俺は千尋。 人間じゃない、鬼だ。

この生まれ育った小さい村に身を寄せて、村人の持ち物を盗るのが好きなんだ。

趣味わるーいとか思われるかもしれねえけど、なんでか子供の時から こっそりじゃなくて強引に人の持ってる物を盗りたくなるんだよな。

まあ最終的には飽きて返すんだけど、盗る時の緊張感が好きっつーか…とにかく癖だ。


で、今俺はある男の鎌を盗って、逃走中ってわけだ。

「ふッ!」 「あっ!」

俺は高く飛び、民家の屋根に着地した。

「やーいじじい! 結局俺を捕まえれなかったなー!!」

「くっそー……後で返せよ!!

俺の大切な農具なんだからな!!!」

まあ村人も 俺が最終的には返すっていう事を知ってるから、結局諦めるんだよな。

つまんねー奴らだ。

なら返さなければいいって思うかもしれねーけど、そうすると信用無くして ここに居れなくなる可能性があるからな。

それにやっぱ俺って飽きっぽいだから、盗った物をずっと持ってるのは性に合わない。

「ちっ…つまんねーなーほんと」

まあ、夜にでも返してやるか。

「ふぅ……」

………暇になっちまったな。

「…そろそろ、あいつの所行くか。」

ーーーそう、飽き性の俺にも恋仲の女ってのがいる。 ちなみにそいつも鬼。

だがその女はわけあって、俺と同じ家に暮らしているわけではない。

じゃあ、どこに暮らしているかって? それは……



「おい、凛! 今日は体調どうだ?」

「あ、千尋。 今日も来てくれたんだ。」

「当たり前だろ。で、どうだ? 体調」

「今日は割と大丈夫。 それより千尋、また人の物盗ったの?」

「へ?」

「とぼけても駄目。 鎌なんて持ってなかった筈よ。」

「ははっ バレたか。 まあ夜にでも返すさ。」

「そんな事ばかりしてちゃ駄目だよ。いつか人間達が怒って襲ってくるかもしれないじゃない。」

「大丈夫だよ。 俺、子供とか若い連中には評判良いんだぜ? 多分追い出されねえよ。それにここ最近は 鬼も珍しく無くなってきてるし、鬼退治なんてそうそうしねえよ。」

「もう……のんきなんだから。18歳にもなって……」

「ははっ 鬼の18ならまだ若い若い。」

「もういいっ」

俺の恋人、凛は呆れたようにそっぽを向いた。

(あー ちょっと調子乗っちまったかな。)

でもそのいじけた背中が可愛くて、抱きしめたくなる。

「…………」

だが、今はわけあって凛を抱きしめる事は不可能だ。

「ふぅ………」



ーーーあれは、4年前の春だったかな。

鬼火、灯る夜。

第一話はいかがだったでしょうか。

ちょっとでもこの小説に興味が出てきてもらえたら

嬉しいです。


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