心の衣服を脱いで
「豚バラいくぞ〜!」
誰かが叫ぶと、炭火の上でジュージューと音が立つ。
豚バラ肉が大量に網の上に並べられ、油が弾ける。
「熱っ! 油跳ねたけど、おちんちんじゃないからセーフ!」
辺りが一瞬で笑い声に包まれた。
全裸の男たちが、腹を抱えて笑う。
誰もが軽い。
誰もが、本当に軽くなっている。
世間の柵から解放されている。
当然だ。
何も着ていないのだから。
全てを脱ぎ捨てた、ありのままの姿なのだから。
翔は隣の悠に顔を寄せた。
「お前……こんな所に来てたのかよ……」
悠は少し照れくさそうに頷いた。
「うん、ごめんね。普段の僕は服を着ていなきゃいけないからさ?この事をはっきり言うわけには行かなくて、曖昧な答え方になっちゃった」
その恥ずかしそうな表情を見て、翔は思わず笑った。
「おいおい、何、恥ずかしがってるんだよ!?今は服、着てないんだろ!?それだったら、ありのままの姿で、本音で語り合って……それで笑い合おうぜ!?」
その言葉で、悠の瞳がパッと輝いた。
「アハハ、そうだね。翔の方が、おちんちん教の教えらしい行動してるじゃん」
全てが軽い。
きっと、心の衣服を脱いで解放されたおかげだ。
自然と言葉が出てくる。
自然に笑いがこみ上げる。
「よし、今日は楽しもうぜ!明日からは重い世界に帰らなきゃいけないからな!このまま、羽目外して、滅茶苦茶やろうぜ!」
「うん! 滅茶苦茶やって、一週間の活力を蓄えよう!」
翔は豚バラ肉を両手で掴み、網の上にドサッと乗せた。
「よ〜し! それじゃあ、豚バラ肉、大量に焼くぞぉ〜!」
「わっ、わっ、翔! そんなに沢山焼いたら、油が大変な事になるよ!?」
「滅茶苦茶やるのがおちんちん教だろうが!豚バラいっきま〜す!」
油が弾け、煙が立ち上る。
周りの男たちがまた大笑い。
翔も悠も、腹を抱えて笑っていた。
おちんちん教は、他人に強要してはならぬ教え。
服を脱ぐ事も、言葉にする事も、行なわくて良い。
ただ、感じるだけで良い。
心の奥底でおちんちんこそが笑顔を作り、世界を平和にすると信じて「ふふっ」と笑えれば、それはおちんちん教を理解した事となる。
日曜の午前。
全裸の男たちは、煙と笑い声に包まれながら、ただ、軽く、ただ、幸せに、肉を焼き続けていた。




