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都市が巨大ロボになり、パイロットは住民だった  作者: RUNE-404


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第4話 街が、呼吸している

 階段を駆け上がる途中で、揺れが一度、弱まった。


 止まったのか――そう思った瞬間、足元がふっと軽くなる。次の一拍が、遅れてやってきた。どくん、と低い衝撃。床を通して、身体の芯まで伝わる。


 俺は手すりに掴まり、息を整えた。


 おかしい。

 崩れる前兆なら、もっと不規則になるはずだ。なのに揺れは、一定の間隔を保っている。


 地上に出ると、商店街がざわついていた。シャッターの隙間から顔を出す人、携帯で通話する人、立ち止まって空を見上げる人。誰も、原因が分からないまま動いている。


 サイレンが遠くで鳴った。再開発側の現場からだろう。


 俺は無意識に、足元のアスファルトを見た。

 細かな亀裂が、さっきより広がっている。だが、広がり方が妙に整っていた。割れているのに、崩れていない。


 ――また、来る。


 根拠はない。ただ、そう思った。


 次の揺れは、予想どおりに来た。

 どくん。

 さっきより少しだけ、強い。


 周囲から悲鳴が上がる。だが、建物は倒れない。古い看板が揺れ、ガラスが鳴るだけで、踏みとどまっている。


 俺は、その場に立ち尽くした。


 振動は、怖い。

 それでも、不思議と「逃げなきゃ」という焦りが湧いてこなかった。


 代わりに、別の感覚が胸に残る。


 待っている。

 誰かを。


 そんなはずはない。街が、人を待つわけがない。


 それなのに、足が動かなかった。

 まるで、この場所から離れたら、何かが壊れてしまう気がして。


 どくん。

 どくん。


 揺れは続く。規則正しく、確かに。


 ――呼吸しているみたいだ。


 そう思った瞬間、背中に冷たい汗が流れた。

 気のせいだと、何度も頭の中で繰り返す。


 けれど、足元の振動は、俺の鼓動と同じ速さで続いていた。


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