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都市が巨大ロボになり、パイロットは住民だった  作者: RUNE-404


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第3話 予定外の振動

 地下への立ち入り口は、商店街の外れにある。普段は目立たない鉄扉だが、今日は開けっぱなしだった。簡易的に張られた注意喚起のテープが、風に揺れている。


 俺はヘルメットを被り直し、懐中ライトを点けた。


 インフラ点検。

 街が終わる前に、最低限の安全だけを確認する仕事だ。


 階段を降りると、空気が変わる。湿った匂いと、コンクリートの冷たさ。ここは昔から変わらない。地上がどれだけ変わっても、下は静かだった。


 ……はずだった。


 足を踏み出した瞬間、微かに床が鳴った。


 ぎし、という音。

 老朽化した建物では珍しくない。だから最初は、気にもしなかった。


 配電盤の前にしゃがみ込み、数値を確認する。電圧は不安定だが、想定の範囲内。問題なし、とチェックを入れようとした、そのときだった。


 ――どん。


 腹の底に響くような振動。


 思わず顔を上げる。

 上から物が落ちたような音じゃない。横でもない。下からだ。


 地下深くで、何かが動いた。


 無線が一瞬、ノイズを吐いた。


「……?」


 もう一度、床が揺れる。今度ははっきりと分かる。周期的だ。偶然じゃない。


 俺は立ち上がり、壁に手を当てた。コンクリートの向こうから、微かな振動が伝わってくる。機械の不調とは違う。もっと……不規則で、生々しい。


 心拍みたいだ、と思った瞬間、自分で自分の考えを否定した。


 馬鹿げている。


 そのはずなのに、振動は止まらない。むしろ、ゆっくりと大きくなっていく。


 天井から、砂がぱらぱらと落ちてきた。


「……やばいな」


 無線に手を伸ばしかけて、ためらう。

 この区域は、もう「優先度が低い」。報告しても、すぐには誰も来ない。


 その判断を待たずに、警報が鳴った。


 遠くで、何かが軋む音。

 地上だ。


 俺は舌打ちして、出口へ走り出した。


 その背後で、地下全体が、確かに揺れた。


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