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都市が巨大ロボになり、パイロットは住民だった  作者: RUNE-404


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第20話 それでも、ここにいる

 夜になって、街は少しだけ落ち着いた。


 昼間に増えていた車両の音も、今は遠い。警備の灯りが、交差点の角で淡く瞬いている。立ち入り禁止のテープが風に鳴るたび、ここがもう“管理される場所”になったことを思い出させる。


 俺は、商店街の端で立ち止まった。


 佐伯さんの店は、まだ開いている。

 いつも通りだ。何も知らない顔で、ラジオの音が漏れている。


 入るべきか、迷って、やめた。

 今日は、理由を説明したくなかった。


 代わりに、通りの中央に立つ。

 人はいない。音も少ない。


 ――仕事は、もうない。


 そう言葉にしてみる。

 胸の奥が、ひくりと反応しただけで、何も変わらない。


 それでも、足元の感触は、昼よりはっきりしていた。

 安定している。落ち着いている。


 まるで、ここにいること自体が、正解だと言われているみたいに。


 俺は、何もしない。

 触れない。求めない。


 ただ、立っている。


 どくん。


 弱い振動。

 確かに、応えがあった。


 ――それでいい。


 そう思えた自分に、少しだけ驚いた。


---見られる側へ


 通りの向こうで、足音が止まる。


 視線を感じて顔を上げると、警備員が二人、こちらを見ていた。距離はある。声をかけてくる様子もない。


 ただ、確認している。


 この街に、まだ人がいることを。

 しかも、仕事の腕章も、ヘルメットもない人間が。


 俺は、軽く会釈した。


 向こうも、少し遅れて頷く。

 それ以上、何も起きない。


 でも、分かった。


 今日から俺は、

 守る側でも、働く側でもない。


 見られる側だ。


 理由のない人間。

 説明できない存在。


 街と同じ立場に、並んだ。


 足元が、ほんの一瞬だけ、温もりを増した気がした。


---


 部屋に戻ると、窓を開けた。


 夜風が入り、遠くの信号が切り替わる音が聞こえる。誰も渡らない横断歩道に、青が灯る。


 意味はない。

 それでも、目を離せなかった。


 仕事を失って、

 残る理由も、言葉も、肩書きも失った。


 それでも俺は、

 今日もこの街にいる。


 それが選択なのか、

 縛りなのかは、まだ分からない。


 ただ一つ、はっきりしていることがある。


 この街は、

 理由を持たない人間を、追い出さなかった。


 ――だから俺も、

 追い出されるまで、ここにいる。


 窓を閉め、灯りを消す。


 闇の中で、街は沈黙したまま、確かに息をしていた。


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