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都市が巨大ロボになり、パイロットは住民だった  作者: RUNE-404


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第10話 初めての「使ってしまう」瞬間

 胸の奥が、嫌な予感で満たされていた。


 看板の件から、十分も経っていない。

 それなのに、足元の感覚が、さっきよりはっきりしている。


 歩くたび、街がついてくる。

 そんな錯覚。


 ――違う。


 錯覚じゃない。


 次に異変が起きたのは、商店街を抜けた先だった。


 団地の裏手。

 人通りはほとんどないが、地下には主要な配管が通っている。


 警告音が、短く鳴った。


 俺は反射的に立ち止まる。

 足元のマンホールから、蒸気が漏れていた。


「圧、上がってる……?」


 鼻をつく金属臭。

 このまま放置すれば、配管が破裂する。


 本来なら、連絡して離れるべきだ。

 対応は、再開発側の仕事だ。


 逃げても、誰も責めない。


 昨日と同じ言葉が、頭をよぎる。


 その瞬間、足元から、強い振動が来た。


 どくん。


 さっきまでとは違う。

 切迫した、危険な脈動。


 配管の限界が近い。

 それが、分かってしまった。


 ――また、来る。


 いや。

 もう、来ている。


 俺は、歯を食いしばった。


 理屈じゃない。

 考えるより先に、身体が動いた。


 膝をつき、両手を地面につける。


「……待て」


 誰に向けた言葉かも分からない。

 命令でも、お願いでもない。


 ただ、止まれと、思った。


 次の瞬間、

 地面の奥で、何かが軋む音がした。


 配管の振動が、急激に弱まる。

 蒸気が、嘘みたいに引いていく。


 代わりに、俺の中を、何かが抜けていった。


 視界が、ぐらりと揺れた。


「……っ」


 息が、うまく吸えない。

 胸を締めつけられるような感覚。


 耳鳴り。

 吐き気。


 それでも、足元は静かだった。


 破裂は、起きていない。

 街は、守られた。


 ――やった。


 そう思った瞬間、膝から力が抜けた。


 地面に倒れ込みながら、

 はっきりと理解する。


 これは、助けただけじゃない。


 俺は今、

 **使ってしまった。**


 街を。


 そして代償は、

 思っていたより、ずっと近い場所にあった。


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